無線通信の発展は、異なった動作環境のもとでのアンテナの性能に対する研究により導かれた。より広い周波数帯をもった新規の通信機が導入され、そしてシングルバンド無線機はマルチバンド、マルチモードそして多機能機器へと進化した。一方で携帯機器は一組のトランプの大きさより小さなサイズへと小型化した。小型化したサイズと見かけの美しさのため、内部アンテナの使用が、有力な選択肢になった。携帯電話に求められる消費電力への厳しい制限、より小さいシステムの増加に適合するアンテナの改善要求により生まれるこれらのすべての変化は複合化している。これらの課題を受けて、アンテナと携帯機器のメーカーは、多種の周波数帯と通信モードに対して無線波を効率よく送受信できる小型化アンテナの限界に挑戦し続けている(図2)。
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RF-MEMSが可能にする
可変アンテナ搭載
無線デバイス
[2007年10月号]
携帯電話に搭載される無線通信用のアンテナの設計はさらに複雑になってきており、新たな機能とアプリケーションの要求を満たすため、柔軟性の高いMEMS技術が必要になってきている。
図1 携帯電話機に集中する未来技術と複雑さを増すアンテナ設計
動作周波数幅は、標準的なワイヤレスでは最適な性能を提供するために、個別のアンテナの設計が必要になっている。個別ワイヤレス・ネットワークがお互いに近接することにより、そして携帯用無線周波数の増加により、相互干渉の増加、音質、データレート、通話の遮断らの性能低下要因が増大することになる。比吸収率(SAR)の制限が、同じアンテナの放射パターンと出力に影響を与えるうえに,最近の携帯機の薄型化や、使用者間のアンテナがより近い場所にある近接化などによる要因により、問題はさらに複雑さの度合いを増す(図1)。
これらの課題を解決する魅力的な解決策は、アンテナを動的に調節可能にすることだ。この方策は個別アンテナのサイズの低減、単一のアンテナで多帯域を可能にする複数の利益をもたらし、単一のアンテナが多重周波数帯および電話機内にある他の無線デバイスからの近接場所からの障害に対して回復力に富むアンテナを作ることができる。調節可能なアンテナは、継続して顧客の要求を満たすうえで新しい特徴と機能を提供することもできる。携帯端末のアーキテクチャからくる追加のアンテナを付け加える必要性をなくすこともできることで、ますます理想的なものになるだろう。
無線周波数用のマイクロマシン技術(RF-MEMS)は、設計者が調整可能なアンテナを作る上で重要な部品となる次世代技術だ。RF-MEMSを使用することで,将来のマルチバンド動作に対応するアンテナを可能にする。複数の機能を持ったワイヤレス機はより小さく、またより高機能化し、確立されている従来技術を使うより、低消費電力化も可能になる。
無線周波数用のマイクロマシン技術(RF-MEMS)は、設計者が調整可能なアンテナを作る上で重要な部品となる次世代技術だ。RF-MEMSを使用することで,将来のマルチバンド動作に対応するアンテナを可能にする。複数の機能を持ったワイヤレス機はより小さく、またより高機能化し、確立されている従来技術を使うより、低消費電力化も可能になる。
携帯端末用アンテナの課題
図2 マルチモード/マルチバンドの携帯電話はもっとアンテナを使用し、機器内のスペースを節約するための設計が必要になってきている
アンテナを内部に持つか外部に持つか、小さいのか大きいのか、アンテナの選択はシャーシの設計にいくつかの考慮すべき点をもたらす。一般的に大きいアンテナの素子はより大きなゲインとそして広域の周波数特性を提供する。また大きいアンテナは、たとえば携帯機器が人間の頭部近く保たれている場合のような動的環境でより良い特性を持つ。このような条件において、50Ωの理想的な通信インピーダンスがわずかに変化し、そしてパワーアンプの出力は全体の出力のなかで無視できる変動としてこれを相殺するように駆動される。アンテナ素子が小さくなったときには、標準的な条件下ではまだ良好に動作するかもしれない。しかし与えられた帯域幅に対して最悪環境下における検出感度と低いゲインを保つため高い処理費用を支払わなければならないだろう。このような人間の頭部が含まれる条件の場合、小さいアンテナの出力インピーダンスは5倍以上変化する。これを相殺するためパワーアンプの出力は通常より高く駆動するような機器の設定が必要となり、このため消費電力の増加とバッテリーの寿命の低下をまねく。
小型化アンテナが携帯電話のプリント配線基板に装着されたとき、アンテナのサイズ、形状、そして位置が携帯電話の特性に顕著に影響を及ぼす。シャーシーは帯域幅、放射効率そして携帯電話内部のアンテナの比吸収率(SAR)に影響を与える。よってインピーダンス帯域幅に加えて通話中の放射効率そしてSARなどは携帯電話機のシャーシーのパラメーターに重大な影響を及ぼす。これは設計期間中の最終段階近くになって、時には機器のテストのあとでしばしば設計の再変更を余儀なくし、新機種の発表を遅らすことになる。
小型化アンテナが携帯電話のプリント配線基板に装着されたとき、アンテナのサイズ、形状、そして位置が携帯電話の特性に顕著に影響を及ぼす。シャーシーは帯域幅、放射効率そして携帯電話内部のアンテナの比吸収率(SAR)に影響を与える。よってインピーダンス帯域幅に加えて通話中の放射効率そしてSARなどは携帯電話機のシャーシーのパラメーターに重大な影響を及ぼす。これは設計期間中の最終段階近くになって、時には機器のテストのあとでしばしば設計の再変更を余儀なくし、新機種の発表を遅らすことになる。
SARの制限に対する検討
携帯電話機の設計者はすべての条件下で良好な動作を得るための方策として、携帯電話アンテナの電波放射について長い間いくつもの試みをしてきた。しかしながらSARの要求、たとえばアメリカ合衆国では体積でヒト組織1gに対して1.6W/kgの放射線の基準があり、ほとんどの送信電力は頭部から離れたところから放出され、もしくはもし全方向に放射されるからアンテナの全パワーは低い必要がある。このことを補償するため、ヒト組織上もしくはヒト組織からの影響を低減するよう垂直の面にそった放射アンテナを構成する配線パターンもしくは形状を、アンテナの設計者は慎重に設計する。各種の条件下、もしくは通話中に保たれる携帯電話機の位置らを、コンピューターモデルを使って性能を予測する。要するにSARの制限は、携帯電話機の形状、サイズ、携帯電話機内の位置に影響を与え、アンテナの放射出力を考慮した設計に影響を与える。
マッチングと帯域幅に対する検討
理想的なアンテナはすべての環境下ですべての周波数に対して50Ωのインピーダンスを持つことであるが、異なった6個の周波数帯域まで対応する単一アンテナを使用することにより、このことは困難になっている。他方ではパワーアンプ(PA)の生産者は50Ωの負荷を駆動するアンプを多くの場合てがけている。これにより携帯電話機の設計者が、アンテナの負荷とPAのマッチングに費やす作業から開放する。たとえばキャパシタやインダクタらの固定の受動体によるインピーダンス・マッチングは、アンテナとPA間のミスマッチの問題解決に使用される。このような受動体での回路は、マッチング回路が固定されているためすべての帯域幅内のマッチング能力には限界があり、期待値より性能が低くなるというトレードオフをもつ。マッチング回路はまたパワーの損失を生じさせる。設計者は、それぞれが持つアンテナのマッチ回路に対して、2つもしくはそれ以上の狭帯域幅を持ったアンプを使用して、性能への影響を補償する。
受信障害の問題
受信障害は、ほかのアンテナが電波受信をしているにもかかわらず、1つのアンテナの送信信号(周波数にかかわらず)が不良をきたすことをいう。電話機の設計者は、携帯電話機同士が近接しているとき起きるこの現象を長い間観察し続けてい、これは多種の回路とコントロール技術を使うことによって適切に対処される。現在まで、携帯電話機は通話のため単一のアンテナを使用してきたが、多分第二のアンテナがブルートゥースのため、そして第三のアンテナがGPSのため必要となる。将来の標準規格とその他の機能(図2)として、例えばCDMAとGSMの競合技術を備えたマルチバンドの携帯電話機が必要になってくる。ブルートゥースに加えて、WiFiそして近い将来採用されるWiMAXでは、携帯機器の設計者は携帯端末にアンテナをさらに付け加える必要性に直面する。パーソナル・エリア・ネットワークとローカル・エリア・ネットワークでの新たな進展として、たとえば将来の技術として待たれているUWBとMIMOのトランシーバー技術があるが、携帯電話の開発者等は重大な受信障害の問題が待ち受けていることを認識している。
図3 複数アンテナの受信障害の簡略化した説明
フィルターとシールドは受信障害とアンテナのカップリングを低減するのに効果的であるが、これらの手段は送信の能力に加算される損失とコストに影響を及ぼす。1-2dBの損失が各送信経路に加えられる。これを相殺するため、より強く駆動するためのPAに再びしわよせがいく。
アンテナのチューニング
ブロードバンドのアンテナは望まれる周波数帯のなかで最適に動作するよう設計されている。周波数帯のなかで動作するようターゲットされ、そして最適化されるが、シングルバンドのアンテナにくらべて効率は劣る。その上に薄型形の携帯電話機への小型内部アンテナの使用は、能力のさらなる低減をきたらす。小型アンテナのマルチバンドの能力を改善する一つの方策としてネットワークのチューニングによって適応させる。たとえばバラクタのような部品が、バンド全域のアンテナをチューニングするのに用いられる。多重バンド全域のバラクターの動作に対して最適値を得るよう、テストとモデリングがおこなわれ、そしてソフトウェアが必要に応じネットワークにダイアルするときこの最適値を拾い出す。
アンテナのチューニングはブロードバンドの性能を改善することができる。残念ながら同調アンテナは生来の共振アンテナほどではないため、チューニングは性能の低下をまねく。これは同調ネットワークそれ自体からの付加的に誘発される損失のためである。
要約すれば、受信障害の結合、小型機からくる要因、内部アンテナ、SARによる制限、そして増え続けるマルチバンド/多機能化の選択が、携帯電話機のアンテナの開発に深刻で複雑な問題を作り出す。無線機器の設計者はこれらの制限のもとで端末機を継続して開発している。それと同時にワイヤレスの展望は、顧客と通信事業者の要求を満たすための新規提案からくる要求が明らかに厳しい。
アンテナのチューニングはブロードバンドの性能を改善することができる。残念ながら同調アンテナは生来の共振アンテナほどではないため、チューニングは性能の低下をまねく。これは同調ネットワークそれ自体からの付加的に誘発される損失のためである。
要約すれば、受信障害の結合、小型機からくる要因、内部アンテナ、SARによる制限、そして増え続けるマルチバンド/多機能化の選択が、携帯電話機のアンテナの開発に深刻で複雑な問題を作り出す。無線機器の設計者はこれらの制限のもとで端末機を継続して開発している。それと同時にワイヤレスの展望は、顧客と通信事業者の要求を満たすための新規提案からくる要求が明らかに厳しい。
RF-MEMSの適用
図4 2個のMEMSデバイスをのせた断面図
RFに対しては、MEMS部品は小型なため材料費を低減し、既存の解決法から高性能を持った代替品として、そして機能の集積度を高める道具として、強い期待がもてる。携帯電話市場の継続した成長およびマルチバンド/マルチモードの電話機の進化する問題などの諸事情が、解決策としてのMEMSへの大きな期待へとつながっている。
RF-MEMS部品は多種の形状と種類で提供されている。極めて小さい型を持ったカンチレバーのようなものや、トランポリンに似たようなものがある(図4)。形状はサイズで一般的に10~100μmのものが提供されている。そのようなサイズはこれらの部品を作るうえで非常に魅力的だ。なぜなら1mm2かそれ以下のスペースが必要な複雑な回路の解決策になるからだ。それに加えてMEMSは、たとえばフィルターとアンプのような可変可能なマイクロ・アプリケーション用の多種の部品を作ることができる。
可変アンテナとMEMS
個々の固定アンテナのチューニングは、通常与えられたアンテナを各々の携帯機器に適応さすため携帯端末内で行われるが、しばしば異なった周波数帯と動作環境に対して負荷を最適にマッチすることができない。これはアンテナの最高効率を低減し、より高い出力電力と低い受信感度の問題をまねく。数種のRF用部品、たとえばGaAsバラクタダイオードは、いくつかのアプリケーションに対して妥当な性能を有し、長い間使用されている。しかしながらそれらは、許容できない挿入ロスと回路のリニアリティの低下を招くため、RFのフロントエンドとアンテナへの使用実績はない。送信信号をクリーンにするフィルターがなく、送信信号による受信信号の内部変調を防ぐことができないので、リニアリティはすべての部品をアンテナにつなぐうえで特に重要である。
MEMSのデジタル可変ICは、バラクターダイオードの代替品として、デジタル可変の高性能なMEMSキャパシタが製品化されている。これらの可変可能なキャパシタは2つの金属プレート(1つはSiチップの表面にあり、もう1つは数μm離れた上に吊るされている)から構成される。これらの2つのプレート間にできるキャパシタは、2つのプレート間の距離を変化させることにより可変可能であり、これは静電界の引力を加えることでつるされたプレートを上下移動しかつ固定位置に止め、キャパシタ容量を非常に正確に変えることを可能にする。システムの容量を非常に正確に制御するために使われるチューニング・マトリクスは、容量性素子をアレイ状に形成して実現されている。事実上それは、従来形のアナログによる解決手法と比較して広いチューニング範囲を備える、完璧に近いリニアリティを保持する。これによってバラクタで正確なデジタル近似ができるようになった。
MEMSのデジタル可変ICは、バラクターダイオードの代替品として、デジタル可変の高性能なMEMSキャパシタが製品化されている。これらの可変可能なキャパシタは2つの金属プレート(1つはSiチップの表面にあり、もう1つは数μm離れた上に吊るされている)から構成される。これらの2つのプレート間にできるキャパシタは、2つのプレート間の距離を変化させることにより可変可能であり、これは静電界の引力を加えることでつるされたプレートを上下移動しかつ固定位置に止め、キャパシタ容量を非常に正確に変えることを可能にする。システムの容量を非常に正確に制御するために使われるチューニング・マトリクスは、容量性素子をアレイ状に形成して実現されている。事実上それは、従来形のアナログによる解決手法と比較して広いチューニング範囲を備える、完璧に近いリニアリティを保持する。これによってバラクタで正確なデジタル近似ができるようになった。
図5 MEMSアンテナのチューニング回路
RF-MEMSの開発者は、RF-MEMSを基にしたチューニングICが携帯電話の欠かすことのできない部品になることを目標に作業を続けている。可変アンテナ部品は、優位な性能とRF-MEMSの集積化を容易にする重要なアプリケーションである。より小さいブロードバンド用アンテナがすべての条件下で良好に動作し、受信障害を低減するためにはこの方策こそが最良である。
RF-MEMSを内蔵した製品は、携帯電話の設計に劇的な変化をもたらすだろう。RF-MEMSを使用することにより、多機能な高効率の可変アンプ、可変フィルターそして小型アンテナを可能にし、小型で低価格、高性能な可変RFICを現実のものとする。
Refugio Jonesは、米WiSpry社のマーケッティング・ディレクターである。ミックスト・シグナル、アナログそしてリニアー半導体のメーカーで役職を歴任した。米アリゾナ州Tucsonのアリゾナ大学でBSEE取得。
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