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欧州におけるRoHS指令の影響と現状

[issued: 2007.04.02]

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 2006年7月1日に発効したEUの有害物質規制(RoHS)指令は、電気電子機器は鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、六価クロム、PBB(polybrominated biphenyl)、PBDE(polybrominated diphenylethers)の6物質について許容値以上の含有を禁止した。発効から9ヶ月近く経ち、機器メーカーが抱える問題や対処の状況は、ECが数ヶ月後にまとめる分析結果を待たねばならないが、EU委員会の広報によると企業は概ね積極的にRoHS指令に対応している。
  EU委員会の広報担当者は、「大陸も業種も異なる数多くの利害関係者が存在するため、RoHS指令を容易に対応できる内容にするように望む声もあったようだが、今では企業は規則変更の意義を理解し新しい規則を広く受け入れている。このことは、主要な貿易相手国にもRoHSに似た法規制を採用する動きがでていることでも伺い知ることができる。現在まとめている分析評価では、利害関係者の意見も盛り込み、不必要な負荷やコストを排除できるように特定することになる」と語っている。
  しかし、欧州の企業の話しを聞くと、RoHS指令に必ずしも好意的だとはいえない。Nokia社の環境問題担当ディレクタ、MarkusTerho氏はEU委員会の規則変更や規制に追随していくことは負担になると語る。「技術的な実装は困難でなくても、法的な要求が変化し続けることが負担になっている。我々は決めた要求は変更せずに、要求を満たすために1年間の猶予を望みたかった。しかし、委員会による規則変更は頻繁に行われ、理由が不明確なまま突然変更されることもある」と語った。
  Nokiaは国際的な問題にも言及している。Terho氏は「我々の製品は世界中で製造され使われているため、EUによる規則変更が全世界に適用されない限り、EU外のどこかで有害物質を含む製品を販売する可能性を排除できない」と語る。同氏はRoHS指令に対応するための投資対効果の問題も指摘し、「Nokiaは急速な技術進化に対応するため数万人のエンジニアを雇い、誰もが規則変更に対応するために時間を費やしているが、RoHS指令のためにいくら費やしているのかは計算していない。そのために費やした時間で、それ以外の方法で製品を改善できると考えたとしても、この活動の意義とコストは判定しづらい」という。
  ただ、EUのRoHS指令には、サプライチェーンに影響するその他の環境規制における免除事項が30強あり、Terho氏はNokiaとして免除要請をしたことはないが、いくらかの恩恵は受けていると語っている。「Pbを全く含まない集積回路は存在せず、個々のデバイスが使う20種類の材料の中でPb、Cd、Crなどの必要量を決めなければならない。携帯電話では50~350の部品を使い、全ての製品の部品は数千種類になる。これら全ての部品について含有量を検査することは不可能ではないが、極めて難しい。RoHS指令を遵守していない零細企業の部品がいくつかは含まれているが、全部を検査できるわけではない」。
  Freescale Semiconductors FranceSAS社で環境に優しい製品プログラムのマネージャーを担当しているGriffinTeggeman氏は、「FreescaleはRoHS指令に数年かけて準備を進め、遵守するための製品開発、製品品質検査、材料の成分認定などを世界的に実施している。欧州の状況は2006年7月以来比較的落ち着いていて、活動の力点はアジアに移っている」と語る。また、問題発生の有無については、サプライヤー、社内現場ともに、予想を下回ったとしている。Teggeman氏は「Pbを含む製品の製造停止は遅くとも1年前に告知し、RoHS指令の負担、コスト、意義などを聞き取り調査してきた。その結果は、必要な技術の初期実装、製品認定、遵守プロセスの構築、人員配備にはコストがかかり、その後の情報収集、認定製品の出荷プロセスも負担になっている。これらの資源は新製品の開発や新たな問題の解決に使えたわけだが、RoHS指令で環境から有害物質が効果的に削減できるのなら意義はある」と語った。
  EU委員会には免除要請が殺到していると言われているが、FreescaleもNokiaと同様に要請していない。Freescaleは、RoHS指令の策定の初期段階で半導体産業を代表して免除を要請したいくつかの業界団体のメンバーで、Teggeman氏は集積回路のフリップチップパッケージでダイとキャリアを接続するハンダに含まれる鉛に関する免除条項15が、RoHS指令に対応する上で極めて重要だったと語る。ただ、その後認可されたRoHSの免除条項については、特に支持も反対もしていないという。
  防衛産業と航空産業における電子機器の扱いは任務の重要性が優先され、通常の電子機器メーカーと同じRoHS標準は適用されていないが、Airbusなどの企業はRoHS指令の影響を受け始めている。Airbusでインダストリアル・コーディネーションを統括するBrunoCostes氏は、RoHS指令の準備段階から動向を見守り、航空産業の情報や見解をEU委員会とEuropean AerospaceAssociationに提供してきた。
  Costes氏は、「RoHSはとりわけ全産業に社内、サプライチェーンを問わず、様々な選択肢で無鉛化の推進を要求している。ある物質に規制がかかると、社内とサプライヤーで調整作業が必要になるという意味で、RoHSはコスト負担になる」と語る。Airbusでは、16の製造拠点における関係部署が全て関わる無鉛化ワーキング・グループを編成し、現行システムと新システムの無鉛化を検討している。
(John F.Mason、Electronic News)



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