SIJ Opinions

ISSCC 2007に見る日本の凋落

[2007年04月号]

By 服部 毅
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 集積回路・システムのオリンピックとも言われる「ISSCC(International Solid-State Circuits Conference)2007」が、4千人近くの参加者を迎えて2007年2月11~15日の5日間、米国サンフランシスコで開催された。今回のメインテーマは「The 4 dimensions of IC Innovation(IC革新の4つの次元)」。ここで、4つの次元とは、1.材料やプロセスなどのテクノロジー、2.デバイス、3.回路、4.システム・アーキテクチャを指す。微細化がナノメートル領域にまで及ぶに至り、この4つの次元は互いの境界があいまいになってきているが、むしろこれらの相乗効果によってIC革新を目指そうというわけだ。

 基調講演セッションでは、台湾TSMC社のChang会長が,盛況なファウンドリー・ビジネスの変遷について語った。「従来のような単純な設計・製造分業のモデルから、ユーザーとファウンドリが最終製品開発の初期段階から綿密な共同作業を行う、DFMを活用した設計・製造協業モデルへと変わってきている」。「TSMCの生産能力は300mm基板で月産10万枚を超えている。成長を支えるのは、民生エレクトロニクスで、ワイヤレス、ゲーム、デジタルTV、LCDドライバー、MP3,デジタルカメラ、電源管理などが今後有望だ」などと述べた。日本の半導体産業のお株が奪われてしまった感がある。

韓国勢の発表は増加、でも日本は・・・
 ISSCC2007への投稿論文数は637件で、その37%に当たる234件が採択された。地域別の採択論文数は、北米が91件と一番多く、アジアが73件、ヨーロッパが70件と続く。アジアの中では、日本が27件でトップだが(表1)、韓国の25件が肉薄する。例年、日本からは40件前後、韓国からは10件台であったので、日本の採択数の減少と韓国の増加は対照的である。日本は、応募数も減少した上に、採択率も以前の7割(2003年)から毎年低下の一途をたどり、今年は約4割と全体の平均値とほぼ同じレベルになってしまった。

過半数は大学からの発表、
でも日本の場合は・・・

表 ISSCC 2007における日本からの発表の機関別ランキング

 ISSCCでは、大学や研究機関からの発表が毎年着実に増加し手着ており、今年はついに51%と初めて過半数を占めた。韓国の大学院大学である韓国科学技術院(KAIST)、台湾の国立台湾大学(NTU)が9件と米IBM社と並んでトップに躍り出た。MIT 7件 スタンフォード大6件、UCLA 5件と米国の著名大学が続々とランキングの上位を占めている。ベルギーのIMECも6件と健闘している。一方、日本の大学からの発表は全部合わせても7件で、台韓のトップ大学一校分にも及ばない。日本の研究機関からの発表は皆無だ。

 新らしい応用領域と目ざされるバイオメディカル分野では、網膜チップ(独)、皮下埋め込みチップ(米)、デジタル補聴器用LSI(韓)、オンチップMRI(台)と各国から多様な発表が行われたが、その中に日本からの発表はなかった。光通信やセンサー・MEMSなどのセッションにも日本からの発表はない。

 このような日本凋落の傾向は、昨年の秋に東京で開催されたIEEE/応用物理学会/SEMI主催のISSM(半導体製造国際シンポジウム)や暮れにサンフランシスコで開催されたIEEE主催のIEDM(国際電子デバイス会議)でも同様であった。1)この傾向に何とか歯止めがかけられぬものだろうか。台韓やベルギーなど外国では、長期的な半導体強化の取り組みが着実に実を結び始めているように見える。日本でも半導体産業復活を目指して1994年に半導体産業研究所が設立されて以来、過去10年以上にわたり、さまざまな産官学コンソーシアムや国家プロジェクトが誕生し活動してきたが、その真価がいま問われている。





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参考文献


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