Editorial

なぜシリコン半導体は
いつまでも成長を続けるのか

[2007年04月号]

By 日本版 編集顧問 津田建二
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 先日、ある半導体用ガスの企業で講演を依頼され、半導体産業の成長について話をさせていただいた。シリコン半導体の成長はどこまでも止まらない、というのが私の結論である。

 これまでのさまざまなデータから、半導体産業の成長はむしろ加速している傾向さえ見える。例えば、2000年のITバブルから完全に脱却した2004年はじめの予測は、最近の実績よりも低い。2002年から半導体産業は右肩上がりで成長してきたのに、2004年はじめの予測では2005年をピークに2006年から2007年は低迷すると、見ていた。

 現実を手堅く見ようという傾向にあった、とはいえる。しかし、「あつものに懲りてなますを吹く」のことわざにあるように、ITバブルで大きく傷ついたため必要以上に慎重になっていた。

 最近、米Texas Instruments社が32nm以降の開発をやめるとか、微細化をやめるという動きも出てきた。これを素人は、シリコン産業はもう終わりだと考えるかもしれない。ならば、TIなどの半導体メーカーはもうシリコンを辞めてしまうのか。ノーである。Cypress Semiconductor社がNo More Moore戦略を決めたといっても、シリコン半導体ビジネスをやめるわけではない。むしろ、積極的にシリコン半導体産業に関わってくる。

 半導体ビジネスでは、微細化に頼らなくても成長できる、ということを先進的な半導体メーカーが認識し始めたのである。これが最近の大きな変化である。だから、この4月11日にSemiconductor International日本版が主催して、「第2回半導体エグゼクティブフォーラム 大変革時代を迎えた半導体ビジネスを捉える」 を開催する。

 これまでは、微細化にまるで追い立てられるかのように設備投資を続け、微細化と大口径化を進めてきた。しかし、数量を増やすことができる製品であれば今でも微細化と大口径化は欠かせない。つまり、DRAMやフラッシュなどの汎用品ではこれが成り立つ。

 しかし、SoCビジネスは製品の数量が少ない。このため微細化と大口径化はあまり関係しない。それよりも、最近ではシステムオンチップというよりは、ソフトウエアオンチップの方が合っているという声も出ているほどSoCビジネスではソフトウエアの比重が高い。

 デジタル的なSoCよりもリニアICではもっと極端だ。昨年、営業利益率がなんと40%を超える超高収益企業として、米国のLinear Technology社が米国の有力誌Business Weekで全ハイテク企業を対象とした高収益企業トップ5にランクインしていた。同社は1~0.7μmというプロセスで大きな利益を稼ぎ出したのである。開発してきた製品は高性能なリニアICという分野だ。0.7μm程度の遅れたプロセスで、汎用品ではない高性能品を生産し続けてきた。

 このことから言えることは、知恵を絞り利益の出る製品を開発すれば、シリコン半導体産業はまだまだ成長できるということだ。

 もちろん、微細化技術はメモリーが牽引する。メモリーはいくらあっても足りないという応用が次から次へと出てきている。スーパーハイビジョン、携帯電話のテレビ/ビデオ機能の進展、セキュリティカメラ応用の拡大など、大容量のメモリーは必要になる。

 このように、メモリーかSoCかで、半導体ビジネスの成長戦略は全く違う。一人の経営者が両方の製品の投資経営判断はできない。だからドイツInfineon社はメモリー専門のQimonda社を分社化した。いずれの分野も未来は大きい。シリコン半導体の本流を行く限り、成長から外れることはない。おそらく10年、20年のレンジで成長すると考えても差し支えないはずだ。

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