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FPD technology

ウォータージェット誘導レーザーで新分野を開拓

[2007年03月号]

By Ryoichi Tetsui
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Laser Microjetの原理。Synovaのホームページ(http://www.synova.ch/)にて動画を見ることができる

 半導体デバイスがより小さく、薄くなるにしたがい、機械的なダイシングでは間に合わなくなり、レーザーダイシングが注目されてきた。また、FPDの分野においてもディスプレイの大型化や高精細化などが進み、マスク製造などにおいて、微細かつ短時間での加工技術が求められている。しかし、通常のレーザー加工は熱によるダメージの発生や汚染の問題などがあり、これらの加工技術への適用が困難であった。スイスのSynova社は、先端デバイスや実装部品での安定したプロセスを提供する独自の「Laser Microjet」を開発、様々な分野への市場開拓を進めている。

 同社のLaser Microjetは、ウォータージェットとレーザーを複合させた加工技術で、カッティング、グラインディング、ドリリング、グルービング、スクライビングなどに応用が可能。原理的には光ファイバーに似ており、空気と水の界面での全反射現象を利用し、ノズルから出るウォータージェットによりレーザービームを誘導することで、高精度かつ微細な加工を実現している。通常のドライレーザーと比べて熱の影響が少ないのが特徴で、位置決め精度±5μm、加工精度±3μmでの加工が可能。レーザーを利用するため、加工形状は自由に行え、機械加工のように一方向や直線性というような制約もない。

 同社日本法人シノヴァ・ジャパン取締役の神月靖氏は、「これまでにも、屈折率を利用して水の中に光を通すことは考えられていたが、我々は200Wほどの高エネルギーのレーザーを水の中に閉じ込めることを可能にした」と説明する。「誘導する水がレーザー光を吸収すると水の温度が上昇してしまう。水の温度が上がると屈折率が変わってしまい、フォーカスを合わせても全反射する条件が狂ってしまう。ジェットを高速にして水温が変化しないウォータージェットを実現したことが最大のブレイクポイントだ」(同氏)という。

 技術的には、25μm径から最大で150μm径までの加工が可能。加工速度はウェーハ厚によって異なるが、厚さ50μmのSiウェーハでは200~300mm/sを実現している。加工物への熱のダメージが少ないのに加え、バリなどが出ないために保護膜なども不要で、絶えずウォータージェットが被加工物の表面を洗い流すことで、溶融した物質の再付着や再汚染の心配もない。

 また、ドライレーザーのようにアシストガスが不要であるため、消耗品やランニングコストを抑えることができる。レーザーを誘導するための水は純水を使用する。ウォータージェット径は30μm以下と細いため、水の使用量も20ml/min程度と少量で済む。ジェットの力は0.1N以下であるため、被加工物にダメージを与えることも少ない。レーザーはランプ励起のNd:YAGパルスレーザーを使用している。

 同技術の主な用途としては、半導体でのウェーハダイシング、電子部品用のメタルマスク、MEMS、医療器具、自動車部品などでの利用が期待されている。神月氏は、「今注力しているのは、有機EL用の蒸着マスク。Laser Microjetは加工の形状も自由に行え、CADデータを入力するだけで短時間に蒸着マスクなどを作製することができる」と説明する。

 今後の技術的な目標について、SynovaのCEO&プレジデントBernold Richerzhagen氏は、「現在のところ最小の加工径は25μmまで対応可能だが、今後は20μm、15μmと小径化を進め、最終的には2007年中に10μmまでの微細加工を実現したい。さらに、現時点でのレーザー出力は200Wだが、加工速度を向上させるため、将来的には300Wや400Wなどのような高出力レーザーの実現を目指したい」と語る。

 さらに同氏は、「水を嫌う材料などの加工には向かないが、半導体分野などをはじめ、多くの製造プロセスでは既に水が使用されている。Laser Microjetの特徴を活かして、既存のドライレーザーでは実現できない新たな分野を開拓していきたい」と述べ、「半導体やFPDをはじめ、様々なアプリケーションごとに最適化した装置を開発・提供していきたい」と意気込みを語った。



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