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10年後を見据えた
Samsungの人材経営

[2007年05月号]

By 服部 毅
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 市場調査会社iSuppli社が発表した2006年半導体売上高ランキングによると、米Intel社の売上高は 315億ドルで、15年連続で1位の座を維持したが、前年比では11%も下落した。これに対して、韓国Samsung Electronics社の売上高は、198億ドルで、前年比12%増加し、トップとの差を縮めた。同社はメモリー分野で独占的な地位を築き、DRAM、SRAM、NAND型フラッシュメモリー全てで世界1位のシェアを維持した。

 同社のメモリー事業部員は今年2月に最高で年俸の50%にあたる特別ボーナス(目標超過利益分配金)を手にしたという。

強さの源泉は人材経営
 Samsungの強さの源泉は人材経営にあるようだ。昨年暮れの外電によると、Samsungの研究開発従事者は昨年11月に3万人を超え、このうち博士クラスの人材は3000名を突破した。この5年間で、それぞれ2倍および3倍に急増している。国内社員8万3000名の38%、10人に4人がR&D従事者ということになる。さらには、2007年までに特許登録件数で世界トップ3に入ることを目標に、現在250人ほどの特許担当人材を2010年までに450人に拡大する計画だという。Samsung Electronics関係者は、「今後も会社の企業哲学に従い、人材経営を着実に進めていく」と話している。

 李健煕(イ・ゴンヒ)Samsung会長は、幹部社員に対する今年の年頭挨拶で、「世界の人材が自社で思う存分発想し能力を最大限発揮できるよう、経営システムと制度を見直し、企業文化まで時代の変化に合わせて変える覚悟をしなければならない」と述べ、人材経営をさらに強化し推進する決意を明らかにしている。

 会長は「囲碁1級の人が10人集まろうと、初段1人に勝てない」という信念のもと、常に勝つための、ビルゲーツ(のような革新的な人材)を育てることを目標として、10年後に備えたグローバル人材経営を目指している。

 未来社会を創生して行くいくつかの新事業を発掘して、企業のさらなる繁栄を企てるためには、クリエイティブな人材が必要と言うわけである。事実、天才的リーダー(たとえば、かつて米スタンフォード大学助手だったSamsung Electronics社長黄氏ら)を次々生み出し、そうしたリーダーがその後継者を育てることに成功している。

 そうした人材の強さ、そのための系統的で徹底した社員教育というものは、本来、日本の製造業が得意とし競争力の源泉としてきたものである。しかし、今日の日本企業は、形骸化した成果主義の導入の結果、短期的業績を達成するため、人材の育成など地道な作業がおろそかにされているのが実状であろう。

10年後のトップは李在鎔
 昨年、韓国人ジャーナリストが書いた「2015年のサムスン」という書籍が日本で出版された。本書は、2005年に韓国で発売されたベストセラーの翻訳で、原題は「2015年 李在鎔(イ・ジェヨン)のサムスン」。日本語の書名から除かれた李在鎔というのは、現会長である李健煕の一人息子(39歳)。本書は大胆にも李在鎔が、いずれ社長になるのは確実として、彼が率いる10年後の(原著出版は2005年なので、10年後とは2015年にあたる)Samsungの未来図を精緻に描いている。2015年にはソニーを飲み込んでいるだろうと日本人から見て衝撃的な未来図さえ示されている。

 ところが、この本に描かれたシナリオを裏付けるようなニュースが今年1月に飛び込んできた。李在鎔常務が、1月17日に実施された定期人事で、常務から専務に昇進したのである。どんな新たな役割を演じるのか世間が注目していると、2日後の19日付の組織再編で新設の最高顧客責任者(CCO)に就任した。新設されるCCOは、海外を含むSamsung Electronicsの取引先や協力会社のほか顧客管理などを総轄する。

 李専務がCCOに任命されたことで、今後のSamsungグループの経営権継承に向けた動きが加速化すると関係者は見ている。10年後を見据えたSamsungの人材経営は着実に結実しているように見える。

 それにしても、本書の予測どおり、ソニーは、10年後にサムスンに飲み込まれてしまっているのだろうか。



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