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MEMSは次の産業そのものである
産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門
主幹研究員兼ネットワークMEMS研究グループ長
前田 龍太郎 氏
[2007年07月号]
MEMS産業を発展させるためには、研究開発の裾野を広げる必要があるが、微細加工には高価なインフラが必要で、ベンチャーや中小企業にとってはビジネス参入の敷居が高い。産業技術総合研究所先進製造プロセス研究部門では、MEMSビジネス支援などを推進している。同部門主幹研究員兼ネットワークMEMS研究グループ長の前田龍太郎氏に話しを聞いた。
前田 龍太郎 氏
前田龍太郎:本研究グループでは、MEMS技術の応用によって、人々が安心して安全に暮らせるよう、社会に役立つ微小で高機能なワイヤレスネットワークMEMSシステムの構築などに取り組んでいる。具体的には、微細なセンサーを人体に組み込むことでモニタリングを行って、最終的にはその人の疲労や精神状態などを測定するといったことの実現などを目指している。
以前は、製造技術開発のみだけを中心に行ってきたが、それだけでは付加価値がでない。要素技術としてMEMSが使われるようなシステムを開発する方向へと流れが変わってきている。
何にでも使える技術は、何にも使えない技術になってしまう
SIJ:基盤技術の開発とアプリケーションの探求はどちらを優先すべき
前田:MEMSの場合、製造技術を磨いていく方向性と新たなアプリケーションを探すという両方のアプローチが必要である。理想をいえば、その両方について交互に取り組めれば一番いいだろう。ただ、これまでのMEMS開発の流れをみると、所望のアプリケーションを目指して、それを実現するために技術を開発するといった方法が近道にように思う。例えば、これから建物を建設しようとしているときに、ノコギリの刃の研究開発を行っていても仕方がない。ある程度、目標となる目的を決めてから研究開発を進めることが大事だろう。
また、開発スペックを明確にする必要がある。何にでも使える技術というのは、余計なスペックのものが組み込まれるということであり、それは結果的に何にも使えない技術になってしまう。特定用途に絞って、不必要なものを削ってコストダウンを図る必要があるように思う。
SIJ:MEMSのビジネス化は難しい
前田:MEMSは薄利多売というよりは、むしろ多品種少量のビジネスである。大企業などは優れた研究・開発成果を出しているが、彼らの考え方としては年間100億円規模の売り上げが見込めないとビジネス化は難しい。そのため、MEMSは大企業向きではないともいえる。一方、薄利多売ではないので、MEMSはベンチャーや中小企業にとってはチャンスがある。ただし、MEMSを作製するための微細加工には時間がかかり、高価な設備インフラが必要である。ビジネス化するための敷居が高く、基礎体力がなければやれないという課題がある。
SIJ:MEMSビジネスを産業として発展させるには
前田:ビジネス化のためには、コストの低減とさらなる微細化を両立させ、開発期間を短縮する必要がある。そのため、アウトソーシングの受け入れ先として、我々のような公的機関が彼らをサポートしなくてはならないと考えている。MEMSは、縦と横の産業界全体の情報ネットワークが重要であり、産官学の頭脳を結集し、人材育成をも目指したネットワークづくりを推進している。これまで、メインフレームからデスクトップPC、ノートPC、さらには携帯電話といったトレンドであった。そして、MEMSはその次の産業そのものである。大きなトレンドの流れとして、そこ(MEMS)に進むしかないのは間違いないだろう。
(聞き手:鉄井 亮一)
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