半導体製造にとって今後EUVリソグラフィが費用対効果の高いソリューションとなるなら、まだ克服すべき課題はあるが、最近になって新たな動きが出てきた。二つの異なる研究グループ、ベルギーIMECと米ニューヨーク州立大学のCollege of Nanoscale Science and Engineering(CNSE)に、蘭ASML社からEUV露光装置のα機(ADT)が納入された。また、欧州のEUVプロジェクトMore Mooreは、サンプルを破壊せずにEUVマスクブランクを検査する新たな方法を作り出すのに成功したと発表した。
IMECには8月に最初のEUV露光装置が納入され、300mm用クリーンルームでフル稼働している。IMECは大手のICメーカーやその他のプログラムパートナーと共に、過去2〜3年かけてEUVリソグラフィ用フォトレジストを研究し、今後はADT機を使用する。IMECのEUVプログラムには以下の研究が含まれる。
・光経路安定性監視
・ウェーハ・ファブでのEUVリソグラフィ・レチクルの取り扱い
・EUVリソグラフィにおけるラインエッジラフネス(LER)評価とショットノイズとの関連性
・EUVレジスト評価とプロセスの最適化
・32nmノード以細におけるクリティカルレイヤーのパターニング
・EUVマスクの転写されうる欠陥
ニューヨーク州立大学にも6500万ドルといわれるEUV露光装置がASMLから8月に納入された。このEUVのADT機がひとたびCNSEのAlbany NanoTech研究所に設置されれば、6億ドルが投入される予定の国際的な産学コンソーシアム、国際ナノリソグラフィベンチャー(INVENT:International Venture for Nanolithography)の研究開発プログラムに役立つだろう。ASMLはAlbany NanoTech研究所の敷地内にあるNew York State Center of Excellence in Nanoelectronics and Nanotechnologyに4億ドルの研究開発センターを所有している。
「これはEUVの技術開発とその最終的な商品化に備えるにあたって重要な一歩である」と、CNSEのJames Ryan氏は述べている。
図 8月16日からIMECの300mmクリーンルームへASMLのEUV露光装置α機の設置が始まった
9月に米カリフォルニア州モンテレーで行われたPhotomask Technology conferenceの基調講演で、ASMLのマーケティング・技術担当エクゼクティブ・バイスプレジデントMartin van den Brink氏も同様に、「IMECとAlbanyに評価機が設置されたことによるこの勢いは、EUVにとって大きな進歩である」と述べる。両施設での評価結果は良好のようで、フルフィールドスキャンによる40nmライン/スペースの結像にも同氏は言及した。
EUVリソグラフィは32nmハーフピッチで量産に使用される予定だが、業界関係者の多くはそれまでに技術的課題が克服できるのか疑念を抱いている。これまでの短波長への流れにおいて解像度は19〜47%向上してきたのに対して、EUVでは10〜31%向上することができる、とvan den Brink氏は誇らしげに述べるが、同時にそれが大きな問題を伴うことも認めている。ただ、同氏はEUVリソグラフィが「32nmへの微細化に向けた唯一の可能性である」と主張する。
欧州委員会が資金提供するMore Mooreは、マスクブランク欠陥に関連した一連のEUVの課題に取り組むため、重要な一歩を踏み出した。目に見えないものを検査官が測定することは不可能だが、独Focus GmbH社、独Bielefeld大学、Mainz大学などMore Mooreプロジェクトの参加団体は、サンプルを破壊せずに20nmという微細な形状まで測定できる光電子放出顕微鏡を開発した。
これは、EUVマスクブランクの検査において役に立ち、以前のように検査中にマスクブランクが損傷することもなくなる。また、EUVマスクブランクに必要な反射率を持たせるために使用される多層膜が欠陥を隠してしまうため、電子顕微鏡で検出できなくなる。回路形状のサイズが小さくなるにつれて、より小さな欠陥を検査する必要があるため、マスクブランクの多層膜の下に隠れている50nmサイズの欠陥を特定できるこの新しい顕微鏡が使われている。