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メモリー技術はどこへ向かう?
[2007年02月号] フラッシュメモリーの微細化は間もなく根本的な障壁にぶつかるだろう。現在、窒化物ベースのコンセプト、PCRAM、FeRAM、MRAM、そして新しいRRAMコンセプトなどの代替技術が研究されている。
2000年、コード実行とアプリケーションストレージのためのNOR型フラッシュメモリー技術を実装した携帯電話が最初のブームの原因だった。今、NAND型フラッシュメモリーが主要な役割を果たす第2期フラッシュブームが起きている。NAND型フラッシュは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、MP3プレーヤー、USBフラッシュドライブ、メモリースティック、そして全種類のフラッシュカード製品といった、より高密度化が必要な新しいアプリケーションを可能にする。NAND型フラッシュは今日すでに量産化されているマルチギガビットのチップを提供することにより、メモリーの高密度化競争で断然リードしている。そして少なくともあと数年はこの状態が続くように思われる。
しかし、年間2倍の速さで微細化される中、フラッシュメモリーに使われている従来のフローティングゲートコンセプトは、間もなく根本的な障壁にぶつかるだろう。多くの代替メモリーコンセプトが、急速に成長している市場に食い込もうと、おぼろげに見え始めている。それでもなおフラッシュメモリーの販売規模が比較にならないほど大きく、次世代フラッシュメモリー技術を実現するための研究開発は拡大しているのだ。マルチレベルプログラミング、High-k材料の導入、電荷トラップ層の導入など革新的なソリューションが、おそらく、フラッシュのロードマップをさらに延長させるだろう。それらは32nmノード、22nmノードへ向けてムーアの法則を継続させる可能性を秘めている。同時に、代替の不揮発性メモリーコンセプトは、それが進化的であれ革新的であれ、引き続きストレージ容量やシステム性能を向上させ、省電力消費、より小さい形状、低システムコスト、長時間のデータ保持能力の必要性を最終的に満たすよう研究されている。
本稿では、NOR型およびNAND型フラッシュメモリー技術のコンセプトについて、微細化の限界に焦点を当て議論する。次に、現在研究が進む多くの代替技術のうちいくつか(窒化物ベースのコンセプト、相変化メモリー[PCRAM]、Ferroelectric RAM [FeRAM]、Magnetic RAM [MRAM]、そして新しい抵抗変化型メモリー[RRAM]コンセプト)について考察する。我々は主流の不揮発性メモリー技術となる可能性を促進する、あるいは妨げるだろう要素を特定する。
NAND型とNOR型フラッシュ:微細化の問題
図1 NOR型フラッシュ(上)は高速のランダムリードアクセスを可能とし、NAND型フラッシュ(下)はセルの小型化を可能とする
微細化の観点から見て、トンネル酸化膜とプログラム/消去電圧が大きな障害である。特にNAND型の構造では、信頼性を損なわずにトンネル酸化膜を薄膜化することはできない。この問題を回避する一つの方法は、High-k材料を共重合絶縁膜だけでなくトンネル層にも導入することだ。最近、我々は共重合絶縁膜としてHfAlOでよい結果を得た。比較的高い誘電率を持ちリーク電流が少ないこの材料は、急速に進化するフラッシュメモリー分野において最も将来性がある。
マルチレベルスキームを用いることでさらなる微細化が可能となり、4つの異なるレベルへプログラミングすることによって2ビット/セルのストレージを可能とする。しかし、45nm以下まで微細化すると、近接するセル間の静電干渉が起き始め、マルチレベルの場合には特に心配である。この問題は窒化物(あるいはその他トラッピング層)ベースの電荷トラップコンセプトへ切り替えることで対応できる。
図2 スプリットゲート構造では、高効率のソース側注入メカニズムによりプログラミングされ、接点あるいはトップゲートにトンネリングすることで消去が行われる
電荷トラップ:明らかな競争相手
図3 従来のフローティングゲートセルに対する最も明確な代替技術は、ナノクリスタルと窒化物ベースの層に電荷トラッピングをすることである
通常NROMと呼ばれるデュアルビット窒化物セルの登場で、窒化物ベースのメモリーが最近大きく注目されている。このメモリーのコンセプトはチャネルの反対側に2ビットを蓄えておくというものだが、コストや達成可能な密度という点で、マルチレベルのフローティングゲートに代わる実行可能な技術となる。しかし、微細化の観点から言うと、両ビットが干渉した場合、積極的なチャネル長のスケーリングの妨げとなる。この限界は非常に根本的なもので、すでに近い将来(100nm以降)のセルサイズや読み出し電流を損なわせるだろう。さらに、窒化物層に電子とホールが同時に存在するので、サイクル後の保持力に限界があるなど多くの信頼性の問題が生じ、これは大容量メモリーアレイでは簡単に解決できない。
現在のところ、最も微細化が可能なデバイスは既存のSONOSセルとみられる。これは窒化物ストレージ層とのトンネリングでプログラミングや消去が行われる。我々は現在、High-kトップ絶縁膜とマルチレベルのプログラミングスキームを組み合わせるという革新的なSONOSセルコンセプトの研究を行っている。目標は、従来のSONOSと同様の耐久性を持ち、一方でより優れた保持力や高速の駆動電流を備えたセルを開発することである。このコンセプトは32nmや22nmノード、そしてもしかしたらそれ以降への道を開くかもしれない。
新しい不揮発性メモリー技術
図4 PCRAMはレジスタベースのメモリーで、レジスタはカルコゲナイド材料からできており、ジュール加熱法によって、溶解され高抵抗の非昌相でうまくクエンチングされるか、低抵抗の結晶相で結晶化を誘発するため融点以下で熱せられる
MRAMは第2の代替技術であり、研究の背景には、事実上無制限のサイクルと相まって超高速切り替えが見込めるのではないかという期待がある。さらに、帯電ではなく、磁気接合デバイスの可変磁気抵抗に基づいているコンセプトなので、信号は微細化の妨げとならないはずだ。よってMRAMは100nmノード以降における優れたUM技術だと考えられた。しかし、MRAMは多くの問題点があることが分かる。(すなわち、スイッチング磁界を発生させるのに必要な半選択ディスターブと高プログラミング電流[数mAs]。)さらに、スイッチング磁界は形状サイズでスケールしない。これらの問題が最小セルサイズ(130nmまでの技術で30~40F2と予想される)に深刻な影響を与える。スピントルク搬送スイッチング(Spin-Torque-Transfer-Switching:トンネル接合デバイスに電流を通して切り替える)のような新規開発がMRAMの主要な問題を解決するかもしれないが、まだ検証の余地がある。
これらの例は、どの不揮発性メモリー技術が主流になるにせよ、セルのスケーラビリティだけでなくシンプルなプロセス技術も厳しく要求されている(優れた動作特性以上のもの)ことを明確に示している。これはスタンドアローンだけでなく(メモリーの高密度化が必要なのでセルサイズが非常に重要)、組み込みメモリーにもいえることだ(同メモリーは高速スケーリングの標準的CMOSプロセスと互換性を持たなければならない)。つい最近研究されたPCRAM技術は両方の特徴(すなわち、優れたスケーラビリティだけでなく比較的簡単なプロセス互換性も)を満たしていることが分かった。
図5 現在標準的なフラッシュ技術の性能限界や予想されるスケーリングの問題だけでなく、不揮発性メモリーの重要性と必要性の高まりによって、新たなメモリーコンセプトや材料の開発が促進され続けるだろう
現在標準的なフラッシュメモリー技術の性能限界や予想される微細化の問題だけでなく、不揮発性メモリーの重要性と必要性の高まりによって、新たなメモリーコンセプトや材料の開発が促進され続けるだろう。近年注目されているのはRRAMを可能とする材料システムで、このスイッチングは磁界によって決まる。研究が進む材料システムの中には、PCRAMの主な特長(容易な統合と優れたスケーラビリティ)に向上した特性(低電流で高速切り替え)を組み合わせることができるものもあるようだ。非常に多くの材料システム(有機材料や分子材料さえ含む)が提案されている中、最も目立った候補技術(図5)はPMC(Programmable Metallization Cell)をベースとしたCBRAM(Conductive-Bridging RAM)と二元系酸化物での導電スイッチングであるOxRRAM (Binary Oxide Resistive Memory)である。これらのコンセプトのほとんどはまだ開発初期段階だが、スケーラビリティの見通しを実証するため、物理的なメカニズムをさらに明確にする必要がある。そして、信頼性と統合技術が立証されなければならない。
結論
最新のモバイルマルチメディアアプリケーションにおいてデータストレージに対するニーズは右肩上がりで増え続け、不揮発性メモリー技術の開発やスケーリングが勢いよく取り組まれている。今日における不揮発性メモリー技術の主流はフラッシュであり、45nmノードに向けてそれは続くだろう。現在、その重要なスケーリング問題を克服すべくいくつかの方法が研究されている。High-k材料と電荷トラップ層の両方を導入すると、32nm、22nm技術ノードに向けてフラッシュのロードマップを延長させる可能性が広がる。一方、スタンドアローンと組み込みメモリーアプリケーション共に、さまざまな代替メモリー技術が、これまで、あるいは現在も調査されている。主流の不揮発性メモリー技術になるためには、プロセスの互換性やスケーラビリティの厳しい要求を満たさなくてはならない。加えて、まだ研究開発の多くを占めているフラッシュ技術開発からもたらされる進歩と競争しなくてはならない。よって、FeRAMのようないくつかの技術は、フラッシュの代替技術というよりむしろニッチなアプリケーションで落ち着くという結果になる。
レジスタベースのPCRAMは開発中の技術で最も進んだ代替メモリーコンセプトであり、最終的にはNOR型とNAND型フラッシュの両者にとって競争相手となるかもしれない。新しいRRAMコンセプトは、特徴が改善されたPCRAMの可能性を広げるかもしれない。しかし、これらの技術はまだ始まったばかりで、統合性、スケーラビリティ、信頼性を実証するためさらなる研究が必要である。
レジスタベースのPCRAMは開発中の技術で最も進んだ代替メモリーコンセプトであり、最終的にはNOR型とNAND型フラッシュの両者にとって競争相手となるかもしれない。新しいRRAMコンセプトは、特徴が改善されたPCRAMの可能性を広げるかもしれない。しかし、これらの技術はまだ始まったばかりで、統合性、スケーラビリティ、信頼性を実証するためさらなる研究が必要である。
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