Editorial

真剣に議論すべき、メモリー、SoCのプロセス技術戦略

[2007年05月号]

By 日本版 編集顧問 津田建二
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 前回、シリコン半導体の成長はどこまでも止まらない、ということを述べた。半導体ビジネスがメモリーとSoCで大きく分かれていき、どちらも10年、20年は成長する。メモリー、特にかつて世界を席巻していたDRAMビジネスは、パソコンからデジタル家電へ応用製品が広がり、大容量化がやはり進展することがはっきりしてきた。だから今後も成長する。1990年代はパソコンがDRAMを牽引し、2000年代はデジタルカメラや携帯電話、デジタルテレビ受像機などがDRAMの大容量化を引っ張る。動画の誤り訂正やビデオのバッファ記録にDRAMが欠かせなくなってきたからだ。

 メモリービジネスでは、微細化による量産効果は十分に期待できる。このため、微細化に必要な新しい設備を購入するための投資が欠かせない。投資をきっちり行い、量産効果でリターンを得る。今主流のメモリープロセス技術は90nmである。さらに微細化を進めることで1枚のウェーハから取れるチップ数が増え、低価格化できる。

 日本で唯一のDRAMメーカーであるエルピーダメモリは、微細化を強く推し進めている。現在主流の90nm製品を微細化し、70nmへの切り替えを進めている。昨年12月に開始した70nmプロセスの量産は好調に推移しているらしい。90nmプロセス製品と比べると歩留まりはまだ及ばないが、90nmプロセスと同じコストでできるようになったといわれている。4月3日付の日本経済新聞によると、国内の広島工場で生産するDRAMのうち80%を年内に70nmへ切り替えるという。

 微細化と同時に大口径化も低コスト化に寄与する。つまりウェーハサイズは大きければ大きいほどチップは安くなる。このため、広島工場で持っていた200mmウェーハのプロセス設備をすべて中国メーカーに売却する。広島工場ではすべて300mmウェーハラインで生産する。このため300mmの設備投資を積極的に行い、チップの生産能力を増強する。

 競合メーカーがDRAMの設備投資を躊躇しているうちに、果敢に攻めるというシナリオだ。これにより、「DRAMビジネスで天下をとる」、という同社坂本幸雄社長の夢は実現に向けて大きく近づく。微細化、大口径化、そのための設備投資、という大量生産のビジネスモデルを推進して天下をとるというやり方は決して新しくはないが、ビジネスの王道を行っているといえよう。

 メモリービジネスでは微細化と大口径化を進めることで量産効果が表れ、チップのコストは下がる。実際、装置メーカーを取材すると、フラッシュとDRAMメーカーに売れているという。一方のSoCビジネスでは装置メーカーにとっては微細化・バッチ処理ではなく、ウェーハを1枚ずつ処理する枚葉式への移行が焦点となる。SoCビジネスではチップの量産効果が求められないため、微細化への要求はさほど強くない。にもかかわらず、微細化を進めてきた半導体メーカーが多かった。

 最近になってようやく、微細化技術はファウンドリに任せるという動きが出てきたが、遅きに失したという感はゆがめない。SoCビジネスでは、人材やソフトウエアに投資すべきなのだが、プロセスの微細化に投資してきたというチグハグな投資戦略だった。このため企業のP/Lを傷つけてきたのが日本のSoCメーカーであったといえる。

 この3月27日、東京品川で本誌が開催した「45nm Wafer Cleaning Solution~洗浄技術徹底討論会」では、枚葉式の洗浄装置が脚光を浴びた。SoC半導体チップ向けのプロセス技術は、もっと真剣に枚葉式装置を議論する時期に来たといえる。

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