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Intelの影!?
AMATによるASMI成膜事業の買収提案

[issued: 2008.06.10]

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 6月6日、米Applied Materials社(AMAT)は、蘭ASM International社(ASMI)のALD(原子層堆積)事業とプラズマCVD事業に対する法的拘束力のない買収提案を行ったと発表した。ここでいくつかの疑問がある。AMATが今になってASMIのALD技術を欲しがる理由は何なのであろうか。

 先週の発表では、買収金額は上限が4億ドル~5億ドルで、ASMIはこの提案に対し、6月14日までには回答を公表するとしている。

 米Gartner社のアナリストDean Freeman氏は「AMATにはいくつかのモチベーションがある」という。特に自社のALD技術を拡張していく上でASMIの有する特許は必要だ。

 米Intel社は、装置メーカーに関する公式なコメントは発表しないが、Freeman氏によるとASMIはIntelのHigh-kゲート絶縁膜の成膜装置、Low-k層間絶縁膜用のPECVD装置の採用により市場で拡大してきた。「AMATは、特許の問題は解決しているかもしれない。もしくは、IntelがAMATに対してこれらの問題を解決すべきと指摘したのかもしれない。Intelは、技術を持った小さな企業と大企業を結びつける術を持っている。ASMIはきっと大混乱に陥っているだろう」と指摘する。

 AMATは、ALD事業をあきらめていたわけではない。Freeman氏は、2008年から2012年の間で同事業は2倍に拡大すると予測する。AMATは同社「Centure」プラットフォームを使用し、先端ゲート積層構造用のソリューションを提供する。同装置には、High-k用ALD、窒化用の「DPN」、酸化とアニール用のチャンバが搭載されている。コンタクトおよびビア用のW成膜には、AMATはW ALD/CVD装置「Centura iSprint」を提供する。同装置には、バルクWのフィルと ALDによる結晶生成技術が搭載されている。

 Freeman氏は、AMATは今年のSEMICON WestにおいてALD装置ラインナップを拡大してくるかもしれないという。AMATの手口は、いくつかのβ装置をフィールドにだし、主要顧客と技術を確立し、それから公式発表を行う。この公式発表が今年のSEMICON Westとなるかもしれない。

世界のALD市場トップ5
世界のALD市場トップ5
世界の低密度プラズマCVD市場トップ5
世界の低密度プラズマCVD市場トップ5


 日立国際電気は、Si窒化膜の成膜用にバッチ式のALDプロセスを開発、メモリーメーカーに広く認知されている。その他でもALDでは韓国Jusung Engineering社が市場を牽引している。ASMIはALDおよびプラズマCVD市場で堅い地位におり、ALD市場はDRAMおよびロジックのメタル電極のシード形成でさらなる拡大が期待されている。22nmプロセスでは、NAND型フラッシュメモリーメーカーは共重合絶縁膜の成膜でALDが必要になる。

ASMIはIntelをものにした。しかし、それ以上の拡大はできていない
ASMIの枚葉式プラズマALD装置「Stellar 3000」
ASMIの枚葉式プラズマALD装置「Stellar 3000」

 ここで新たな疑問が浮かぶ。ASMIの役員会にとって4~5億ドルという価格は妥当なのであろうか。ALD事業は2007年に5400万ドルをIntelおよびいくつかの半導体メーカーに対して売り上げている。PECVD事業はGartnerの予測では同年6100万ドルを売り上げており、同様にIntelと先端の半導体メーカーに納入しているとされる。

 ASMIの枚葉式プラズマALD装置「Stellar 3000」は、量産対応のHigh-k/メタルゲート成膜装置となっている。「ASMIはIntelをものにした。しかし、それ以上の拡大はできていない」。さらにASMIの投資家は経営陣に市場拡大の要求と圧力をかけている。また、ASMIがロジックにフォーカスしていることは、裏を返せばメモリー用ALDに十分なリソースを投じていないことを意味する。

 メタルとLow-kの領域では、AMATは厳しい競合であった。「ASMIはAMATのメタル事業の締め付けにより大きな成功はできない」とFreeman氏は予測する。メタル電極の形成技術は、ALDのみのソリューションとなる前に、ALDとPVDのコンビネーションによより導入が進むとみられている。

 技術と特許を考慮することがASMIの経営陣を複雑な立場に置く。ASMI創設者であるArthur del Prado氏は同氏の息子Charles del Prado氏を後継としてCEOの座を譲っている。しかし、投資家グループは同氏の更迭を提案し、前工程装置事業はFarhad Moghadam氏に任せるべきだとする。Moghadam氏は、元のAMATシニアバイスプレジデントであり、AMATのシリコンソリューショングループの統括にTom St. Dennis氏が任命された直後にAMATを去っている。

 また、Freeman氏は、中国のファウンドリHua Hong NEC Electronics社の元CEOであり、元のAMATシニアエグゼクティブであるDavid N.K. Wang氏がASMIの相談役となっているという可能性を指摘した。

 AMATの提示する4~5億ドルは、概算でおよそASMIのALD/PECVD事業の年売上高の4倍に匹敵する。Freeman氏は、「適正な価格といえる。しかしながら、魅力的なこの2つの装置事業を手放すと、拡散炉とエピタキシャル成長装置が残ることになり、経営陣が会社を分裂させてしまうかは疑問だ」。

 「ASMIの投資家にとって経営陣がもっとしっかりするべきと考えるのは妥当であろう。経営陣は投資家を怒らせ、何が起こるかわからない状況だ。同社創設者は同社経営に携わっている。今後の動向が注目される」(Freeman氏)。
(Semiconductor International, David Lammers)

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