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Heイオン顕微鏡がSEMを補完

[2007年07月号]

By Alexander E. Braun
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 米ALIS社が開発したHeイオン顕微鏡(HIM)は、従来のSEMが持っていた短所を補うものだ。一般的なSEMのプローブの大きさは、主に2つの条件による制限がある。1つは回折現象であり、0以外の電子のド・ブロイ波長に起因するもの。電子がアパチャに流れ込むと、その影響でプローブの大きさが大きくなる。アパチャが大きくなると回折現象は緩和されるが、結果的には色収差が大きくなる。これが第2の問題である。

 SEMの電子ビームはサンプル表面で散乱しがち、というのも悪因子の1つだ。これにより高エネルギーの背面散乱電子が発生し、多くの電子がサンプル表面で反射して、ビーム源から数nmのところまで戻ってくる。よって、もしも二次電子(SE)を回収する場合(実際、大抵のSEMがそうしているのであるが)、二次電子はまず電子ビームがサンプル上に入射した場所から発生する(SE1)。更には、電子が背面散乱した全ての場所からも発生する(SE2)。SE2は非局所的で、より深い情報をもたらし、画像のぼけを発生させる。


SEMによるアライメント用十字部の観察によると、形状的な情報を得る事ができるが、材質の情報に関しては比較的乏しい(左図)。HIMによって、よりはっきりとしたコントラストメカニズムを得ることができる(右図)

 HIMは、SEMと非常に似ている。底面部にサンプル、ビーム集光用の最終レンズ、サンプル上をビームスキャンするためのシステム、アパチャ、アパチャを通してビームの縦列を走査するためのビームアライメントステージがそれぞれついている。2つの顕微鏡の違いは頭頂部にある。そこには電場によるイオン源がある。それはかつての電場イオン顕微鏡に由来する技術だ。HIMは大きな正電圧を発生させるため、先端の非常に鋭利なワイヤーを内蔵している。発生電場はとてつもなく大きく、付近に存在するどのような中性原子もイオン化させることができる。常に高真空が保たれ、Heガスを使ってイオンビームを発生させる。He原子のパスが閉じられると、イオン化が始まり、イオンがプローブ先端から加速される。

 先端部を再形成するプロセスはALISによって開発された。イオンビーム源となる原子は多数あるが、たった1つのみがサンプルの所定場所に達する事になり、集光されスキャンが行われる。よって、イオン源の実際の大きさはHeイオンと同等の数Å以下である。帯電粒子がどの程度集光できるかによってイオン源の大きさを決めているものもある。一般的なSEMのプローブ大きさはおよそ2.0nm程度であるが、HIMのプローブサイズはやがて0.25nmに達すると考えられている。

 Heイオンビームは、発散前にサンプルのかなり深い所まで透過するので、それが再び表面から戻ってくる可能性はほとんどない。よって、感知できるほどのSE2の影響はない。HIMの画像からは、サンプル表面の局所情報を得る事ができる。


真空中で生長したAl結晶。Heイオン顕微鏡の広大な電場の深さを物語っている

 一般的なSEMでは、相互作用の影響を最小限にするため、比較的低いビームエネルギーで観察が行われている。200eV、500eVと非常に低いエネルギーで使われるSEMもあり、SE2やハロによる影響を小さくしている。着弾エネルギーを低くした場合に起こる問題は、全ての電子がサンプル表面に溜まっていくことであり、やがてサンプルを損傷する可能性がある。ビームエネルギーは大きいほどよく、その場合はサンプル表面下の深い部分でエネルギーを消失させることになる。HIMは1-45keVのエネルギーを適用できるが、大抵の場合20keV以下で使用され、サンプル損傷の程度を抑えている。

 SEMとHIMではコントラストメカニズムが異なっており、サンプルの材質でも変わってくる時がある。HIMは、SEMで十分な解像度やコントラストが得られなかった場合の補完技術となる。



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