Semiconductor International日本版(以下SIJ) :2006年の半導体市場は?
熊谷 :2006年は、あまり大きな不安もなく、半導体需要は引き続き安定して伸長した年であった。装置・材料の需要では、投資が年始発表よりも強く着実に成長している。よかった、これが素直な感想だ。
SIJ :半導体や電子機器の用途別の伸びは?
熊谷 : 先進国ではデジタルコンシューマ機器市場が引き続き伸びていく。必ずしも最終製品の出荷とLSIの伸びがリンクするわけでもないであろうが。単純にPCや携帯電話だけではなく、ありとあらゆる所にLSIを使うというトレンドは、まだ当分スローダウンすることはないだろう。
SIJ :しかし、主流はPCや携帯電話のままだ。
熊谷 : 携帯電話メーカーは、携帯電話に動画機能やPCのようなインターネット機能などを搭載し始めている。これは一つの原動力だ。
SIJ :メモリーの需要は?
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熊谷 :メモリーの需要は引き続き伸びる。しかし、それがメモリーメーカーのビジネスにプラスに働いているかは分からない。コストプレッシャーの一部が、装置・材料メーカーに対するコストダウンのプレッシャーとなって跳ね返ってくる。ここは一部心配なところである。
SIJ :先端プロセスの導入状況は?
熊谷 :日本の場合は、良くも悪くも東芝を軸に先端プロセス開発が今まで動いてきた。一方で日本のコンソーシアムの動きは分かりにくい。もっと開発した技術、成果を使いやすいような体制にして欲しい。
SIJ :日本の半導体メーカーのプロセス開発状況が見えにくい。
熊谷 :日本の半導体メーカーのエンジニアは十分世界で活躍している。蚊帳の外ではない。しかし、少し弱気なところだけが見えてしまっているようだ。自信を持って欲しい。
SIJ :一方で、半導体装置・材料メーカーは好調だ。
熊谷 : 特に日本の材料メーカーが成功している理由は、もともと力のある化成メーカー、専業メーカーが存在し、技術レベルが高いことが挙げられる。半導体など新しい分野に、もともと持っている技術を適用して参入し、成長してきた。そういう強さを持ったメーカーが多い。かなりの割合で日本の材料メーカーは勝ち続けるだろう。米国メーカーの場合、ピンポイントで開発された材料が多い。そのため、次世代に移行した時に技術リソースがないメーカーなどもある。それに比べて、日本の材料メーカーの懐は深い。また、日本では通常の商談の中で実際のフィードバックをしながら製品の質を高めるコミュニケーションができている。これが圧倒的な強さを持つ日本の材料メーカーの優位点であり、この地位は揺るぐことがない。
SIJ :日本の材料メーカーに死角はない?
熊谷 : 性能が優れていても、利益を生まなければいけない。サプライチェーンの各ステップで適正な価格と利潤を維持しなければならない。ここは技術の進歩にブレーキがかかる可能性があり、懸念しているところだ。一方で、コストプレッシャーが技術革新を生む場合もある。日本の一部有力材料メーカーは、懐の深さで対応できるであろう。
SIJ :日本の半導体産業の課題は?
熊谷 :日本のもの作りの創造力はまだまだ高い。これが短期間で揺らぐことはない。これは半導体業界にもいえる。日本は上流から下流まですべてを網羅するインフラを構築してきた。これは米国や中国にはできなかった。あとは、日本の半導体メーカーが元気よく、大らかに事業を推進できればいいのであろう。 強いて言えば一番遅れているのは日本政府だ。一丸となって産業を育てるべきともいえるであろう。日本は悲観するべきではないのだ。
SIJ :低コスト化技術が必要といわれる?
熊谷 :日本の半導体メーカーの問題は、装置・材料に対する設備投資額などよりも、直接コストではないところが問題だ。意志決定も遅い。日本という地域が、コスト競争力で劣るわけではない。
SIJ :日本の製造装置メーカーの動向は?
熊谷 :日本の装置メーカーは世界を席巻している。半導体メーカーにもっと積極的になって欲しいだけだ。SEMICON Japanの規模の拡大を見ればこの業界が日本で育っているのが分かる。
SIJ :SEMICON Japanに対する期待も大きい。
熊谷 :SEMICON West 2006は約3200小間、SEMICON Japanは約4500小間近くとなった。登録来場者(出展社を除く)はSEMICON Westが1万9000名ぐらい、昨年のSEMICON Japanで5万名が来場している。来場者の密度の濃い展示会へと成長した。
SIJ :SEMICON Japanは30年で一つの節目にきた。
熊谷 :いかに変貌を遂げることができるかが課題だ。
SIJ :地味な業界内でとどまっているともいえる。
熊谷 :今後は新しい分野にもフォーカスしながら、さらに学生など、業界外からの人にも興味を持ってもらいたいと考えている。
SIJ :人材の問題も重要だ。
熊谷 :この業界は高い技術力を要求されるため、それだけ人を引きつける業界であることが重要だ。
SIJ :注目する技術は?
熊谷 :65nmプロセスから45nmプロセス、これらの最先端プロセスも以前に比べて、まるでいつの間にか進んでいるように加速している。装置側としても技術的に32nm以降まで見えてきているようだ。その他のアプリケーションでは、SEMICON Japanにおいて今年は、太陽光発電技術が大きな注目を浴びるとみている。