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メモリー技術はどこへ向かう?

[2007年02月号]

 フラッシュメモリーの微細化は間もなく根本的な障壁にぶつかるだろう。現在、窒化物ベースのコンセプト、PCRAM、FeRAM、MRAM、そして新しいRRAMコンセプトなどの代替技術が研究されている。


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Jan Van Houdt
Dirk Wouters
ベルギーIMEC
www.imec.be


 今日、いくつかの技術が、全体的な半導体市場に比べて速いスピードで成長する市場分野でしのぎを削っている。不揮発性メモリー市場は携帯電話の需要が急速に伸びていることが背景にある。EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)のような先行技術よりはるかに低コストのフラッシュメモリーは、現在、圧倒的に支配的な不揮発性メモリー技術である。経済的な利点の他に、高密度化、高速読み込みアクセス、電気的消去可能という特徴がある。

 2000年、コード実行とアプリケーションストレージのためのNOR型フラッシュメモリー技術を実装した携帯電話が最初のブームの原因だった。今、NAND型フラッシュメモリーが主要な役割を果たす第2期フラッシュブームが起きている。NAND型フラッシュは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、MP3プレーヤー、USBフラッシュドライブ、メモリースティック、そして全種類のフラッシュカード製品といった、より高密度化が必要な新しいアプリケーションを可能にする。NAND型フラッシュは今日すでに量産化されているマルチギガビットのチップを提供することにより、メモリーの高密度化競争で断然リードしている。そして少なくともあと数年はこの状態が続くように思われる。

 しかし、年間2倍の速さで微細化される中、フラッシュメモリーに使われている従来のフローティングゲートコンセプトは、間もなく根本的な障壁にぶつかるだろう。多くの代替メモリーコンセプトが、急速に成長している市場に食い込もうと、おぼろげに見え始めている。それでもなおフラッシュメモリーの販売規模が比較にならないほど大きく、次世代フラッシュメモリー技術を実現するための研究開発は拡大しているのだ。マルチレベルプログラミング、High-k材料の導入、電荷トラップ層の導入など革新的なソリューションが、おそらく、フラッシュのロードマップをさらに延長させるだろう。それらは32nmノード、22nmノードへ向けてムーアの法則を継続させる可能性を秘めている。同時に、代替の不揮発性メモリーコンセプトは、それが進化的であれ革新的であれ、引き続きストレージ容量やシステム性能を向上させ、省電力消費、より小さい形状、低システムコスト、長時間のデータ保持能力の必要性を最終的に満たすよう研究されている。

 本稿では、NOR型およびNAND型フラッシュメモリー技術のコンセプトについて、微細化の限界に焦点を当て議論する。次に、現在研究が進む多くの代替技術のうちいくつか(窒化物ベースのコンセプト、相変化メモリー[PCRAM]、Ferroelectric RAM [FeRAM]、Magnetic RAM [MRAM]、そして新しい抵抗変化型メモリー[RRAM]コンセプト)について考察する。我々は主流の不揮発性メモリー技術となる可能性を促進する、あるいは妨げるだろう要素を特定する。

NAND型とNOR型フラッシュ:微細化の問題

図1 NOR型フラッシュ(上)は高速のランダムリードアクセスを可能とし、NAND型フラッシュ(下)はセルの小型化を可能とする

 NOR型フラッシュは、頑強なコードストレージのために選ばれたたコンセプトである(図1、上)。その構造は、より複雑な技術を犠牲にしながら、高速のランダムリードアクセスを可能にする。プログラミングは、電子がチャネルホットエレクトロン注入で比較的厚いトンネル酸化膜(~10nm)を通して10μsec以下で注入されることにより行われる。一方、遅い(0.5秒以下)消去動作は、フローティングゲートからチャネルに向けたFowler-Nordheimトンネルが使われる。典型的な動作電圧は±8Vから成る。一般的なセルサイズは10F2以下で、Fは同技術の最小加工寸法を表す。NAND型の構造(図1、下)では、そのアレイ構造が最低限のコンタクト数しか含まないので、セルの小型化(~4F2)が可能となる。さらに、セルは両方向(書き込み、消去)にFowler-Nordheimトンネルによってプログラミングされているので、チャネル長はNOR型の場合より積極的に微細化することができる。この構造の欠点は、高電圧(最高18V)、薄いトンネル酸化膜(~7.5nm)、長いプログラミング時間(~300μsec)、そして遅いランダムリードアクセス時間(~1μsec)である。NAND型は高密度化、低コストになりつつあり、高密度データストレージアプリケーションのための選ばれた技術である。
 微細化の観点から見て、トンネル酸化膜とプログラム/消去電圧が大きな障害である。特にNAND型の構造では、信頼性を損なわずにトンネル酸化膜を薄膜化することはできない。この問題を回避する一つの方法は、High-k材料を共重合絶縁膜だけでなくトンネル層にも導入することだ。最近、我々は共重合絶縁膜としてHfAlOでよい結果を得た。比較的高い誘電率を持ちリーク電流が少ないこの材料は、急速に進化するフラッシュメモリー分野において最も将来性がある。
 マルチレベルスキームを用いることでさらなる微細化が可能となり、4つの異なるレベルへプログラミングすることによって2ビット/セルのストレージを可能とする。しかし、45nm以下まで微細化すると、近接するセル間の静電干渉が起き始め、マルチレベルの場合には特に心配である。この問題は窒化物(あるいはその他トラッピング層)ベースの電荷トラップコンセプトへ切り替えることで対応できる。


図2 スプリットゲート構造では、高効率のソース側注入メカニズムによりプログラミングされ、接点あるいはトップゲートにトンネリングすることで消去が行われる

 注意すべきなのは、組み込み不揮発性メモリーのソリューションでは異なる選択肢がとられるということだ。なぜなら、メモリー面積は、大方の場合、周辺(高いプログラム/消去電圧が原因)と統合コストによって決定されるのであって単にセルサイズだけで決まらないからである。また、組み込みフラッシュ技術は特定のアプリケーションのニーズに合うよう調整され、一般的に、異なるセルタイプやプロセスフローに至る。一つの例はスプリットゲート構造(図2)で、特に組み込みアプリケーション用に開発された。プログラミングは高効率のソース側注入メカニズムで行われ、消去は接点あるいはトップゲートにトンネリングすることで行われる。

電荷トラップ:明らかな競争相手

図3 従来のフローティングゲートセルに対する最も明確な代替技術は、ナノクリスタルと窒化物ベースの層に電荷トラッピングをすることである

 従来のフローティングゲートセルの微細化がこれまでになく複雑化したため、他のコンセプトが浮上している。今日、最も明確な代替技術は、ナノクリスタルと窒化物ベースの層に電荷トラッピングをするものである。これらの構造(図3)には静電干渉の問題がない。また、局所的なトンネル酸化膜欠陥に対して従来のフローティングゲートセルが高い感度を持つことが、この層のさらなる微細化を妨げる主な要因であったが、トラッピング媒体に電荷を広げることによってそれが回避されるのだ。ナノクリスタル層では、ナノクリスタルが不十分だと、注入された電荷が結晶内でトラップされる可能性がある。これはしきい値電圧ウィンドウを上に押し上げることになりうる。しかし、ナノクリスタルが高密度化すると一つのストレージノードから別のストレージノードに浸透するリスクが高まるので、局所電荷トラップメモリーの主な利点を損なってしまう。その代わり、窒化物層はこれら浸透の問題なしに十分な高密度トラップを持つことが知られている(図3)。

 通常NROMと呼ばれるデュアルビット窒化物セルの登場で、窒化物ベースのメモリーが最近大きく注目されている。このメモリーのコンセプトはチャネルの反対側に2ビットを蓄えておくというものだが、コストや達成可能な密度という点で、マルチレベルのフローティングゲートに代わる実行可能な技術となる。しかし、微細化の観点から言うと、両ビットが干渉した場合、積極的なチャネル長のスケーリングの妨げとなる。この限界は非常に根本的なもので、すでに近い将来(100nm以降)のセルサイズや読み出し電流を損なわせるだろう。さらに、窒化物層に電子とホールが同時に存在するので、サイクル後の保持力に限界があるなど多くの信頼性の問題が生じ、これは大容量メモリーアレイでは簡単に解決できない。

 現在のところ、最も微細化が可能なデバイスは既存のSONOSセルとみられる。これは窒化物ストレージ層とのトンネリングでプログラミングや消去が行われる。我々は現在、High-kトップ絶縁膜とマルチレベルのプログラミングスキームを組み合わせるという革新的なSONOSセルコンセプトの研究を行っている。目標は、従来のSONOSと同様の耐久性を持ち、一方でより優れた保持力や高速の駆動電流を備えたセルを開発することである。このコンセプトは32nmや22nmノード、そしてもしかしたらそれ以降への道を開くかもしれない。

新しい不揮発性メモリー技術

図4 PCRAMはレジスタベースのメモリーで、レジスタはカルコゲナイド材料からできており、ジュール加熱法によって、溶解され高抵抗の非昌相でうまくクエンチングされるか、低抵抗の結晶相で結晶化を誘発するため融点以下で熱せられる

 これらの技術は組み込みメモリーアプリケーションの性能向上が主な目的で、EEPROMや組み込みフラッシュの代替技術になる可能性を秘めていた。SRAMやDRAMキャッシュを含むすべての組み込みメモリーを新しい「ユニバーサルメモリー(UM)」技術で置き換えることさえ予想されていた。この意味で最初に広く調査されたメモリー技術はFeRAMである。FeRAMでは、電界によって切り替えられる強誘電体キャパシタの偏光方向としてデータが記憶される。低電圧、低電力、高速書き込みという特徴があり、信頼性の高さ(例えば耐久性は1012サイクル以上)と相まって、ポータブルシステムやスマートカードにとって理想的なメモリー技術となっている。FeRAM仕様がUMのそれに最も近い。しかし、強誘電体や電極材料に関して統合プロセスが非常に複雑だということを別にすると、FeRAMの最大の課題はスケーラビリティが乏しいことだ。なぜなら、その信号は各技術ノードで縮小するキャパシタ電荷に基づいており、感度を失う結果となるからである。三次元キャパシタを製作するとこの問題は解決されるかもしれないが、そのプロセスはあまりにも複雑すぎるようだ。その結果、同技術では100nm以降スケーリングできない。既存の製品や開発中の技術(セルサイズ15F2が特徴の、130nm世代で最大64Mb)は、多くのニッチ市場におけるFeRAMの実行可能性を示しているが、明らかにスケーラビリティが不足しているので、主流の(組み込み型)不揮発性メモリー技術になることはできない。

 MRAMは第2の代替技術であり、研究の背景には、事実上無制限のサイクルと相まって超高速切り替えが見込めるのではないかという期待がある。さらに、帯電ではなく、磁気接合デバイスの可変磁気抵抗に基づいているコンセプトなので、信号は微細化の妨げとならないはずだ。よってMRAMは100nmノード以降における優れたUM技術だと考えられた。しかし、MRAMは多くの問題点があることが分かる。(すなわち、スイッチング磁界を発生させるのに必要な半選択ディスターブと高プログラミング電流[数mAs]。)さらに、スイッチング磁界は形状サイズでスケールしない。これらの問題が最小セルサイズ(130nmまでの技術で30~40F2と予想される)に深刻な影響を与える。スピントルク搬送スイッチング(Spin-Torque-Transfer-Switching:トンネル接合デバイスに電流を通して切り替える)のような新規開発がMRAMの主要な問題を解決するかもしれないが、まだ検証の余地がある。

 これらの例は、どの不揮発性メモリー技術が主流になるにせよ、セルのスケーラビリティだけでなくシンプルなプロセス技術も厳しく要求されている(優れた動作特性以上のもの)ことを明確に示している。これはスタンドアローンだけでなく(メモリーの高密度化が必要なのでセルサイズが非常に重要)、組み込みメモリーにもいえることだ(同メモリーは高速スケーリングの標準的CMOSプロセスと互換性を持たなければならない)。つい最近研究されたPCRAM技術は両方の特徴(すなわち、優れたスケーラビリティだけでなく比較的簡単なプロセス互換性も)を満たしていることが分かった。


図5 現在標準的なフラッシュ技術の性能限界や予想されるスケーリングの問題だけでなく、不揮発性メモリーの重要性と必要性の高まりによって、新たなメモリーコンセプトや材料の開発が促進され続けるだろう

 PCRAMはレジスタベースのメモリーで、レジスタはカルコゲナイド材料からできており、ジュール加熱法によって、溶解され高抵抗の非昌相でうまくクエンチングされるか、低抵抗の結晶相で結晶化を誘発するため融点以下で熱せられる(図4)。融点まで加熱させる電流はまだ比較的大きい(通常0.5mA)が、MRAMとは逆に、セルサイズで微細化する。スピードや耐久性のような動作特性がUMの要求と合わないが、それでもフラッシュメモリーのそれより優れている。セルサイズ10F2以下が可能であることが示され、この技術がNOR型フラッシュにとってただならぬ競争相手となった。NOR、NANDセル共に微細化の深刻な限界が予想される25nmノード以降でも、さらなるセルサイズの微細化が推測される。これは、マルチレベル動作用PCRAMの可能性と合わせ、PCRAMをNAND型フラッシュ技術の競争相手にさえしてしまうかもしれない。PCRAMへの強い関心により、現在開発中のすべての代替メモリー技術の中で最も進んだ技術となっている(90nm技術で512Mbがすでに報告されている)。

 現在標準的なフラッシュメモリー技術の性能限界や予想される微細化の問題だけでなく、不揮発性メモリーの重要性と必要性の高まりによって、新たなメモリーコンセプトや材料の開発が促進され続けるだろう。近年注目されているのはRRAMを可能とする材料システムで、このスイッチングは磁界によって決まる。研究が進む材料システムの中には、PCRAMの主な特長(容易な統合と優れたスケーラビリティ)に向上した特性(低電流で高速切り替え)を組み合わせることができるものもあるようだ。非常に多くの材料システム(有機材料や分子材料さえ含む)が提案されている中、最も目立った候補技術(図5)はPMC(Programmable Metallization Cell)をベースとしたCBRAM(Conductive-Bridging RAM)と二元系酸化物での導電スイッチングであるOxRRAM (Binary Oxide Resistive Memory)である。これらのコンセプトのほとんどはまだ開発初期段階だが、スケーラビリティの見通しを実証するため、物理的なメカニズムをさらに明確にする必要がある。そして、信頼性と統合技術が立証されなければならない。

結論
 最新のモバイルマルチメディアアプリケーションにおいてデータストレージに対するニーズは右肩上がりで増え続け、不揮発性メモリー技術の開発やスケーリングが勢いよく取り組まれている。今日における不揮発性メモリー技術の主流はフラッシュであり、45nmノードに向けてそれは続くだろう。現在、その重要なスケーリング問題を克服すべくいくつかの方法が研究されている。High-k材料と電荷トラップ層の両方を導入すると、32nm、22nm技術ノードに向けてフラッシュのロードマップを延長させる可能性が広がる。一方、スタンドアローンと組み込みメモリーアプリケーション共に、さまざまな代替メモリー技術が、これまで、あるいは現在も調査されている。主流の不揮発性メモリー技術になるためには、プロセスの互換性やスケーラビリティの厳しい要求を満たさなくてはならない。加えて、まだ研究開発の多くを占めているフラッシュ技術開発からもたらされる進歩と競争しなくてはならない。よって、FeRAMのようないくつかの技術は、フラッシュの代替技術というよりむしろニッチなアプリケーションで落ち着くという結果になる。
 レジスタベースのPCRAMは開発中の技術で最も進んだ代替メモリーコンセプトであり、最終的にはNOR型とNAND型フラッシュの両者にとって競争相手となるかもしれない。新しいRRAMコンセプトは、特徴が改善されたPCRAMの可能性を広げるかもしれない。しかし、これらの技術はまだ始まったばかりで、統合性、スケーラビリティ、信頼性を実証するためさらなる研究が必要である。

Jan Van HoudtはIMECのメモリープログラムマネージャー。ルーベンのKatholieke大学で理学修士と博士号を取得。同社のフラッシュメモリー分野のグループリーダー兼プログラムマネージャー。
E-mai:Jan.VanHoudt@imec.be

Dirk WoutersはIMECの先端メモリー技術グループリーダー。ルーベンのKatholieke大学で電気工学の修士号と博士号を取得。新しい組み込み不揮発性メモリーに関する技術開発プロジェクトマネージャー。
E-mail:Dirk.Wouters@imec.be

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