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2006年12月号
ウェーハエッジを
視覚化する
Frank Burkeen,
Srini Vedula,
Steven Meeks
KLA-Tencor社
www.kla-tencor.com
 ウェーハエッジの薄膜の剥離や欠けは歩留まり損失の大きな要因となっている。ある研究によれば、エッジ近辺のダイの歩留まり損失はウェーハ中央付近のダイよりも50%高く、過剰損失の半分は欠陥に起因するという。ウェーハ欠陥が構造的なものである場合、エッジ欠陥の検出は最適化できるが、プロセス欠陥だとそうはいかない。欠陥分類は、時間のかかるSEMによる検査に依存する。新しいOptical Surface Analyzer (OSA)技術は、エッジ領域の散乱光、反射光、位相コントラスト、およびトポグラフィ情報を収集し、最も一般的な欠陥タイプを即時に特定して分類する。
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図1 KLA-Tencorが行った9工場のアンケート調査では(グラフに平均を示す)、エッジ領域付近の歩留まりは、ウェーハの中心領域の歩留まりと比べ、半分ほどしかなかった。エッジ領域付近の歩留まり損失の半分以上は、欠陥によるものであった
 半導体製造プロセスでは均一性を追求する。ウェーハ上のすべてのダイには、同じプロセス条件、同じ化学環境、同じプラズマエネルギーおよびガスフローパターンを加えなければならない。プロセスエンジニアは、流体力学的の専門用語でいえば、「半無限媒質中」へのウェーハの投入を試みる。半無限媒質中では、制御環境の境界がプロセス条件に影響を与えることはない。200mmウェーハから300mmウェーハへの移行時には、プロセスの均一領域をいかにして拡大するかが大きな課題であった。
 それでもSiウェーハを無限に大口径化できるわけではない。ウェーハにはエッジがあり、そのエッジにはまずウェーハステージ、チャック、ロボットアームが接触する。ウェーハが拡大した部分全体にガスフローやプラズマエネルギーが均一に加えられたとしても、Si部分とそれ以外の部分の境界を完全に平滑化することは不可能だ。プロセスの仕様では長い間にわたって、エッジに除外領域を設けてきた。エッジ除外領域では、必ずしも均一性の仕様が満たされているわけではなく、プロセス性能は保証されていない。エッジ除外領域に入ってしまっているダイが正常に機能することは期待できない。それでも、エッジ除外領域の存在は、ダイがエッジ付近にあるかないかに関係なく、エッジ除外領域以外の領域にあるすべてのダイは欠陥から免れているというニュアンスを与えてしまう。しかし、エッジ上の問題は、エッジ以外の部分にも影響を与えるのが現実だ。平坦な表面からウェーハベベルおよびアペックスには、膜剥離が起きやすい高ストレス領域が作り出される。プロセスインテグレーション時に、界面ストレスによって薄膜とこれらの高ストレス領域の下層レイヤーの接着の不適合が起きる可能性がある。ウェーハ搬送ロボットや他の機械的接触によって、エッジベベルを覆っている薄膜が欠け、パーティクルが拡散する。熱サイクルと汚染源が接着性を劣化させてエッジ付近にブリスターを引き起こす。このようなブリスターが搬送時に盛り上がると、パーティクルが撒き散らされる。海岸線を打つ波のように、ウェットプロセスではエッジ部分の薄膜が浸食され、膜の剥離やパーティクル発生の原因となる。特に液浸リソグラフィでは、高速で動くウェーハステージに沿って液体内に気泡が生じ、ウェーハエッジ部分に津波のようなものを発生させる。このような欠陥源から発生するパーティクルは、ウェーハの表面を汚染したり、露光装置のステージに紛れ込んだりすることがある。9工場を対象としたベンチマークでは、エッジ近傍領域の歩留まりは、エッジ中央領域の歩留まりの50%以下であることが判明している。エッジ近辺の歩留まり損失の半分以上は、パラメータのばらつきではなく欠陥によるものであった。
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 エッジ欠陥は300mmウェーハに固有のものではない。ベンチマークでは、200mmウェーハや300mmウェーハに関係なくエッジ近辺に歩留まり損失が認められた。しかし、ウェーハ口径が大きいほど、エッジ近辺で形成されるダイの数は多くなる。300mmウェーハのエッジにおける10mm幅の環形部分の面積は約9110mm2であり、200mmウェーハのエッジの場合は、その約2/3の5970mm2である。実際、300mmウェーハのエッジにある幅10mmの環形部分は、ウェーハの合計面積の約13%を占め、また、口径が大きいウェーハの場合、その追加領域の23%を占める 。エッジ近傍領域の高い歩留まり損失は、ウェーハ歩留まり全体と工場の収益性に悪影響を与えることは明らかだ。エッジ領域に150個のダイが形成されており、30%を超える歩留まり損失が発生するという代表的な例を取り上げてみよう。失われたダイを数値化すると、1個あたり5.00ドル、ウェーハ投入数を毎週1万枚とすると、エッジ欠陥による週ごとの利益損失は250万ドルとなる。

欠陥は存在するが、
それを監視する方法は?


 半導体工場では、エッジ領域の歩留まりが芳しくないことは認識しているものの、対応能力は不十分なままだ。製品ウェーハ上のエッジ欠陥を定期的に監視している工場はほとんどない。歩留まり問題が発生しても、工場側では、エッジ欠陥が関係しているとは考えず、特定の欠陥に問題の原因を探ることもない。しかし、特定の欠陥を検査したからといって、問題の原因となっているプロセスを特定できるわけではない。エッジベベルに発生した剥離窒化膜の気泡は窒化膜の成膜時によるものなのか、それとも、汚染による接着不良によるものなのか。ウェーハの7つ(またはそれ以上)の窒化膜レイヤーのうち、どのレイヤーが問題なのか。ウェーハ表面に発生した問題であれば、問題が発生したと思われるステップの前後にプロセスモニターを配置することによって原因が特定できる。しかし、この方法では、自動検査を使用して多数のウェーハを量産レベルのスループットで定期的に監視する必要がある。製造時のエッジ欠陥の場合、この機能を利用するのはいまだに難しい。
図2 SEMや顕微鏡による目視検査は時間がかかりすぎて、量産には向かない
図3 CCD画像−CCDを使った技術と現在の光学系では、焦点深度が浅く、高解像度の撮像は困難だ
 最近まで、エッジ欠陥検査では基本的に、欠けや亀裂、およびウェーハのその他の構造的破損を検査してきた。これらの欠陥を受入検査で見つけることも重要であるが、量産ラインに投入した後に構造的破損が発生することはまれである。プロセス起因のエッジ欠陥は、複数のプロセスステップ間の相互作用が関係していることが多い。たとえば、接着不良は、ウェーハスポットやその他の残留物から発生する可能性もあるが、実際の膜の剥離は、その後の工程の薄膜の熱膨張や熱収縮によって引き起こされる場合がある。ブリスターが存在していると、熱膨張の増大や、機械的接触によるブリスター破裂が起きることもある。これらはいずれも、エッジベベル部分に複数のメタルレイヤーや誘電体レイヤーを堆積した後、配線プロセスで広く認められる現象である。
 効果的なプロセス制御のためには、エッジ欠陥を識別して適切な欠陥タイプに分類する必要がある。エッジ領域はノイズが多いので、特にこれらの作業には課題が多い。複数の異なる薄膜で膜厚に変化があったり、通常のハンドリングによる欠けやスクラッチが無数に発生していたりすることもある。量産投入前のウェーハ検査では少しの欠陥しか検出できなかったのに、後工程では同じ方法で数百、数千もの欠陥が見つかる場合もある。SEMレビューの速度は遅く、SEMレビューを上部ベベル領域まで拡大するのが精一杯で、大規模レビューは経済的に実現可能とはいえない。
 既存の検査技術をエッジ欠陥検出に適用している装置もある。1つはレーザ散乱光方式を利用したもので、現在、ウェーハ受入検査およびパターンなしウェーハのパーティクル監視装置として使用されている。これらのアプリケーションにはこの技術が適しているが、剥離膜、剥離片、残留膜などの薄膜に関連する製造欠陥に対する感度は低い。
 明視野および暗視野検査装置は、パターン付きウェーハ検査および欠陥分類の重要なツールであり、エッジ欠陥検出にも利用されてきた。しかし、このテクノロジは厳しい課題にも直面している。パターン付きウェーハのトポグラフィはそれなりに複雑であるが、ウェーハ表面は基本的に平坦である。最高部ピークと最深部トレンチの差は2〜3μmにも満たないので、焦点深度(DOF:Depth of Focus)の要求はそれほど厳しいものではない。これに対し、エッジ領域には、たっぷり3mm幅のエッジ除外領域が含まれる。欠陥はウェーハの表面、ベベル上部、ベベル頂点、ベベル底部、またはウェーハ底面に出現する。1台のCCDカメラの焦点をエッジに合わせるだけでは、μm規模の欠陥の画像処理に必要な解像度で領域全体の焦点を合わせることはできない。クリアな画像なしでは精度の高い欠陥検出および分類は不可能だ。DOFの課題に対応するための妥協案としては、画像処理の倍率を引き下げることであるが、この場合、解像度が下がってしまう。CCD画像処理では基本的に、個別光学系を持ち、視野が制限された顕微鏡を使用するが、エッジ付近領域全体を画像処理できるシステムを設計するのは困難である。画像処理カメラは固定配置するので、広い範囲をカバーするために複数台のカメラが必要となるが、これは量産レベルの監視には非現実的なオプションだ。また、欠陥画像処理の品質(色、形状など)は、視野角(入射角)の影響を受ける。色とコントラストを利用した検出アルゴリズムでは、実際の欠陥と正常なエッジのばらつきを区別するのは難しい。
図4 OSA(Optical Surface Analyzer)技術は、さまざまな欠陥タイプの正確な検出と分類に必要な高速スキャン、高速データ転送速度、マルチチャネルイメージング機能を提供する

新しい手法

 OSA技術をベースとした、米KLA-Tencor社の新しいプラットフォーム「VisEdge」は、画期的なマルチセンサ手法によって前述の課題を克服する。この技術は、ハードディスクドライブおよび化合物半導体市場では定評があり、世界中で300台以上の設置実績がある。
 VisEdgeは、エッジ領域から放出された光を画像処理する。レーザー光源は、ウェーハエッジ上面から底面にわたって偏光ビームを追跡する。検出器が散乱光と反射光を捕捉し、散乱強度、偏光、ビーム偏向、位相コントラストを測定する。これら4つの画像から提供される情報はそれぞれ異なる。反射光および位相チャネルは、剥離膜、剥離片、残留膜などの薄膜欠陥源に高い感度を示す。散乱光チャネルは、パーティクル、欠け、亀裂への感度が高い。4つの画像が組み合わさることで、ウェーハエッジの完全な画像が出来上がる。
図5 ウェーハ頂点のブリスター(VisEdgeの画像)−−マルチセンサーOSA(Optical Surface Analyzer)技術により、VisEdgeでは、位相シフト、反射光、トポグラフィがわかる散乱光をそれぞれ同時に測定することが可能
図6 VisEdgeは、エッジ欠陥がいかに表面欠陥に関連しているかをよく理解して全体的なダイ歩留まりを改善できるようにする
 同一領域から収集されたさまざまな画像を比較することで、剥離膜、パーティクル、その他の欠陥を区別できる。それ自体でも有用な画像処理データは、自動欠陥検出および分類機能により、欠陥マップを提供できるほどにその有益性が高まる。この欠陥マップは、ウェーハダイ検査装置で提供されるマップに匹敵する。プロセスエンジニアは、他の歩留まり問題を解決するときと同じ要領で、ダイ損失の原因をウェーハエッジにたどることができる。

完全な歩留まりソリューションに不可欠なエッジ検査

 ウェーハマップと完全ダイ検査を利用すると、欠陥クラスタを見つけ、ランダムパーティクルとプロセス問題による欠陥を区別することが可能となる。部分的なダイ検査では、エッジ除外領域近辺に発生した欠陥を追跡し、製品ダイに広がる前に問題の存在を認識できる。エッジ検査を追加することで部分的なダイ検査が完全なダイ検査になり、ウェーハエッジ自体の欠陥領域を見つけ出し、それらが歩留まり結果に与える影響を推測できるようになる。
 300mmウェーハ製造ラインに対する投資を回収するには、大口径ウェーハの追加領域の歩留まりを最大限高める必要がある。この領域の大半は、歩留まりが低いとされているウェーハエッジ付近にある。エッジ欠陥を高い信頼性で検出して分類することは、ウェーハ歩留まりの全体的な改善に不可欠であり、最終的に工場の生産性を左右する。このような重大な欠陥の早期検出と高精度分類を可能にするのが、KLA-TencorのVisEdgeシステムの実績ある技術である。
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Frank Burkeenは、米LA-Tencor社のGrowth and Emerging Markets(成長・新興市場、以下、GEM)事業部のマーケティング担当 シニアディレクターとして、同社の化合物半導体ウェーハ事業を統括。将来、市場へ導入する予定である革新的な新システムの開発にも戦術的、および戦略的なリーダーシップを発揮。 KLA-Tencor入社以前のバーキーンは、Brooks Automation、Asyst Technologies、Applied Materialsでマーケティングにおける上級職を歴任し、シリコンバレーにてソフトウェア事業の起業家として会社設立やベンチャー資金調達などの経験も有す。それ以前はアメリカ海軍の原子力工学 将校としての任務経歴を持つ。 カリフォルニア州立工科大学 ポモナ校で理学士号、同大学 サン・ルイス・オビスポ校で経営学修士号および理学修士号を取得。
Srini Vedulaは上級プロダクトマーケティングマネージャ。KLA-Tencorでは9年間以上、計測および検査関連アプリケーションを担当。最近はGEM部門を担当し、ウェーハエッジ検査製品に取り組んでいる。米Tennessee大学で化学工学の博士号を取得。
Steven W. Meeksは、米セントラルフロリダ大学で物理学の理学士号および電気工学の理学修士号を、米スタンフォード大学で応用物理学の理学修士号および博士号を取得。米海軍研究所で研究物理学者を務めた後、1985年にIBM Researchに移る。1997年にCandela Instrumentsを共同設立し、2004年10月に同社がKLA-Tencorに買収されるまで最高技術責任者を務めた。現在は技術担当副社長を務めている。