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2006年12月号
光学リソグラフィ
ArF延命の最前線
Willian H. Arnold
蘭ASML社
www.asml.com
 二重露光技術に加え、Hyper-NA液浸技術や解像度を向上させるための様々な取り組みによって、フォトリソグラフィは進化し続ける。
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 光学リゾグラフィは依然としてムーアの法則を推進するための中心的な技術である。解像度向上技術(RET:Resolution Enhancement Technology)やHyper-NA液浸光学を用いた最近のArF(波長193nm)リソグラフィの延命により、40nmハーフピッチを露光可能な解像力を実証された。これによって新世代のマルチコアプロセッサ同様、高密度のDRAMやフラッシュメモリーの生産が可能になるだろう。これらの向上は1を超えるNAを有する液浸光学開発、偏光照明、Low-k技術の発達、モデルベースの光近接効果補正(OPC:Optical Proximity Correction)などの技術、光源とマスクの最適化、様々な二重露光方法などによって起こった。

OPCとカスタム照明

 k1が低くなるにつれてパターンのコントラストは悪化し、その結果最終的な回路パターンのサイズや形が悪化する。k1値増加に相当する次NAへの変移を除いて、パターンを改善するには主に二つの選択肢がある。サイズや形状などマスク上のパターンを変える方法、もしくは照度を最適化する方法である。最初の選択肢はOPCとして知られている。ウェーハ上の最終的な回路パターンを良くするためにマスク特性のエッジをCADレイアウトによって意図的に変化させる方法である。
図1 一般的なパターンであるDRAMアイソレーションレイヤーのリソグラフィプロセスウィンドウはレイヤー向けに最適化された照度を用いることで改善可能である。この例ではNA=0.8、λ=248nm、CD=120nm


照度と光源・マスク間の最適化

 しかし、メモリー製造において、密度は重要でありOPCに対するオプションに大きな制限を課す。この場合、照度最適化が非常に魅力的である。図1は代表的なパターンであり、「レンガ壁」としても知られているDRAMアイソレーションレイヤーのリソグラフィプロセスウィンドウが、環状の標準照度と比較して、レイヤー向けに最適化した照度を用いることでどれだけ改善できるかを示している。さらなるレベルでの高度化においては、マスクレイアウトを変化させ、それと同時に照度を最適化することが可能である。これをマスクと光源の最適化(SMO:Source-Mask Optimization)という。このようにして、最大プロセスウィンドウが達成できるのである(図2)。

スキャタリングバー

図2 イメージコントラストを最大化するために、マスクレイアウトと照度を同時に最適化することは可能であり、光源とマスクの最適化(SMO)と呼ばれる
図3 ロジック構造のプロセスウィンドウを改善する成功例はマスクへのスキャタリングバーの追加によって生まれた

 一方、論理回路や実用的なケースにおいて、デバイスは最も高密度なピッチではレイアウトされず、光学的な意味ではクリティカル特性は付近の特性から比較的孤立している。微細な孤立特性を露光するプロセスウィンドウは、焦点深度が小さいため、一般的に高密度なものよりも悪い。ロジック構造向けにプロセスウィンドウを改良する成功例はシステムオンチップ(SoC)デバイスのゲートレベルで見られ、スキャタリングバーのマスクへの追加を伴う。スキャタリングバーはより高密度に見せることで孤立特性の高品位露光を向上するサブ解像特性である(図3)。

二重露光

 軸外照度と組み合わせ、スキャタリングバーによってリソグラフィプロセスウィンドウを大幅に増加することが可能である。スキャナ設定の推奨最適化NAと照度パラメータと同様に、自動化ソフトによってスキャタリングバーをCADレイアウトに配置し大きさを合わせることが可能である。最近では、半導体業界は製造工程においてk1値を下げる別の方法を調査しており、それが二重露光である。二重露光の例として、二重双極子リソグラフィが図4に示されている。これはマスクパターンを取り込み二つのレイヤーへと分割するという発想である。ひとつはX軸に整列したクリティカル特性で、もうひとつはY軸に整列したクリティカル特性である。最初のマスクはX双極子回折光学素子を使用して効率的に露光することができ、二番目のマスクではY双極子を用いる。組み合わせたイメージは同じスキャナでも単一露光より優れた解像度とイメージのフレキシビリティを実現することが可能である。これはk1値、微細化を探求する新しい分野であり、ASMLで現在行われている研究が起点となっている。

Hyper-NA液浸リソグラフィ

 ArFリソグラフィの延長においてもうひとつの新しい方向性に液浸光学の利用がある。先述したように液浸露光を用いるとNA>1の光学システムをデザインすることが可能である。ASMLは反射屈折レンズによって最大NA1.2のTwinscan XT:1700iでこれを実現した。Hyper-NA光学の開発は光学のサイズと重さに重点を置いた。今日まで、ASMLや競合するほとんどのスキャナ光学は石英ガラスやCaF2などの屈折要素のみを使用した光屈折デザインであった。
 投影光学の複雑さとコストを抑えるためにASMLの光学パートナーである独Carl Zeiss社は反射と屈折両方の要素を用いてNA1.2のレンズで反射屈折が得られるよう設計した。これによって大きな開口度が以前のレンズと同じ形状因子で形成可能となり、Twinscanのプラットフォームを大幅に改造する必要性が生じなかった。
図4 双極子リソグラフィはマスクを二つのレイヤーに分ける。ひとつはX軸に整列したクリティカル特性で、もうひとつはY軸に整列したクリティカル特性である
 ASMLとZeissは光屈折形状因子の延長にインラインの反射屈折デザインを選択した。それによってガラス材料を40%削減すると同時に15%以上のNAを提供することができるからである(図5)。他の反射屈折デザインと比較して、インラインデザインはNAを1.3以上に容易に拡張することができ、最大生産力を保持する長方形のスキャン領域を提供し、屈折レンズと同じイメージ配置を保持し、さらに機械的な安定性も高い。Zeissはこれらのレンズを15枚以上組み立てたが、それぞれの性能は5μg以下の波面収差を示している。
 Twinscanを液浸向けに改造するためには、アーキテクチャをそのままにしておく部分と変化が必要な部分がある。今年の夏、ASMLはレンズデザインと装置本体構造の一貫性を特徴とした5代目の液浸装置XT1900iを発表した。ASMLはNA1.35や40nm解像度を達成するためにレンズを再設計せざるを得なかったわけではない。
 最新の流体力学と機械工学が液中でのウェーハ高速スキャンを可能にしているのは事実である。回折限界イメージングと高精度オーバーレイの両方を保持しながら500mm/sec以上の速度でスキャンしている。さらに8nm以下のオーバーレイ要求も満たしている。
図5 Carl Zeiss社の1.2NAレンズはインライン反射屈折デザインによってガラス材料を40%削減すると同時に15%以上のNAを提供することを可能にした
 水中でレジストを露光することによってスキャナデザインにも新たな困難が生じた。スキャナサプライヤは疎水性・親水性両方の表面膜において生産性の高いシステムを開発する必要があった。液浸リソグラフィはドライリソグラフィと同じくらい低い欠陥密度を達成しなければならない。この数年間で、水中の気泡、レジスト流出、水滴乾燥のしみなど可能性のある欠陥源はかなり詳細まで研究されてきた。
 新しい欠陥メカニズムの理解と欠陥源の低減もしくは除去の両方においてかなり進展があった。ついには、液浸リソグラフィを用いて複雑なIC製造が成功したという発表によって、液浸露光は容認可能な欠陥レベルで作動しているという最も重要な証拠が明らかになり、これによって高度なチップデザインの生産実施が可能となった。

予想される未来

 次の数年間Hyper-NA液浸光学とLow-k1技術によって強化されていくArFリソグラフィは最先端のIC大量製造者によって要求される微細化を継続してゆくだろう。しかし、どれだけ続くのか?
 液浸リソグラフィにおける水の屈折率の上限値は1.4以下である。しかし、k1値0.28以下で32nmデザインルールデバイスを生産するためには、高歩留まり量産の基準として開口度は最低でも1.6は要求される。その結果として、1.6の高開口度には新しい液体や新しい高屈折率ガラスの導入が必要になってくる。
 研究プログラムは1.65の屈折率のある流体を識別することにおいて進展した。しかし、液浸流体は他の物理的・経済的な要求も同様に満たさなければならない。例えば、温度においては低吸収率で指標変化が低く、高速スキャンに適した粘度やぬれ特性を有しており、比較的低価格で容易に入手できなければならない。この厳しい要求を満たそうと考えた時に、その奇跡の流体が何であるかということに悩まされることになる。
 同様に、研究プログラムは、石英ガラスに代替可能で、1.57の屈折率とCaF、もしくは1.50の屈折率がある下部レンズ素子用の新しいガラスを調査中である。現在は屈折率1.9のセラミックスピネルや2.1のガーネット(例:LuAG)などの材料に注目している。しかしLuAGは内因複屈折率(IBR:Intrinsic Birefringence)が高く、直交軸に沿ってというより材料間をゆっくり通ってひとつの軸に沿って偏光するという材料特性がある。このようにIBRが高い場合、容認しがたいイメージング悪化が発生し、これらの効果を補正するためにレンズデザインの複雑性が増す。同様に、セラミック材料にも問題がある。その微細構造が比較的多量な迷光を発生させてしまうのである。結果的に生じるコントラストロスを最小化するためには粒子サイズと構造の最適化が必要になってくる。両候補ともリソグラフィレベルの材料に加工するためには新プロセスまたは改善プロセスが要求される。
 新たな液体とガラスのビジネスモデルも懸念事項の一つである。Hyper-NA用ArFスキャナの最終レンズ素子専用で使用されている特化ガーネット材料に対する世界的な需要は、この数年で数百kg増加したかもしれないが、これらの材料を要求された光学グレードで生産するための投資はかなりのものと思われる。ガラスメーカーがそのようなリスクを負う能力や体制があるかどうかは不明である。
 ArFリソグラフィのさらなる延長を可能にする他の案とは何か?この数年で注目を集めているひとつのアイデアに二重露光と二重パターニング技術がある。先述しているように、二重双極子などで2回の露光を行なうことによってk1値を下げることが可能である。しかし、仮に2回の露光が単一のレジストステップで行われたとしても、結合イメージにはコントラストが無いため、k1値が0.25以下の特性を解像するのは不可能である。けれども、二重露光では0.25以下のk1値で効果的に特性を形成することができる。格子パターンの解像度がk1=0.19まで低下したプロセスと実験結果の例はASML(図6)とベルギーIMECにて実証済みである。
 この二重露光技術のメリットは、そのほとんどが現在の技術の延長で行えるということである。新しい薬液、ガラス、レチクル、露光源、レジストなどが不要である。しかし、デメリットもいくつかある。それぞれのクリティカルレイヤーに二つ(もしくはそれ以上)のレチクルが要求され、スキャナの生産性を効率よく半減しつつ二倍の露光を行わなければならない。従って、どのような道を通ろうとも最先端リソグラフィのCoO(Cost of Ownership)は課題となってくる。
図6 二重露光はk1値が0.25以下の特性露光を可能にする
(提供:ASML)
 さらに、オーバーレイのエラーはCDバジェットの直接的な一部であるため、二重露光ではオーバーレイ精度の要求が厳しくなる。例えば、もし最小特性の10%のCDバジェットの半分がオーバーレイ要求だとすれば、オーバーレイバジェットはR/20ということになる。ArFを32nmデザインルールまで延長するとした場合、オーバーレイバジェットは2nm以下となり、現在の約5倍は厳しくなる。さらに重要な問題として、複雑なICを、二重パターニングによってミスなく再結合可能な二つの相補的なパターンに分解する高性能デザイン分裂ソフトの性能である。
 1.35以上の開口度を求める高屈折率材料の開発と二重露光によるLow-k1技術のさらなる延長の両方において、我々は40nmハーフピッチメモリデザインを超えるArFリソグラフィをさらに延命するためにかなりの困難に直面している。顧客要求と最近の開発の勢いによってこのさらなる延命が計画されている。実際のところ、あきらめて次の波長へと移行するときには、13.5nmやEUVなどがリソグラフィにおける大きな論議となるだろう。

謝辞

 著者は、Low-k1の向上およびHyper-NA液浸システムの開発によってArFの延長に取り組んでいるASMLとCarl Zeissの多くのエンジニアに感謝の意を表す。
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William H. Arnoldは、1988年に主任研究者としてオランダのASMLに入社し、2001年にアメリカに戻りASMLの技術開発センターのリーダーを務めた。彼は以前はAMDに勤め、AMDの上級研究員や最先端露光開発のディレクターなどの役割を果たした。彼はハンプシャー大学から理学士号を取得し、シカゴ大学で物理学の理学修士を取得している。
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参考文献
1. A. Rosenbluth et al.,“Optimum Mask and Source Patterns to Print a Given Shape,” Proc. SPIE, 2001, Vol. 4346, p. 486; see also D. Flagello et al.,“Optical Lithography in the Sub-50 nm Regime,”Proc. SPIE, 2004, Vol. 5377, p. 21.
2. J.F. Chen and J.A. Matthews,“Mask for Photolithography,”Patent 5,242,770.
3. S. Hsu et al.,“65 nm Full-Chip Implementation Using Double Dipole Lithography,” Proc. SPIE, 2003, Vol. 5040, p. 215.
4. Journal of Microlithography, Microfabrication, and Microsystems (JM3), Immersion Lithography special issue, January 2004, several excellent papers reviewing the emergence of this field.
5. C. Wagner et al.,“Stepping and Scanning Into the NA>1 Immersion Exposure Era,” SEMICON Japan, December 2005.
6. D. Gil et al.,“First Microprocessors With Immersion Lithography,”Proc. SPIE, 2005, Vol. 5754, p. 119.
7. J.H. Chen et al.,“Characterization of ArF Immersion Process for Production,”Proc. SPIE, 2005, Vol. 5754, p. 13.
8. J. Mulkens, Sematech Immersion Workshop, Brugges, Belgium, September 2005.
9. M. Maenhoudt, J. Versluijs, H. Struyf, J. Van Olmen and M. Van Hove,“Double Patterning Scheme for Sub-0.25 k1 Sinzgle Damascene Structures at NA=0.75,λ=193nm,”Proc. SPIE, 2005, Vol. 5754, p.1508.