Editorial

32nmプロセス対応工場は世界で数ヵ所ぐらい!?

[2007年09月号]

By 日本版 編集長 高橋 潤
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 2007年5月に、米IBM社とCommon Platformテクノロジー・パートナーであるシンガポールChartered Semiconductor社、韓国Samsung Electronics社、さらに共同開発アライアンス・パートナーである独Infineon Technologies社と米Freescale Semiconductor社の5社が、半導体プロセス技術および同生産技術の開発を共同で行うことに合意した。さらに、この7月にはIBMと伊仏STMicroelectronics社が次世代プロセス技術の開発において協業することで合意した。先端プロセス開発でしのぎを削っていた米国のEast FishkillとAlbany、欧州連合の仏Crollesが合体した格好だ。共同開発されたプロセスは、Common Platformの参画メーカーにも投入されるという。

 世界では、このグループのほかに台湾TSMC社を核とするもう1つのグループ、独自開発を邁進する米Intel社、そして研究機関にベルギーのIMEC、米SEMATECH、日本の半導体先端テクノロジーズ(Selete)が挙げられる。ここで気になるのは日本の半導体メーカーの動向だ。

経産省や日の丸半導体メーカーは共同ファブ構想を諦めてはいない
 7月25日の日本経済新聞、産経新聞などの一部報道によると、東芝、NECエレクトロニクス、富士通の3社が最先端プロセスの共同開発を検討しているという。対象となるのはシステムLSIで、この共同開発の目的は開発負担の軽減とされるが、さらに一歩踏み込み、生産の統合も含めて検討を開始していると紙面には書かれていた。各社からのこの件に関する正式な発表は現時点では行われていない。

 この報道は、2005年暮れの日立製作所、東芝、ルネサステクノロジの3社により設立された65nm以降の共同ファブの「先端プロセス半導体ファウンドリ企画株式会社」が発表された状況を思い起こさせる。当時は国内大手IDMが参画を見送り、さらには各社が好況な社会の需要に応えるためにも自前65nm工場が立ち上がっていった。しかし、32nm以降に直面するにあたり、開発コストですらもう1社ではまかなうことができないのは分かってきた。経産省や日の丸半導体メーカーは共同ファブ構想を諦めてはいない。これからが問題なのであろう。

EUV 露光装置の価格は70 億円を超える
 世界が視野に入れて、狙うのは32nm 以降の最先端プロセスだ。一説には量産用のEUV 露光装置は70 億円を超える価格になるといわれている。半導体産業は長年、不可能と思われる技術移行をDRAM やPC、携帯電話、デジタル家電と、さまざまなアプリケーションに牽引される形で実現してきた過去がある。しかしながら原子層レベルの平坦度が求められる高価な反射マスクを使用する、さらに非常に高価なEUV 露光装置を、1 つの工場で何台設置する必要があるのだろうか。そのような大規模の先端工場は世界にいくつ建てられるのだろうか。

日本に32nm 工場は不要!?
 あえて言うまでもなく、半導体市場は波打ちながらも右肩成長を続けている。巷にあふれる携帯電話、HDD レコーダー、ゲーム機など、成長が鈍化することはあっても需要が落ち込むことを考える方が難しい。今まで半導体産業はいくつものブレークスルーを得て、不可能と思えたものを現実のものとしてきた。物理的な限界と、膨大な開発コスト、それを還元するための製造インフラの高騰、これらに四面を挟まれるかのうよう、業界はもがき始めた。日本の半導体メーカーから一番聞きたくないのは「そこまでの工場は日本には必要がない」という一言だ。

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