図1に示すように、VIISta HCシステムはデュアルマグネットリボンビーム構造に基づいており、第1のマグネットはビームを分析する役割を持ち、第2のマグネットはウェーハに到達する前のビームの均一化と平行化を実現する。エンドステーションは、平行なリボンビーム中を低速、低加速でウェーハを垂直に移動させる単純な一次元ウェーハスキャンで構成される。
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デュアルマグネットリボンビームで
イオン注入装置のパーティクル制御を実現
[2007年07月号]
G.Redinbo,
J.Blake,P.Kellerman,
E.Moore,N.Variam
葛城 康至,佐々本 尚武
バリアンセミコンダクター
イクイップメント
獅子口 清一,峰地 輝
NECエレクトロニクス
イオン注入工程におけるパーティクル汚染の問題が、バッチ式高電流イオン注入装置でキラーバリスティックパーティクルが確認されたことによって、最近、注目を集めている。高電流イオン注入の方法としては枚葉式が好まれ、デバイスの歩留まりは今や、注入をマスクし、デバイスを台無しにするパーティクルによって決定される。デバイス線幅の微細化が継続され、全体でのチップサイズが増すにつれて、高歩留まりを保つにはパーティクル管理がより重要になるであろう。より微細なデバイスの歩留まりに対し、バッチ式イオン注入装置では限界があることが明らかになり、特別な枚葉式イオン注入構造にはパーティクル性能を改善する可能性がある。
ここで米Varian Semiconductor Equipment Associates社のデュアルマグネットリボンビーム構造をもった「VIISta HC」のパーティクル性能を示し、システム内のパーティクル源を分析し、ウェーハ上での優れたパーティクル性能を可能にする物理的メカニズムについて説明する。
イオン注入工程自体は、量産工場の中で、一般的に汚染の少ないプロセスの1つと考えられているが、高電流イオン注入の場合は特別の問題を伴う。高電流パワー密度、フォトレジストからのアウトガスやビームによる衝撃により、高電流装置のシステム設計要求は、機械的なウェーハ搬送とビームライン設計の両面でさらに厳しくなる。これら2つの主要パーティクル発生源に関し、機械的に発生するパーティクルは通常、単純化したエンドステーション設計や、機械的接触面積の低減、真空シーケンスやその他のウェーハ搬送の最適化によって管理できる。ビームによって発生するパーティクルに関しては、イオン注入装置内でのビームラインパーティクルの発生源を減らすための改善策を採ることができる(例えば、材料の選択、プロセス残渣の削減、ビームオプティークスによる衝撃の緩和など)。しかし、これらの改善策を導入したとたん、いかなるパーティクルが生成されたとしても、それがウェーハ上に運ばれることを防ぐのに最良であることは明らかになる。
パーティクルがイオンビーム中の静電気力の影響を受けやすいことは立証されており、その静電気力により分析マグネットの周囲にある帯電したパーティクルが捕らえられ、ビームラインに沿ってウェーハ表面に運ばれる可能性がある2)。この論文では、VIISta HCのデュアルマグネットリボンビーム構造によるパーティクル性能を示し、ウェーハ上での優れたパーティクル性能を可能にする物理的メカニズムについて説明する。
システム構成
図1 枚葉式高電流イオン注入装置VIISta HCデュアルマグネットリボンビームのシステム構成。写真(a)は、約700時間のイオン注入処理後の質量分析マグネットの内部。写真(b)は、70°マグネットの内部
パーティクル性能
図2 あるロジック量産工場内のVIISta HCP高電流システムにおけるパーティクル増加数の推移。約20週間、大きさ0.12μm以上のパーティクルについてデータ収集を行なった。平均すると増加数は5個未満である
ビームラインの清浄度は、高電流イオン注入装置のパーティクル性能に対する一つの重要な要素である。図1(a)と図1(b)は、さまざまなレシピを700時間以上にわたって処理した後のVIISta HCシステムの質量分析マグネットおよび第2のマグネットのビームガイド内部の写真である。高電流ビームラインイオン注入装置では特有だが、分析マグネットのビームガイドにはフレークと破片の形跡が見られる(図1(a))。分析マグネットの質量分析機能によって質量が選別されるとともに、イオンビームがビームガイド表面をたたくことで、表面コーティング、フレーク、及び表面スパッタによるパーティクルが生成される。これとは対照的に、VIISta HCの第2のマグネット内部(図1(b))にはフレークや破片の形跡はない。これはマグネットの特性とビームガイドの設計特性による。ウェーハの直前に置かれるこの第2のマグネットのビームガイドの相対的な清浄度が、このアーキテクチャが実現したウェーハ上のパーティクル性能を、部分的にではあるが説明可能であろう。
実験
結果
図3 2つのマグネット間に置いたウェーハと、プラテン上のウェーハの、ウェーハ上にあるパーティクル数の比較
誘発されたパーティクルの浮遊を伴う実験の測定結果を図4に示す。分析マグネット領域内のイオンビーム経路にパーティクルを取り込むために、制御されたハンマーによる衝撃が用いられた。第2のマグネットの入口と出口に置かれた高速ビデオカメラが、このインパクトテストの間に、第2のマグネットに入っていくビーム中に取り込まれた発光するパーティクルの存在を確認した。しかし、マグネットの出口では発光するパーティクルは見えなかった。
図4 2つのマグネット間に置いたウェーハと、プラテン上のウェーハのオンウェーハのパーティクル数の比較。ビームによるパーティクルを生成するために、分析マグネットに衝撃を与えた
考察
参考文献2)は、パーティクルが強力なイオンビームに静電気的に捕えられ、分析マグネットで軌道を曲げられながらも、イオンによる運動量輸送によってビームライン下流へと運ばれ得る有力な証拠を提供している。この証拠は、ここで示した実験データと矛盾するように思われる。しかし、Sferlazzo氏らが使用したスポットビームと、この実験で使用したリボンビームの性質の違いによって、ビームがパーティクルを捕える能力にも違いが出る可能性がある。この以前の研究[2]を拡張するため、我々は、スポットビームとリボンビームを比較するための簡単なモデルを構築した。楕円形をした断面全体で電荷密度が一定なビーム内での電場を考える。リボンビーム装置の一様なドーズ量に必要な一定の電荷密度によって、このモデルで妥当な近似が行なえる。スポットビーム装置ではこのモデルは必ずしも正しくないが、一定の電荷密度はビーム・ポテンシャルの最小化と整合性がある。
ポワソン方程式の解は次式で表される。
ここで、εxとεyを境界(すなわち、x = rx 、y = ry )での電界成分の値とする。Kellerman氏の参考文献3)に従い、εxとεyは、
電荷密度
と境界条件条件によって決定される。ビームが導体壁に囲まれている場合、
問題は、ビームが磁場によって曲げられるときに、この電場が、ビームに沿ってパーティクルをカーブさせるのに十分な力をパーティクルに及ぼすかどうかである。これに必要な向心力の大きさは、パーティクルの直径dとマグネットの半径Rに依存し、
で表される。ここで、δはパーティクル密度、νは、ビームイオンによる運動量輸送によって得られるパーティクル速度である(νは一般的に約10m/秒~50m/秒2)である)。
パーティクルへの静電気力を求めるためには、ビームプラズマ内でのその電荷が必要である。これはビームの電子温度に依存し、算出するのは困難である2)。しかし、パーティクルが‘浮遊’電位Vfが約10V以内になるように(マイナスに)帯電すると仮定することは妥当である。この仮定から、パーティクル電荷の妥当な上限値Qが得られる。ここで、パーティクルは球形であると仮定する。
まとめ
謝辞
この論文執筆を助けていただいたAlex Perel氏、Joe Olson氏、Frank Sinclair氏に感謝
参考文献
2.P. Sferlazzo et al.,"Experimental Evidence of Beam Particulate Transport in Ion Implanters,"Conf. on Ion Implantation Tech., 1993, p.565.
3.P. Kellerman,"Advanced Modeling Techniques for Analysis of High Current Ribbon Beam Transport and Control,"16th Intl. Conf. on Ion Implantation Tech., 2006.
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