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2006年12月号

アプライド マテリアルズ ジャパン
代表取締役社長 渡辺 徹 氏

 米国カリフォルニア州サンタクララに本社を置く米Applied Materials(AMAT)社は、CVDやCMPなど前工程における各種半導体製造装置を手掛けるリーディングカンパニーである。2006年第3四半期の売上高は前年同期比56%増の25億4000万ドルとなり、通年でも過去最高を記録する勢いである。米Applied Films社の買収、大日本スクリーン製造との合弁会社SOKUDOの設立、太陽光発電装置市場への参入など、成長が見込まれる新規分野への取り組みも積極的に行っている。そこで、2006年8月に日本法人アプライド マテリアルズ ジャパン(AMJ)代表取締役社長に就任した渡辺徹氏に同社のビジネス戦略について話を伺った。
* * * *
Semiconductor International 日本版(以下SIJ):AMAT全体におけるビジネスの概況は。
渡辺:世界的に好調に推移しており、2006年度のAMATの売り上げは過去最高を記録する見通しである。すでに製品展開している製造装置については大きなシェアを維持できており、今後も引き続いてシェア拡大を図っていく。
 半導体デバイスは、45nmや32nmなどのようにさらなる微細化が進むにつれて既存の技術だけでトランジスタ性能を向上させることが困難になるため、最近ではHigh-kや歪みSiなどの技術が登場してきている。半導体メーカーにとっては新たなプロセスを導入して、新たな装置を追加する必要があるため、設備投資などにコストがかかる。製造装置メーカーである当社としては、先端プロセスを先取りして技術を確立していきたいと考えており、今後も需要の拡大が見込まれる装置市場においてシェアを獲っていきたい。
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SIJ:新規市場への取り組みも積極的に行っている。
渡辺:既存の製品展開についてはもちろんだが、新たな事業への取り組みとして大きく2つの技術に力を入れている。1つは半導体製造装置分野におけるコータ&デベロッパ市場への参入で、今年7月に大日本スクリーン製造との合弁会社SOKUDOの事業を開始した。これにより、当社にとっては半導体の製造工程(前工程)において露光装置以外の製品を全て扱うことが可能になるため、製造ラインのトータルでの性能や生産性を向上することができると考えている。もう1つは半導体以外の分野として、太陽電池の製造装置市場にも参入した。太陽電池は大きな基板を作製する必要があるが、Applied Films社が保有していたPVD装置などを活用することができる。
 太陽電池の需要は必ず伸びるとみているが、その理由は2つある。1つは単位W当りの価格で、現状では石油に比べると数倍程度高いが、2010年には石油と同等の価格になるとみている。今でも真夏のピーク時には石油に比べて安くなることもある。もう1つは環境問題で、今後はCO2の排出量を削減する方向に行くとみられ、太陽電池の需要は拡大していくだろう。
 今後は、製造装置を提供することなどで歩留まりの向上や太陽光発電コストの削減に貢献していきたい。
SIJ:半導体分野において製品カテゴリを広げることのメリットは。
コータ&デベロッパ市場への参入で
露光装置以外の全てのインテグレーションが可能に
渡辺:装置のインテグレーションが重要になってきている。現在、我々も45nmデザインのテストチップを実際に流して装置を鍛えている。以前であれば装置メーカーは製品の完成度を高めて出荷すればよかった。しかし、それぞれの装置で性能基準を満たしていても、実際に他の装置と組み合わせてラインを稼動させると歩留まりが成熟するまでに時間がかかる。
 そのため、当社では前もってテストチップを使って装置の調整を行うことで、トータルでのインテグレーションを図っている。通常であれば歩留まりが上がるまでに6カ月かかっていたところを2カ月に短縮できた例もある。SOKUDOの設立とともにコータ&デベロッパ装置市場に参入したことで、製造ラインにおいて露光装置以外は全て当社の製品でインテグレートすることが可能になった。
SIJ:国内におけるAMJのビジネス概況については。
渡辺:AMAT全体(世界)におけるAMJ(国内)の売り上げは20%程度を占めている。韓国や台湾でもそれぞれ20%程度の売り上げを占めているが、当社としてはさらなる売り上げ拡大を目指している。
 ただ、半導体市場は少なからず波が訪れるので、売り上げをフラットにするために、マーケットの影響を受けにくい補修、メンテナンス、中古装置といったサービス事業を強化している。
 中古装置市場へは10年ほど前から参入しているが、年々その規模が拡大してきている。国内向けだけでもすでに、AMJを経由して純正の中古装置として300台以上納品している。当然、それらの装置については保証付きでアフターサービスなども行っている。
SIJ:AMJとして国内で装置を開発することはあるのか。
渡辺:AMJでは装置を開発していないが、ユーザーからの情報をAMAT本社の技術開発拠点にフィードバックするなど連携して、装置開発に活かしていきたい。そういった意味でもAMJが貢献できればと考えている。
 装置メーカーにとっては、単に装置を製造して販売するのではなく、CMPにおけるスラリーや、コータにおけるレジストのように、装置と材料の関連性が重要になってきている。しかし、そういった半導体製造に用いられる材料の多くは国内の材料メーカーのものが採用されている。製造装置はそれら材料との調整が必要になるため、国内の材料メーカーとデータを共有し、それらをフィードバックして製品開発に活かせるのが我々の強みである。
 一方で、これからは日本だけでやっていくという時代ではないとの思いもある。韓国や台湾などアジア地域の拠点とも情報などさまざまなリソースを共有して、一緒に活動をしていきたいとも考えている。米国や欧州に比べると距離的にも近いので、そういったことも比較的容易にできる。
半導体メーカーだけでなく製造装置メーカーとしてプロセス開発にも貢献
SIJ:代表取締役社長に就任されてから主にどんな活動をされているのか。
渡辺:社外的にはユーザーや顧客への挨拶周りなどを行っている。社内的には技術力をつけることと、よい人材を確保してきちんと育てていくことが重要であると考えている。そのため、社員の声を聞くために全国にある国内拠点を周っている。また、米国カリフォルニアの本社で開かれる主要な会議にも参加し、情報をシェアするなどしてさまざまな意見交換を行っている。
SIJ:今年のSEMICON Japanへの出展概要は。
渡辺:近くリリース予定の新製品についてCG映像などで紹介することも検討している。SEMICONではここ数年ブース内でセミナーを開催しているが、今年も当社の最先端技術を紹介するとともにユーザー向けミニセミナーを開催する予定である。
SIJ:今後の目標や展望については。
渡辺:国内の半導体市場は今後もDRAMやフラッシュメモリーを中心に需要の拡大が見込まれている。当社としても受注が伸びており、来年の業績見通しについても今年と同程度、もしくはそれ以上を狙っていきたい。
 世界的な流れで見ると、半導体製造はこれまでにも増して研究開発コストがかさむものになるため、企業同士のコラボレーションの動きが活発になっていく。研究開発には今後、半導体メーカー間だけではなく、我々のような製造装置メーカーも寄与できるものと考えいるため、プロセス開発にも貢献していきたい。
(聞き手:津田 建二/鉄井 亮一)
   
 
わたなべ とおる

1980年、東芝に入社。1993年から1996年、IBM/シーメンス/東芝プロジェクト(米国ニューヨーク州イーストフィッシュキル)エッチングプロセス開発マネージャ。1996年から2001年、四日市工場 生産技術部 部長。2001年、米Dominion Semiconductor社 社長に就任。2002年、米Applied Materials社に入社。2003年、プロセスエンジニアリンググループ マネージャ。2005年、メイダン テクノロジーセンター グループ ジェネラルマネージャを歴任。2006年8月より現職。