Industry Watch

メモリーが再び市場を牽引する

Klaus Rinnen、Bob Johnson
米Gartner Dataquest社
www.gartner.com

[2007年06月号]

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 2007年第1四半期も終わりに近づき、半導体業界にとって華々しくはないものの興味深い年となりそうな予感がしてきた。全体的な半導体売上高の成長率は1ケタ台半ばになりそうである。今のところ我々は6%の伸びを見込んでいる。設備投資はおおよそ昨年と同じ水準になる見通しで、2006年の設備投資の伸びが20%弱、設備費の伸びが26%だったことを考えると、悪い数字ではない。

 最近、半導体業界はファブの稼働率が突然下がったことに驚かされた。これは在庫増加への対応として生産調整が行われたことを示している。しかし、業界はこれに対し素早く対応したように思われる。つまり、生産の減少は比較的小さいと予想され、生産能力への新たな投資効果には大きな影響は与えないだろう。

 2006年第4四半期に全体的な稼働率が再び下がったものの、最先端設備の稼働率は90%近い数字を維持することができた。全体的な稼働率は2007年上半期に85%程度で横ばいになり、その後はゆっくりと上昇し始めると予想される。そして、最先端設備の稼働率は90%台前半の水準でとどまるだろう。これは、新規設備への継続投資を促すレベルであるといえる。半導体製造装置市場にとって、これらの兆候はすべて2007年を指し示している。年次比較では横ばい状態だが、2006年から大きく下がってはいない。しかし、四半期毎の状況は年次とは違う問題である。

最も大きな懸念材料は、今後のメモリー市場に何が起きるのかということである。別の言い方をすると、新規設備への積極的な投資が、個数ベースの需要の急騰に最終的に追いつくのはいったいいつなのか、ということである。その答えは、我々が望む時期よりおそらく早くなるとみられる。もしそれが現実のものになったとしても、我々の業界を救うため他の分野から十分な投資があるのだろうか?

 DRAMとNAND型フラッシュというメモリー市場で特に注目される2つの分野を見てみると、2007年は2006年とは大きく異なる状況が見えてくる。2006年は、約18%の出荷数の伸びに促されて、DRAMの売上高の成長率は36%の伸びを示した。しかし、2007年には確実に後退するだろう。我々の最新の予想では、2007年のDRAMの売上高は10.5%増、個数ベースでは38%増になるとみられる。

 NAND型フラッシュはDRAMとはは若干異なるパターンになるとみられる。2006年において、売上高は7%増、出荷数は47%増とそれぞれ伸びた。2007年は売上高が1%減と若干下がるものの、個数ベースでは49%増と昨年と同程度の成長が見込まれている。供給は明らかに需要に追いついており、ASP(平均販売価格)の急落が唯一の原因となって出荷数を牽引することになる。

 しかし、設備投資に関していうと、メモリーへの投資は2006年とあまり変わらないという結果が最新の予測で示されている。昨年、メモリー関連の投資額は設備投資全体の48%を占め、270億ドル強だった。2007年も似たような数字になると予想され、設備投資全体のほぼ半分を占めることになるだろう。一番重要な疑問は、通常は半導体売上高全体の約1/4を占めるメモリー市場が、なぜ設備投資の半分をも牽引することができるのかということである。

 メモリーが設備投資を牽引している理由は、DRAMとNAND型フラッシュ双方に対する個数ベースの需要の急増であり、それは、追加的な生産能力として大規模な投資をすることによってのみ、この需要を満たすことができることを意味する。しかし、これは状況の半分を表しているに過ぎない。メモリー市場は極めて競争力のある商品市場なため、市場シェアや市場のリーダーたる地位は、高まる需要に応えるために生産能力を拡大できる企業だけのものになる。また、市場の供給と需要の全体的な指標によって平均的な市場販売価格は決まるので、市場平均よりコストを下げ続けられる企業がより多くの収益性を享受するだろうし、そういう企業は今後もよりよい投資を続けることが可能となる。つまり、供給が制限され、かつ急増する需要に直面している市場においては、新たな生産能力に大規模な投資をして、一番先に市場に参入することで多くのものが得られるのである。それがまさに今日のメモリー市場で起きていることである。

 しかし、新たな生産能力へ猛烈なペースで投資を続けることが、単に収益率がギリギリになる限界のところまで価格を下げることにしかつながらないのであれば、もはやそれはある時点で意味を失う。今日我々が直面する大きな問題は、いつこれがメモリー市場で起きるかということである。

 振り返ってみると、メモリー関連投資が設備投資全体の半分近くを占めたのは1995~1996年であった。その期間にDRAMのASPは1995年第4四半期から1996年第4四半期までに60%以上も低下し、1997年には、設備投資全体に占めるメモリー投資の割合が劇的に落ち込んだ。

 すでに、需要と供給のバランスが供給側へ傾きかけている兆候が見られる。DRAMとNAND型フラッシュの両方で、昨年よりかなり速いペースで価格の低下が見られるだろう。これは、DRAMの個数ベースの需要が5.4%しか伸びなかった1996年の厳しい価格低下と比較される。ただ、2007年はDRAMの個数ベースの需要は38%の伸びが予想されるので、過去の状況とは異なるといえる。

 我々は、設備投資の割合に占めるメモリー関連への投資額は2007年は高くなるが、その後、2008年からはより「ノーマルな」従来のレベルへと低下し始めるだろうと予想している。2007年の四半期ごとの投資状況は先取り型で、2007年下半期には減少するだろう。DRAM関連への設備投資は、昨年から持ち越された勢いをベースにまだ数パーセントは拡大する可能性があるが、NAND型フラッシュへの投資は10%に落ちるだろう。もっとも、NAND型フラッシュ市場の収益性が低く価格の暴落がもう1年続くと仮定して、もしDRAMからNAND型フラッシュへ設備投資が移行するとすれば、そのような高い数字にはならないだろう。

 全体的にみると、今年の設備投資は横ばいで推移し、2008年には復調すると予想される。その他のデバイス分野、ロジックや特にファウンドリへの投資がメモリー分野の弱さをオフセットしてくれるだろうという希望はある。これはすべて、DRAMとNAND型フラッシュの個数ベースの需要が堅調さを維持することが前提である。新たなメモリー生産能力がすでに稼動し始めており、いかなる大きな後退も設備投資を鈍化させることになるだろう。

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