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2006年12月号
Emerging Technologies
薄膜太陽電池の明るい未来
Katherine Derbyshire
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 太陽光発電産業は稀にみる好景気の真っただ中にある。しかし、太陽電池市場の成長に歯止めをかける障害になるのがポリシリコンの供給である。太陽光発電の90%以上がシリコンウェーハを原料として使用している。入射光子がシリコン内の接合部で自由キャリアを励起するとき発電する。太陽電池用ウェーハはIC用より低い要求仕様で製造される。つまり、太陽電池用ウェーハは汚染レベルの許容値を高くすることが可能で、単結晶でも複結晶でもよい。それでも、IC用、太陽電池用どちらのウェーハも同じポリシリコンの原材料に依存している。
 これまで、ポリシリコン材料メーカーはより付加価値の高いIC市場に焦点を当ててきた。一方、太陽電池メーカーはIC製造の「残り物」を買い、端面、欠陥のあるインゴット、その他の廃棄物を使用してきた。太陽電池産業が年間20%以上で成長し始めた頃まではこれでもよかった。米Solarbuzz社のアナリストによると、2005年のポリシリコン生産能力は12%増だったのに対し、ポリシリコンの契約価格は25%増加したという。
 従来の太陽電池パネル費用をこれまで最も左右してきたのがシリコン自体である。2005年のバルクシリコン価格は1kgあたり40ドル以下で、200W出力の典型的な1m2パネルでは2.5kg以上のシリコンが必要とされる。太陽電池メーカーとユーザーにとって重要な要素は1W当りのコストなので、最も理想的な価値向上への道のりの一つは、より少量の半導体からより多く発電することである。
 IC用ウェーハの製造と同様、太陽電池用ウェーハの製造でも、ウェーハの切断・加工中に大量のシリコンを損失してしまう。この無駄を減らせば、太陽電池の設計を変えることなく製造コストを減らすことが可能になる。それが米Evergreen Solar社の「ストリング・リボン」方式の考え方だ。2本のひもが薄いシリコン板を溶融シリコンから引き出す。その板は、従来のシリコンインゴットに必要な切断・加工を必要とせず、次の製造工程に直接使用することができる。
図 このようなデザインの太陽電池パネルは太陽光を最大500倍集光し、半導体材料の消費量を劇的に減らす
(出典:米SolFocus社)
 一方、太陽電池の設計を変えてシリコン使用量を減らす方法もある。単に薄いウェーハを使ったりガラス基板にシリコンを成膜しただけでは、コストと効率が相容れない。しかし、薄膜を使うと吸収や発電によるロスなく入射光を通過させることができる。2層間の多孔質シリコン膜は反射材として機能し、光を取り込み、光が無駄にならないようにしている。この多孔膜は、下層の金属シリコンウェーハの汚染物質からエピタキシャル膜を保護することに役立っているとみられる。ただ、ベルギーIMECのJef Poortmans氏は、エピタキシャル膜が十分なクリーン度を保つかどうかを見極めるにはさらに研究が必要であると述べている。
 太陽電池の設計において薄膜を使用し、バルクシリコンを放棄するとなれば、シリコンを使用するという議論は行き詰まる。バルクシリコンは発電材料として飛び抜けてよいわけではないが、他の半導体に比べて容易かつ低コストで入手できる。また、シリコンは太陽光スペクトルのわずかな太陽光を吸収する。シリコンは赤外線中で最も吸収特性が弱いが、赤外線は太陽の照射で最も強い。
 複数の接合部を有する太陽電池は、異なる吸収域を持つ材料を使うことで太陽光スペクトルをより多く利用する。例えば、SolFocusは赤外線を吸収するためにゲルマニウム基板を使用し、青色光と紫外線光を吸収するために宇宙工学で応用されているGaAsとInP層を追加する。
 残念ながら、複数接合を有するセルはシリコンより2倍も高価である。化石燃料で発電された電気は宇宙では手に入らないので、地球上での応用に必要なコスト要求ははるかに厳しい。太陽電池パネル自体の大きさをコンパクトにすることは困難だ。太陽光量は最高1000W/m2にも及ぶ。しかし、太陽電池パネルに集光レンズを使うことで、一定のパネルに必要な半導体材料の量を減らすことができる。複数接合を有するSolFocusの太陽電池セルは、シリコンより約2倍も多い太陽スペクトルを吸収し、最高で吸収係数500を達成する。そうなると、一定の発電をするために要する半導体材料の量は、同等シリコンパネルの1/1000に減らすことが可能になる。