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ArFリソグラフィで
hp45nmを実現する
Mark Slezak
Ramakrishnan Ayothi
Zhi Liu
米JSR Micro社
www.jsrmicro.com
JSR
www.jsr.co.jp
[2007年04月号]
ケミカル・シュリンク、3層レジスト、液浸リソグラフィ、ダブルパターニングなどはいずれも、ArF(波長193nm)で45nmハーフピッチ(hp)を実現する有効な選択肢だ。最近の材料の開発動向を概観しながら、hp45nmを実現するこれらの技術の開発状況を比較してみる。
光リソグラフィを延命できることが徐々に明らかになり、リソグラフィの研究者たちは波長を変えずに要求される縮小露光を可能にするために、数多くの技術革新を実現する必要性に迫られてきた。そして液浸リソグラフィが登場して、ArFを5世代目へと記録的に延命する可能性ができると、時期やコストの問題から業界は液浸に向かって突き進むことになった。液浸リソグラフィでは、レンズとウェーハの間に水を導入して開口数(NA)の限界を克服し、45nm以下のhpに到達できる見通しにある。
しかし、新しい液浸技術は決して安価ではない。液浸露光装置と先端のマスクセットは高価であり、標準的なドライプロセスを拡張して適用し続ける方法があるのなら検討せざる得ない。そこで、まずケミカル・シュリンク(化学反応による縮小技術)と3層レジストなどの最新の材料を使う次世代技術で、要求される設計基準を満たす方法について検討してみたい。そして、液浸材料の現状、193nm波長のレジスト設計、ダブルパターニングが適している領域について評価する。
ケミカル・シュリンク
図1 ケミカル・シュリンク材料により、100nmのコンタクトホール(左)と80nm(右)に縮小。表面の粗度とホール形状は維持されている
図2 ケミカル・シュリンク・プロセスでは、微量の酸と熱がケミカル・シュリンク材料(CSM)とフォトレジスト構造と反応して架橋部を形成。現像後にレジストの側壁に酸が残り、焼成中にCSMと反応して架橋部ができる。架橋部以外のCSMを除去すると、ホール径が縮小している
ケミカル・シュリンクのもう1つの利点は、露光装置の寿命を延ばすことができ、高いNAの高価な露光装置を導入する必要がないことだ。さらに、ケミカル・シュリンクによる加工は、露光装置の加工時間とは無関係で、スタンドアローンの塗布装置で行うことができる。図2に、典型的なケミカル・シュリンクのプロセスフローを示した。ケミカル・シュリンクは、レジストの上層に適用された材料が微量の酸と熱により、レジストの周囲に架橋部(Cross-links)を形成する仕組みを利用している。このため、露光時にレジスト中で微量の酸を生成する光酸発生剤(Photoacid Generator)を、架橋部の化学反応に利用することも可能かもしれない。現像プロセスの後で、コンタクトホールの内側やレジストの側壁に酸が残留する。この残留した酸とケミカル・シュリンク材料が化学反応して架橋部が形成される。架橋部を焼成すると硬化層になり、架橋部の外側のケミカル・シュリンク材料を現像で取り除くと、内径が縮小されたホールあるいはトレンチが残る。
ケミカル・シュリンクはもともと、コンタクトホールを加工する許容度を広げるために使われていた。しかし、加工層の配線と隙間の間隔が厳しくなり、ケミカル・シュリンクはトレンチ形成にも適用されるようになった(図3)。
ただ、hp45nmのCDを実現しようとすると、ケミカル・シュリンクの特性は複雑であり、プロセスの複数箇所に特別の注意を払う必要がでてくる。まず、縮小過程では、マスク上の光近接補正(OPC:Optical Proximity Correction)の複雑化を避ける手だてとなるピッチ依存性やX/Y(幅/長)制御は使えない。縮小後は、CDの変形を避けるために、エッチングの良好な耐久性が重要になる。また、縮小後の欠陥発生率を最小限に抑えるために、既成のレジスト構造とケミカル・シュリンク材料が混じらないようにする必要がある。さらに、必要な縮小の調整は焼成温度で行うしかなく、摂氏1度あたりに生じる0.5nm未満のCDのばらつきを避けるために、縮小率を制御することが重要になる。
図3 CSMはコンタクトホールの設計に使われていたが、今日では線と隙間の縮小にも応用されている。図では60nmのトレンチを、ケミカル・シュリンク・プロセスで40nmに縮小した
3層システム
多層リソグラフィでは、厚みがある平面下地層のコーティングに続いて、1層でイメージングとレジストを1回のコーティングで行う場合と、イメージングとレジスト層を2回のコーディングで行う場合がある。ハードマスクやエッチマスキングや中間層には、CVDかスピンオンプロセスを適用できる。193nm波長リソグラフィで利用できた多層技術は、多層レジスト(レジスト/BARC/SiON/SiC)、CVDによる3層イメージング(レジスト/SiOCH/SiC)またはスピンオン(レジスト/SOG/下地層)、および2層リソグラフィ(Si含有レジスト/下地層)の3つのタイプに分類することができる。
図4 3層レジストの1例(150nm ArFレジスト/50nm Si含有中間層/300nm 高炭素含有下地層)では、液浸リソグラフィと高NA(0.93)光学系により80nmのコンタクトホールのパターンを形成した
スピンオン3層リソグラフィには、CVD装置、基板上における広範なエッチ選択性、比較的低いアスペクト比の先端的なレジストの利用、下地層の平面化、スタックの反射制御などの面で、プロセスコストが低いという重要な利点がある。
重合体/低重合体またはSi含有分子は、屈折酸化物の形成と酸素プラズマのレジストという特徴から、中間層向けとして関心が高い。多層リソグラフィで活発に研究されている材料には、Si含有ポリメタクリル酸エステル(polymethacrylate)、Si含有ポリノルボルネンーマレイン酸無水交互共重合体(polynorbornene-maleic anhydride alternating copolymers)、ポリシルセスキオキサン(PSQ:polysilsesquioxane)ベースのレジストなどの有機Si材料がある。スピンオン3層材料における進化は、前世代の中間層と下地層と比べて明らかな利点があり、ファブにおけるCoOの低減にもつながっている。
液浸リソグラフィの現状
図5 液浸トップコートの発展が浸出レベルを大きく改善した
液浸トップコート技術は、2004年に登場してから急速に発展した。液浸リソグラフィでは当初から欠陥発生の問題だけでなく、レジストが液体に浸出してレンズを汚し、イメージング品質を損なったり高価なレンズ交換を強いる可能性が懸念されていた。過去3年の間に、材料メーカーは先端的なトップコートによる解決法を提供できるようになり、浸出の問題を解消しただけでなく(図5)、液浸プロセスの問題発生率をドライプロセス並に低減させた(図6)。
液浸トップコートは当初、水とレジストの混合を最小限にするために非常に疎水性が高い設計になっていたが、トップコートの特性を研究するうちに、レジストとトップコートと液浸流体の間でバランスが良い表面特性が必要なことが明らかになった。トップコートの疎水性があまり高いと、液浸シャワーヘッドの角度が変化する過程で空気を巻き込みバブル欠陥を生じやすい。さらに、表面の疎水性が強すぎると、現像プロセスで現像液が表面に浸透できず、残渣欠陥を起こしやすい。トップコートで成功を収める鍵は、浸出と欠陥の制御を可能にする表面特性のバランスを最適化することにある。
先端的なトップコートに適用された同じ表面特性は、トップコートレス・レジストの開発にも利用されている。トップコートレス・レジストを実現する上での挑戦課題は、レジスト表面の疎水性を、ブリッジングや残渣欠陥を招かない程度に強化することだった。そのような設計をするためには、浸出と溶解の制御のバランスをとることが重要になる。トップコートレス・レジストでは、トップコートの設計と同様に、コンタクト角が高くなりバブル欠陥を発生しないように、レジスト表面の疎水性を高めすぎないことが重要になる。
ArFレジストの先端設計
図6 コンタクトホール層の欠陥数が300mmウェーハで10個未満であることが、米KLA-Tencor社の欠陥検査装置「2351」上で、東京エレクトロンのトラック「ACT-12」と蘭ASML社の露光装置「XT:1250i」(NA=0.85)を使いパターン化されて計測された
レジストと流体の相互反応の問題は、疎水性と親水性の特性を示すレジスト成分を精密に調整することにより解決されてきた。酸の核酸と浸出を抑制するために、レジスト中で光照射により酸を生成する重合体などの光酸発生剤が提案されている。また、微細領域における分子の異方性を解決して解像度と線幅制御を向上するために、分子レジストが開発された。ベース・ポリマーの屈折率を適度に改善する方法も、重合体の構造調整や添加物により実現されている。
分子レジストでは、フッ化シクロデキストリン(fluorinated cyclodextrin)、カゴ状ポリシルセスキオサン(POSS:polyhedral origomeric silsesquioxanes)ベースの材料、Si含有あるいはSi非含有のコール塩酸(cholate)誘導体などの分子ガラスレジストや、アダマンタン(adamantane)ベースのレジストが提案され、193nm波長のリソグラフィ向けに開発されている。米IBM社が開発したPOSSベースの分子レジストは、その中でも高い解像度および優れた溶解特性とラインエッジ粗度を実現している。高屈折率のレジストは、Hyper-NA露光装置の解像度とプロセス許容度に貢献することが期待でき、硫黄含有重合体の屈折率は通常のArFレジストの重合体よりも大きいことが知られている。しかし、hp45nmにこれらのアプローチやレジスト設計を適用するには、さらに改善が必要になる。
ArFをhp45nmに至る開発に拡張するためには、前世代の技術ノードで要求された主要技術に継続して取り組む必要がある。高いコントラストと解像度、ラインエッジ粗度の低さ、マスクエラーの要因の制御などは、とりわけ重要になる。そして、これらの事柄は、酸の適切な拡散制御、フィルム(縦横とも)中のレジスト成分の分布、レジストを活性化するエネルギー制御などにより管理することができる。図7では、最新のメタクリル酸エステルを用いて、hp45nmのCD要求に対応するようArF技術を拡張した例を示した。
ダブルパターニング
図7 ARXシリーズの高コントラスト・レジストで実現した40nm(左)と42nm(右)ハーフピッチ・リソグラフィでは、NA 1.3の英Exitech社の液浸マイクロステッパと2極照射(90nm ARC 29A-8 BARC/100 nmレジスト/30nm液浸トップコート)を使用した
二重露光/シングル現像は、2つのマスクを使うシンプルなインテグレーションを特色にしている。1度目の露光では、軸外照射(OAI:Off-Axis Illumination)を使い最も密度が高いピッチを転写する。2度目の露光では、第2マスクに光学近接効果補正(OPC:Optical Proximity Correction)を適用して、規定外のピッチや孤立した部分を転写する。この方法では、コントラストが高いレジスト材料が必要になる。
「周波数ダブリング」という別の方法では、最初の露光/PEBで同じ層のレジストにマスクアライメントを変化させて2度露光する。このアプローチは、フォトレジストが酸を発生する伝統的なリニアプロセスに技術的課題を提示するため、最初に露光するレジスト層に何らかの処理を施す必要がある。
二重露光と1回の現像の組み合わせは、第2露光でフレアを生じさせたり、第1露光と第2露光の遅延が問題になることがあるが、他の方法と比べてスループットは高い。
二重露光/ダブル現像は、最初の層をネガティブ型レジストで、2層目をポジティブ型レジストでパターンを形成する多数の方法の1例である。この方法では、形状的な理由から2度目の露光の焦点深度が限られ、2層目のレジストをコーティングする時に1層目のレジストパターンと混じり合い溶解するという課題があるが、問題を克服する材料技術は確立されている。二重露光/ダブル現像のアプローチでは、数多くのケミカル・シュリンク法が確立されており、リソグラフィの間に狭い半隔離状態のトレンチを形成し、2度目の露光と現像でパターンを連結するために活用することができる。ただ、一般的に二重露光で2度現像する方法では、2層目のレジストをコーティングする前に、1層目を「凍結(freezing)」する手段が必要になる。
二重露光/ダブルエッチは、他の2つの方法と比べると、新材料やレジスト技術の革新をあまり必要としない。しかし、異なるハードマスクで使用する2つのレジストの互換性と形状的な理由で焦点深度の限界が問題になる可能性はある。また、スループットが低くなる可能性も残っている。
二重露光では、高いコントラストが必要であり、酸の拡散を適切に制御することが肝要になる。また、二重露光で2度現像する場合は、架橋部エージェントや凍結エージェントになる材料が必要になる。さらに、二重露光/ダブル現像/ダブルエッチでは、幅広いハードマスクと高い互換性をもつレジストが必要になる。
結論
Ramakrishnan Ayothiは、JSR Microのシニアデベロップメントエンジニア。
Zhi Liuは、JSR Microのテクニカルスーパーバイザー。
参考文献
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