Advanced Research

半導体の明るい側面

[2007年08月号]

By Northwestern 大学Center for Quantum Devices(CQD)
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 半導体業界のなかで膨大で、そして主要な活動はSiを中心に回っている。しかしながら、その他の半導体は見落とされているようだ。「化合物半導体は食事に必要な塩のようなもの」と、米Northwestern大学Center for Quantum Devices(CQD)ディレクターManijeh Razeghi氏は語った。化合物半導体はそれぞれが重要な役割を担っており、他のものではきないことで貢献をしている。

 1992年に設立されてて以来、CQDはレーザーダイオード、光検知器、焦点面アレイ(FPA)、光学スペクトルの分野で記録を破った一番のものを提供してきた。III-V族化合物半導体と光電子工学分野のパイオニアであるRazeghi氏は、8000 ft2の空きスペースとビジョンを持って出発点に立った。現在、3000ft2のクリーンルームを含むCQDのラボスペースは、ラボの約40%は量子素子開発を可能にするため、デバイスのモデリング、結晶成長(MBEとMOCVD)、材料の特性評価、デバイスの製作、試験そしてパッケージなどのあらゆる種類の最先端の装置が占有している。

 波長の制御は光電子デバイスが基礎となっている。制御は通常何千もの原子的に薄い層からなる活性層の量子井戸の構成と厚さを操作することによる原子エンジニアリングによって達成される。CQDは異なった材料体系(図1)を研究することにより、そして新しい構造体を調査することにより、将来に向けて動いている。例えば量子ドットの中の電荷担体を閉じ込め、そして光電子デバイス、量子カスケードレーザー、II族の超格子フォトダイオード、量子ドットの赤外光検知器などにこれらの手法を適用する。

量子カスケードレーザー

図1 深紫外線(UV)の可視部で動作する広いバンドギャップを持つIII-V族Nが青色とUVの範囲の発光ダイオード, 最近ではアバランシェ・フォトダイオードのプロセスに使用された。そして、さらにじょうぶな電流光電子増倍管(真空)チューブ技術に代わるものが、いつか提案されるかもしれない

 CQD初期の成果の一つに、レーザーが中紫外線と遠紫外線(3~16μm)のスペクトラムの領域で動作する、高出力量子カスケードレーザーダイオードを先んじて確立したことである。そのとき、レーザーとして唯一市販されていたのは、大型ガスレーザーもしくは低温冷却の半導体レーザーと同様な固体レーザーであった。1997年にCQDは、GaInAs/AlInAs/InPで構成され、室温で動作する赤外量子カスケードレーザー(QCL:Quantum Cascade Laser)を開発し、それ以来この分野のR&Dを推進している。本来小型で長いライフタイムを持つQCLは、大きくて信頼性の低い低温冷却システムの必要性を除いた。

 QCLは極端に複雑な構造を持ち、通常1000nmスケールのレイヤーから構成されている。光は内部の量子井戸で作られるサブバンド間遷移によって放出される。この特殊な構造は、波長を決定する材料固有のバンドギャップに依存していない。そのかわり、単一の材料構成のなかで、構成物質のレイヤーの厚みを単に変えることにより波長を変化することができる。

超格子

 超格子の特殊なバンド配列と物理的性質は、たとえば100GHzのロジック回路とかテラヘルツのトランジスタのような、新たな性能のレベルを引き出すかもしれない。超格子は、有効バンド幅を内部の歪み効果の使用によりエンジニアリング的に作り出す、人工的な結晶格子である。たとえばNaClのような原子の周期的な配列を持つ、自然のままの存在する結晶とは違って、たとえばInAs/GaSbのような超格子は、InAsとGaSbの周期的に異なった、非常に薄い原子レイヤーから構成される。

 InAsとGaSbは特殊であり、InAs伝導帯の底部はGaSb荷電子帯の上部と接し、電子とホールにより空間的に隔離されている。近接した井戸での電子とホールの相互作用は、構成物質のレイヤーの厚みをかえることにより、QCLのような微調整することができる人工的なバンド構造を生じさせる。バンド配列については、II族の超格子もしくは歪みレイヤーの超格子(SLS)と呼ばれているこれらの超格子に与えられる、II族の配列に注意する必要がある。

 低コストで長いライフを持った水銀カドミウム・テルル化物(HgCdTe, MCT)検知器の代替として、CQDは赤外検知器のアプリケーションにInAs/GaSbのII族SLSを調査した。MTCは現在、高度な要求のある軍によって使用される戦略的かつ戦術的なセンサーのための材料の選択作業中だ。II族の材料は強い広帯域吸収と、高温での動作とより良い感度を可能にし、トンネリングとオージェ再結合速度を顕著に低減し、MCTに匹敵するカットオフの波長を提供することができる。

 デバイスの構造はMBEを使用して通常作られる1000~2000レイヤーからなり、各々のレイヤーの厚みは最大2~3nmで、製作に8~12時間かかる。それゆえ結晶の成長の前に、量子力学と原子エンジニアリングで大量に要求される、極度のモデリングの基本構想が、複雑なレシピの詳細な計画を立てるために必要とされる。

 CQDの成果のうちで、最初のデモンストレーションは、32μmのカットオフ波長をもつII族の検知器であった。さらに最近では世界最初の8μmと12μm(図2)のFPAを試作した。

 これらのデバイスの成功は研究者に、ナノピラー(ナノメーターの柱)の作成を試みることを後押しした。興味深いことは、Siナノピラーの特性と発光体の性質がIII-V族とII族の InAs/GaSbより前に試作されているということである。


図2 バンド配列と超格子から生じる波動関数(下部左の差込図)を持つII族の焦点面アレイ(FPA)のSEMと256x256アレイからの静止画像(上部右の差込図)


ナノピラー

 理論的には、超格子周期とピラーの直径はナノメーターのスケールに近づき、構造は積み重なった量子ドットの集合体のようになり始める。研究者によると、理想的な量子ドットは0-D構造であり、その場所で電子の運動量がすべての方向内で量子化される。その結果として、エネルギーレベルは不連続になり、人工的な原子にそっくりになる。ドットの寸法をコントロールすることにより、結晶内のエネルギーレベルの直接的なエンジニアリングが成し遂げられる。継続解析により、高温でのキャリアの寿命を増加させ、また微調整を可能にし、そして多色を検出するアプリケーション用に、超格子材料のナノ構造を作成することが決まった。 

 高分解能のナノ構造を作るため、電子ビームリソグラフィが使われた。パターンはフォトレジストで規定され、相加法な手法である金属付着とリフトオフ、減法的な手法であるドライもしくはウェットエッチングを使用して転写される。ナノピラーのアスペクト比は10:1で直径が20nm以下であった(図3)。


図3 電子ビームリソグラフィは精度と寸法コントロール、アスペクト比10:1のナノピラーを作成するためII族InAs/GaSbの超格子のなかにパターン転写後の配置のために使用した


量子ドットデバイス
 量子ドットは、高速の電子デバイスと光素子の性能を顕著に改善することができる、特殊な電子特性をもっている。人工アトムとして知られている量子ドットは電子とホールが三次元ポテンシャル内に閉じ込められたナノメータ・スケールの小島をもつ。強い閉じ込めは、極度にシャープで、原子に非常に近い状態の分離した密度を生成することができ、3次元空間に封じ込められる(図4)。


図4 単体InAs量子ドット(差し込み図)の原子間力顕微鏡とGas/InP上のInAsドットの1μm×1μmの表面画像

 CQDで、レーザーダイオードと赤外光検知器である量子ドットを基にしたデバイスが製作された。量子ドットの特殊な性質が、量子井戸のレーザー構造の同等品と比べて、レーザーダイオードの低しきい値電流、そしてより高い変調周波数帯域幅をもち、より狭いスペクトル線幅、そして温度感度特性の低減等を可能にした。同様に、量子井戸の赤外光検知器と比較して、量子ドット赤外光検知器は、より高い感度と高温での動作を可能にした。多次元での量子の閉じ込めが、400mAの注入電流で995nmで励起誘導放射を観察の結果をもたらした。256 × 256の量子ドットから成る赤外FPAは、世界で最初にInGaAs/InGaP/GaAsを基にしたものが検討された。さらに最近になって、最高動作温度(200K)をもつ320 ×256のFPAが、InAs/InGaAs/InAlAs/InPでデモンストレートされた。15人程度の学生による比較的小規模なラボであるが、暗闇での視覚を提供する「人工の目」に対する要求がある限り、彼らの取り組みは続けられるであろう。

Center for Quantum Devices(CQD)
 新しい応用の幅を大きく広げる基礎となるかもしれない、新しいエレクト Northwestern大学は設立から21年後の1873年、工学分野での特別学位プログラムを設立した。しかし、1920年代なかごろまでは、工学専任の教職員は存在していなかった。その後、一般的なカレッジから工学を専門とするスクールとなった。現在、工学および応用科学からなるRobert R. McCormickスクールがCQDの本拠地である。開設以来、これまでに364以上の技術論文を発表、500回もの招待講演や会談を催し、さらには56の特許等を保有しており、その業績が認められている。



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