Industry Perspective

ITRSを信ずるものは・・・

[2007年09月号]

By 服部 毅
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 2006年12月に発表された国際半導体技術ロードマップ(ITRS:International Technology Roadmap for Semiconductors)2006年アップデート版1)では、高誘電率(high-k)ゲート絶縁膜とメタルゲートの生産導入が、従来予測の2008年から2010年へと2年先送りされた。

 しかし、その翌月にはITRSの予測を裏切るかのように、米Intel社と米IBM社から相次いでHigh-k/メタルゲートの45nm世代デバイスへの生産導入が発表された。2)Intelは、2007年後半から、まずはアリゾナの工場で、翌年からはイスラエルの工場で、IBMは同じく2008年からニューヨークの工場でそれぞれ量産導入するという。両社とも口をそろえたように「1960年代後半にポリシリコンゲートが導入されて以来、40年ぶりのトランジスタの大変革」と位置付けている。2)いよいよ「High-k/メタルゲート時代」の幕開けといえよう。

 それにしても、ITRSは、high-k/メタルゲート導入時期をなぜ読み誤ってしまったのだろうか。ITRSの委員長は、本誌6月号のインタビュー欄Movers & Shakersにも登場してIntelの先端技術開発を誇示しまくっている同社の戦略担当ディレクターだというのに。3)これぞ、ライバルを煙にまくIntelの高等戦術だと評論する人もいれば、彼(だけでなくITRS委員の多く)は社内事情に通じていないのだと解説する人もいる。「IntelはすでにHigh-k/メタルゲートの技術発表を国際会議で行っており、私的にも今年導入を聞いていた」という大学教授もいれば、「すでにIntelからHigh-k/メタルゲート成膜装置の引き合いがあったので、すでに導入時期は知っていたが、企業秘密でいえなかった」と装置メーカーの委員はいう。Intelにしてみれば、以前のITRS予測どおりに粛々と準備して来た結果であり、ITRSが勝手にこけただけということかもしれない。

 それにしても、同日(2007年1月27日)に、IntelとIBMが相次いで行ったプレス発表の資料の見出しは、非常に似ている。Intelの発表予定を事前につかんだIBMが、世界の半導体開発トップリーダーとしての面目を保つためにあわてて発表したという説が米国では有力である。ところで、ITRSの面目は保てるのだろうか。

参考文献
1.International technology Roadmap for Semiconductors, SIA, San Jose (2006)http://www.itrs.netで全文を無料閲覧可能

2.米IBMおよびIntelが2007年1月27日に別々に発表したプレスリリース(http://www.intel.com/pressroom/archive/releases/20070128comp.htmおよび http://www-3.ibm.com/press/us/en/pressrelease/20980.wssで閲覧可能)

3.Semiconductor Internatioal Japan 2007年6月号, pp.58-59.

アップデート

 本年7月号本欄掲載の「半導体洗浄技術に関する企業別特許出願件数上位ランキング(1996年~2005年の10年間の総計)」は、本年3月時点での集計データ(経済産業省4月19日発表ニュースリリース)に基づいているが、その後、6月末に特許庁より以下のとおり最終集計結果がインターネット上に公表された(特許庁ホームページ→資料室→特許動向調査報告書の順にアクセスすることにより、無料閲覧可能)。

 韓国Samsung と日本勢の差がさらに開いた結果となっている。



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