Movers&Shakers

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[2007年03月号]

By Gilbert Declerck氏 ベルギーIMEC 会長兼CEO
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 ベルギーIMEC(Interuniversity MicroElectronics Center)の会長兼CEO Gilbert J.Declerck氏は、1972年、ベルギーKatholieke Universiteit Leuvenから電子工学の博士号を受けた後、1年間、米Stanford大学の半導体関連の研究所で過ごした。1974年にKatholieke Universiteit Leuvenに戻り、1983年には教授となった。1984年、先端半導体プロセス部門の副会長としてIMECに移った。1993年、MOSデバイス物理学、CCD(Charge-Coupled Device)技術、VLSIのプロセス技術への貢献でIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)のフェローとなった。1998年、同氏はIMECのCEOに任命され、1999年から会長兼CEOを務めている。また、同氏はMEDEA+Scientific Committeeの会長であり、VRWB(Flanders Scientific Council)とENIAC Scientific Community Councilの会員である。

 IMECは、欧州のマイクロエレクトロニクス、ナノエレクトロニクス、ナノテクノロジー分野を率いる独立研究センターで、ICシステム向けの設計手法と技術を開発している。IMECの使命は、マイクロエレクトロニクス、ナノエレクトロニクス、設計手法、情報・通信システム技術分野の業界ニーズに先んじたR&Dを行なうことである。

Semiconductor International(以下SI):IMECはナノエレクトロニクスの主要プレーヤーだが、この分野で進展は?

Declerck:最先端のCMOSプロセスの開発を非常に活発に行なうとともに、微細化に傾注している。リソグラフィ、特に液浸とEUV(Extreme Ultraviolet)、さらに新しい材料について研究している。困難でやりがいのある32nmおよび20nmのデバイス開発を行なっている。これらのアーキテクチャーでは信頼性が非常に大きな問題だ。それに付随して、設計問題にも取り組んでいる。量産しやすい設計、つまり技術を意識した設計について議論している。IMECのシステム設計エンジニア達はルールが変化したことを承知しており、今後のシステム設計ではプロセスの制約、限界を考慮しなければならない。これはすべて電源、リーク、しきい値の状況、信頼性といったものと関係する。90nm世代ではこういうことはあまりなかったが、今日、45nmや32nmではすべてが関係するようになってきている。

SI:ナノエレクトロニクスの取り組みが、実行可能なナノテクノロジー代替案の研究というよりも、プレーナ型CMOSの延命に向けられているという見方がよくある。これは適切、有益な取り組みなのか、それとも単に必然を食い止める試みにすぎないのか。

Declerck:流れはCMOSの微細化に向かっている。ナノCMOSについて積極的に語られている。この状況があと7年から10年続くと思う。その時点で、CMOSを使い続けるのは製造装置とプロセスの両面でとても高くつくことになっているだろう。ナノエレクトロニクス技術はとても強力なので、それによってできることはとても多い。高速プロセッサや通信システムだけでなく、医療分野への架け橋にもなるだろう。我々はバイオ・ナノコンバージェンスについて議論しており、これらのエレクトロニクス技術を導入することにより、チップ上の研究室(Labs-on-a-Chip)や医療センサーへの応用が可能になるだろう。現在、我々は「病院へ検査しに行く」が、将来は、センサーや無線通信を使って必要な情報をデータベースに送ることにより、「病院が患者の元に来る」ということも可能になるだろう。

将来、ムーアの法則は、
チップ上で稼動する複数のシステムを編成する方法、
または、それらのシステムの
相互接続の方法を変えることによって実現されるだろう
SI:CMOSが限界に近づいていることは誰もが認めている。ナノテクノロジーの限界についてどう考えるか。

Declerck:ナノテクノロジーの守備範囲は非常に広い。エレクトロニクスだけでなく、化学、その他の分野もカバーする。IMECでは、ナノテクノロジーの用途とアプリケーションをエレクトロニクス分野に絞っている。この分野では、CMOSではマイナスになる量子効果でさえも有利に働く可能性がある。スピントロニクスが前途有望な分野として浮上する。しかし、まだ我々は理想的なスイッチを探しているにすぎない。CMOSというスイッチはほぼ完璧であり、これを他のものと置き換えるのはそう簡単なことではない。

SI:ムーアの法則の今後をどう見るか。

Declerck:ムーアの法則はもはやスケーリング効果に焦点を当てるだけにとどまらない。微細化がコストの要因でストップするときには(特に15nmの領域では、リソグラフィが非常に難しくなる)、15nmのような微細化では今までと違った方法で開発するようになるだろうと多くの人が信じている。今日のムーアの法則は、チップ上にどれだけ多くの機能を盛り込み、その一方で機能コストを下げるかに焦点を置いている。これまでは微細化によってこの法則が成り立ってきた。将来は、おそらく、チップ上で稼動する複数のシステムを編成する方法か、または、それらのシステムの配線の方法を変えることによってムーアの法則が実現されるだろう。我々は今、機能当たりのコストを削減するために、これらのシステムの設計・編成手法を新たに考えなければならない。ムーアの法則はシステム設計の分野に及んできていると言える。

医療分野へのナノテクノロジーの応用に
今以上に取り組みたいと思う。
素晴しいアプリケーションがたくさんある。
初期の癌細胞を検出し、
破壊する取り組みなどがなされている
SI:IMECなど、欧州のナノテクノロジーへの取り組みは、米国での取り組みとどのように違うか。

Declerck:難しい質問だ。我々の機関は欧州にあるが、米国、台湾、日本、その他の国々の協力企業とワールドワイドに連携している。そのような観点から、我々が欧州の典型的な技術センターというわけではない。米国にはSEMATECHのように、さまざまなイニシアチブや大学のグループ、センターが国中にたくさん散らばっている。欧州では、IMECやEuropean Commission、いくつかの大学や企業が、皆、構想、計画、プロジェクト、プログラムを構築しようとしている。

SI:IMECのR&Dおよび資金調達はどのようになっているか。

Declerck:2006年の我々の予算(P&L)は2億3100万ユーロ(2億9620万ドル)で、そのうち3500万ユーロ(約4500万ドル)は政府から受けている。また、約2億ドルは契約による資金拠出、すなわち業界パートナーやその他、欧州のプログラムから資金を調達している。よって政府からの資金は全体予算の約16%ということになる。 プログラムは潜在パートナーの意見を聴取した後に立ち上げる。まず我々がプログラムを定義してから、潜在パートナーを招聘し、プログラムへの参加、コストの一部の分担、成果の共有を行なう。

SI:ナノテクノロジーが最近進んでいる方向に満足しているか。あるいはナノテクノロジーの別の分野の研究をしたいか。

Declerck:医療分野へのナノテクノロジーの応用に今以上に取り組みたいと思う。素晴しいアプリケーションがたくさんある。初期の癌細胞を検出し、破壊する取り組みなどがなされている。この領域でやれることはまだまだ多く、将来重点を置きたいと考える。

(聞き手:Alexander Braun)



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