Cover Story

ウェーハ洗浄と表面処理:
エボリューションからレボリューションへ

[2007年06月号]

微細化が進み、プロセスに要求されるスペックが厳しくなるにつれて、洗浄における課題も進化してきた。そしてさらに、さまざまな新しい材料やインテグレーション・スキーム、プロセス工程の変化によって大きな変革が起ころうとしている。


By Peter Singer
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 ウェーハ洗浄や表面処理は、標準的な半導体製造プロセスの中でも100ステップ以上を占めており、レジスト後の除去およびアッシング残渣剥離、自然酸化膜除去、さらには選択エッチングなどに使用されている。ドライプロセスの進歩で、その利点を生かしたアプリケーションもいくつかあるが、洗浄および表面処理プロセスの多くは“ウェット”であり、フッ化水素酸、塩酸、硫酸、リン酸や、過酸化水素などの薬液を混合して使用するとともに、希釈や洗浄には大量の純水を使用する。ウェーハは、通常、バッチ式液浸洗浄装置やバッチ式スプレー装置で処理されるが、枚葉式の洗浄アプローチの併用も最近増加している。また、メガソニックやジェットスプレーなど、機械的エネルギーの助けを借りて、化学薬品の濃度をより低くする傾向にある。

 さらに最近のウェーハ洗浄では、その主要目的が変わりつつある。ゴミ(パーティクル)の除去だけではなく、アッシング残渣剥離後の自然酸化膜やレジスト残留物の除去などのいくつかの機能が加わっている。「ウェット洗浄では、パーティクルの除去は大きな目的ではない。念のため、プロセス完了時にパーティクルが残っていないかを確かめる」と米FSI International社チーフテクノロジストJeffery Butterbaugh氏は語る。もちろん、ウェット洗浄では、近辺の膜の材料損失を最小限に留めるよう非常に高度な選択性が要求される。ダメージと欠陥の管理も重要だ。

製造ラインにおけるFEOLの課題:
High-k絶縁膜とメタルゲート
 この記事のためのインタビューでは、どのアプリケーションにも特有の要件があり、枚葉式が最も難しい洗浄手段であると認めることは難しかった。しかし、製造ラインにおけるトランジスタ形成工程(FEOL)での洗浄、特に、High-kゲート絶縁膜やメタルゲートのような新しい材料を使用するゲートエッチング後の洗浄は難しい分野と言える。接合部(Contact Area)の洗浄も、高ドーズイオン注入後の完全ウェットでの剥離と同様に課題である。


図1 ソノルミネッセンス(Sonolumi-nesence)画像は、複数のメガソニック振動子の相互作用を示している。パターンにダメージを与えることのない均一な洗浄に使用される
(出典:米Applied Materials社)

 メタルゲートにどの金属材料を使用するかはまだ明らかではないが、業界のこれまでの経験から、Ta、W、Ti、Mo、Hfのいずれかになるだろうと考えられている。これらの材料は量産工場にはある程度目新しいだろうが、すでに精通しているところでもある。「我々はこれらの課題に以前から焦点を当てていた。既にこれらの候補について知られている薬液でエッチングの実現可能性を論証している。これらの新しい金属をインテグレーションするには新たな洗浄方法が必要で、新たなエッチング/欠陥問題が浮上する」と、米Sematechの先端的なゲート洗浄を担うフロンドエンド・プロセス部門テクニカルスタッフ・シニアメンバーJoel Barnett氏は語る。「選択的エッチングや、High-k/メタルゲートによる高度なゲート積層構造に適した薬液の開発のためには、まだ研究が必要だ。High-k/メタルゲートにおけるエッチング後の洗浄方法としては、トランジスタ形成工程へ組み込むためのインテグレーション戦略が必要である。メタルゲート/新材料の腐食防止についても考慮しなければならない。二次汚染や薬液についての要件を整備し、明確にする必要がある。High-k絶縁膜上の微量金属の分析も、高いバックグラウンドノイズとスペクトルの重なりのために難しい」。

 ベルギーIMECのPaul Mertens氏は、絶縁膜材料のなかにはウェット薬液によって容易に侵されてしまうものもあると言う。例えば、ハフニウムシリケートや、Laベースの絶縁膜などである。また、金属上のポリシリコンのように異なる材料が接触する場合には、ゲート電極の電解腐食も起こる可能性がある。

 ゲート積層構造もダメージを受けやすくなる可能性がある。「ここで問題なのは、大幅に微細化したゲートの構造的強度であり、毛管力、流体により引き起こされる力、気泡の破裂などによるエネルギーが、ゲート構造を変形させるところまできている」と、表面処理技術の米Semitool社バイスプレジンデントDana Scranton氏は語る。

 このことが、洗浄プロセスを効果的に行うための積極的手法と、一方で、高度に選択的でダメージのない手法の間のジレンマをもたらす。1つの方法は「化学的性質」を変える方法であり、新しいタイプの薬液や溶剤を使用する。もう1つの方法は、メガソニックやジェットスプレーのエネルギーを加える方法である。メガソニック洗浄技術は、多数の振動子を持ち、ダメージを最小限に保つ枚葉式洗浄装置の返り咲きのちょっとした恩恵を享受している(図1)。図2は、パーティクルの除去に必要なエネルギー量と、材料損失やダメージを起こしうるエネルギー量のバランスを示している。


図2 物理的な力による洗浄では、過度なエッチングやダメージを及ぼすことなく小さなパーティクルを除去する必要がある

 22nm世代になると、おそらくfinFETのようにさらに進んだ三次元のトランジスタ構造が導入されるだろう。「finFETデバイスの第1の課題は洗浄で、それに続いて測定と垂直面が課題になるだろう」とBarnett氏は言う。「50~150nm幅の狭ピッチのfinFET構造の洗浄は、高アスペクト比における洗浄と同様の課題に直面することになろう。SiGeやIII-V面の洗浄方法と測定方法の決定も残された課題だ」。

高ドーズのイオン注入レジスト剥離
 ウェット洗浄装置メーカーや材料メーカーが直面するもう一つの大きな問題は、高ドーズのイオン注入後のフォトレジストの除去である。「イオン注入後のフォトレジスト剥離を完全ウェットプロセスで行おうとする動機は、アッシングとウェット洗浄による従来の手法で生じる材料損失やドーパント損失の低減にある」とButterbaugh氏は言う(図3)。この必要性は、一つには、ソース/ドレインでの接合が浅くなる傾向からも強まるだろう。「言うまでもなく、課題はレジストを完全に除去することだが、同時に、剥離後の欠陥をスペック内に収め、膜および構造にダメージを与えないようにすることだ」とScranton氏は語る。

 オーストリーSEZ社の先端技術担当バイスプレジデントLeo Archer氏は次のように語る。「除去が非常に難しいものに高ドーズ注入するためには、相当な積極策を採る必要がある。ドライ剥離それ自体は基板損失や他の問題から最適な解答でないことは分かっている。これらのレジストを除去するためには非常に侵攻性の高いウェット洗浄が必要である。Wの酸化剤への親和性、特に過酸化物などとの親和性が気がかりであり、選択性が最大の課題になる。高ドーズ注入レジストでは長時間の露光が必要だが、それをやってしまうと、Wへより大きなダメージを及ぼす危険が高くなる」。


図3 イオン注入後のフォトレジスト剥離を完全ウェットプロセスで行う動機は材料とドーパント損失の低減にあり、これは従来のアッシングとウェット洗浄による手法と同じである
(出典:米FSI International社)

 Scranton氏は、高ドーズ注入レジストのウェット剥離には一連の新たな問題があると言う。「高ドーズ注入レジスト剥離の重要な問題は、レジスト除去ウェット装置の処理温度である。FEOL溶剤の使用は別として、薬液は高温度の硫黄系のものになる。使用されているウェット装置の多くは160℃程度の非常に高温で処理している。これによって信頼性と汚染に関連した深刻な問題が引き起こされるだろう」。さらに、米Semitool社にはこれらの問題の解決策があると付け加えた。しかし、全プロセスをすべてのレベルで効果的に機能させるためには、材料や、リソグラフィへの要求、レジスト除去をうまく処理するためにレジスト/リソグラフィ・プロセスを“チューニング”する必要があるという。「超高温の硫酸塩溶剤は、95%は役割を果たすだろうが、問題がないわけではない。残りの5%を最適化する必要がある。最終的には低温の溶剤が浮上すると思う」と述べている。


製造工程における配線工程BEOLの課題:
Low-k絶縁膜
 製造工程における配線工程BEOLでは、Cuの洗浄は制御可能と考えられるので、主な課題は多孔質Low-k絶縁膜の洗浄である。「キャッピング層およびメタルハードマスク、空孔形成用のポロジェン(Porogen)の除去では、さまざまな多くの事態が起こるので、洗浄プロセスがどのくらい困難な課題になるかを本当に理解する前に整理する必要がある」とButterbaugh氏は言う。

 「Low-k材料の場合、問題は差し迫っている」とScranton氏は語る。「Low-k材料およびすべてのCu配線プロセス工程では、32nmおよび22nmノードへの移行で難しい問題が生じるだろう。多孔質Low-k材料が使用されるだろうし、Ultra Low-k材料はウェット処理で新たな問題をもたらす。ここで上流での処理が洗浄の有効性に大きく影響し、また、洗浄後の処理が下流の処理工程での膜の安定性確保のために必須であることが分かるだろう」。

 究極の課題は、積層の実効誘電率(keff)を低く保つことである。「Low-k絶縁膜を薬液にさらす場合、問題はより複雑になる。エッチングとアッシングの条件によって大きく影響を受けるからである。特定のウェット薬液にLow-k絶縁膜をさらせば、特定の物質、多くの場合フッ化物がLow-k絶縁膜にダメージを与え、Low-k絶縁膜の構造が変化し、結果として実効誘電率(keff)の値を上昇させる」。

エネルギーの大きい新しい薬液
 半導体業界は比較的保守的で、広く認められた従来の技術を継続的に推し進める傾向がある。ウェット洗浄薬液もその例で、1960年代に最初に開発されたRCA系の伝統的な2ステップのウェット洗浄薬液が今も主力商品として生き続けている。

 RCA系洗浄が使い続けられてきた主な理由は、希釈薬液を使うことが多くなっていることにある。「RCA系薬液は、その薬液にさらされる材料との相互関係がすでに安定したレベルで確立している。完全に異なる手法が必要な技術が確立するまで、これらの薬液は使われ続けるだろう」とBarnett氏は述べる。

 「RCA洗浄の伝統的なSC1の組成は1:2:5で、アンモニア1に対して過酸化物2、水5の割合である。我々は1:2:50や1:2:80なども念頭に入れている。希釈率がどれだけ上がっているか分かるだろう。多くの人々は、適切なハードウェア・ソリューションと適切なシステム手法で計算し、より希釈率の高い薬液を使用できたし、これからもそうしたがる」と米Applied Materials社(AMAT)ウェットクリーンズグループのCMO Konstantin Smekalin氏は語る。

 希釈の利点は何だろうか。薬液が少なければリンス工程が容易であり、簡単にプロセスを終えることができる。コスト低減も図れる。環境への影響も少なくてすむ。薬液を再循環させる代わりに、新しい薬液を使用するシングルパスも可能である。ウェットベンチのような同一の洗浄槽で異なる薬液ステップを簡単にインテグレーションすることもできる。

 「薬液の希釈率を上げ、可能な場合には全薬液量を減らそうとする傾向にある」とButterbaugh氏は述べる。「ただ導入に非常に時間がかかっている。我々は研究室でさらに希釈率の高い薬液を開発し続けるとともに、希釈薬液による手法が有効であることを示すために研究室の基準を使用し続ける。この希釈薬液による手法は、現場で、少ない材料からより多くの新鮮な薬液を処方することできる。ただそれを製造へ移行するだけのことなのだが、これらのいくつかの新技術の製造環境への導入に対して、まだ非常に保守的である」。

 しかし、RCA系の洗浄が本流からはずれ始めたときには、新しい技術がほぼ確実に必要になる。「我々はRCA洗浄の改良型を使用しているが、ここ数年、RCA洗浄から遠ざかりつつある」とScranton氏は言う。「我々の枚葉式ウェーハ洗浄では、独自に開発した希釈を使用している。これは、従来のRCA洗浄よりも非常に少ない量の薬液と水で、はるかに効率的な洗浄が可能なオゾン化薬液である。RCA洗浄を枚葉式ウェーハ処理装置で機能させようとする試みや、IDM(垂直統合型メーカー)で求められる生産性やコストパフォーマンスは現実的ではない。肝心な点は、対象物の洗浄を達成するためにウェーハにかけるエネルギーを得ることであって、RCA洗浄を機能させる方法ではない。いずれRCA洗浄は機能しなくなる」。

 RCA洗浄に取って替わる手法のなかには、薬液の混合の変更もあるし、溶剤も含まれる。「水酸化アンモニウムと過酸化物の比を変更すれば、この薬液を新規の材料の洗浄にまだ使用できると思う。さらに、新規材料の登場で、従来BEOLで使用していた薬液をFEOL洗浄に試している人もいる」とAMATウェット洗浄グループのテクノロジーマネージャRao Yalamanchili氏は述べる。

 米Air Products社の処方製品マネージャMike Legenza氏は、言う。「新しい種類の洗浄薬液と、最先端のFEOL(ゲートおよび電極)材料やBEOL(多孔質Low-k)との親和性が材料メーカーにとって鍵となる課題だ。機能的に条件を満たし、法規制を遵守していることはもちろんである。例外なく、コストと質、歩留まりも薬液メーカーを後押しする」。

 RCA洗浄の2つの構成材料であるSC1とSC2のなかで、SC2は消えていくだろう。「SC2についてはなくせることが分かっている。希釈HC1を最終的なリンス工程に使用するだけで十分な効果がある」とButterbaugh氏は語る。「パターンの問題がなければ、メガソニック技術を伴ったSC1洗浄が、基本的な洗浄プロセスの大部分をさらに占め続ける」。

 従来からのBEOL薬液には “溶剤(Solvent)”という一般的な分類に入るものがある。レジスト剥離に使用される一般的な溶剤、例えばN-メチルプロリドン(NMP)などである。「溶剤への関心は実際に高まっている」とMertens氏は言う。「溶剤は、FEOLではイオン注入フォトレジストのアッシングなしの剥離において基板の損失を少なくし、またBEOLではLow-k絶縁膜のエッチング後にアッシングなしの剥離を行なうために使用される」。

 溶剤の弱点は、一般的に価格が高く、廃棄が難しく、化学的に有害な場合があることである。薬液メーカーの多くは、独自開発の、時には複雑な混合薬液でも知られている。結局、IDMは、溶剤の供給を十分にコントロールすることはできず、ジェネリックの、より入手しやすい溶剤を好む傾向にあると考えられる。この問題は薬液のリサイクルにも発展する。「溶剤のリサイクルは期待されており、それには、単純な処方、できれば1つの構成材料で機能するプロセスを確立することに焦点を絞る必要がある。これによってこれらの薬液のリサイクルがずっと簡単に安くできるようになる」とMertens氏は語る。

 「この業界はもはやカウボーイのような科学者集団ではない」とSmekalin氏は言う。「一般に、現在の工場環境の保守主義によって、我々の顧客でさえも薬液を懐疑的な目で見るようになっている。彼らは薬液には思いがけない副作用を工程に及ぼす可能性があると考えている。薬液を、例えば無機物から有機物に、あるいは逆に有機物から無機物にがらりと変えた場合、そのすべての影響の予測は難しい。これがRCA洗浄にこんなに長い間固執している理由だ。RCA洗浄は、副次的な作用を引き起こさないと皆が分かっている有名で害のない構成材料だからだ。洗浄用の非化学的な手法をできるだけ多く改良して再び使用したいと考えている顧客もほんの少しはいるようだ。彼らはメガソニック洗浄に期待している。これらの物理的な手法はプラス面とマイナス面が直接目に見え、すぐに評価ができる点が好ましく思われるようだ」。

 Yalamanchili氏は、AMATがメガソニック技術と非メガソニック技術の両方を開発中であると言う。「どちらの場合も、パーティクルと残留物のどちらの洗浄にも物理的エネルギーを適用する予定だ」。

 Scranton氏は、Semitoolのメガソニック技術はデリケートなFEOL構造にダメージを与えることなくパーティクルをかなり高効率で除去できたと語る。「この技術によって少なくとも32nmノードまでメガソニック洗浄を使用できると考える」。

 Archer氏は問いかける。「欠陥の除去のためにさらにほんの少し強く、しかもダメージを起こさない程度の力が得られるようなウェーハ洗浄向けの機械的エネルギーはあるだろうか」。メガソニックへの関心が高まるなかで、同氏は機械的なスプレー型ノズルもこれから増え、開発されるようになると言う。「今我々が用意しているのはアクティブジェットで、機械的かくはんを行い、ダメージのレベルは下がっている」。

スペックの目標
 アプリケーションを問わず、洗浄での最も大きな課題は欠陥に関する問題である。ますます小さくなる欠陥を検出するための計測ツールが必要であるばかりでなく、ある大きさの欠陥が歩留まりや電気的性能に実際どのような影響を与えるかを理解する必要がある。「拡散前および成膜前の洗浄において、CDの1/2の最新技術でパーティクル検出は非常に難しく、これが洗浄の有効性の評価をとても難しくしている。小パーティクルが回路性能に与える電気的影響についての実験データはほとんど公表されていない」(Barnett氏)。「まさにこの理由で、国際半導体技術ロードマップ(ITRS: International Technology Roadmap for Semiconductors)のワーキンググループ(Surface Prep Sub-Technical Working Group)は将来のこれらの数値の決定に苦労している。主として、より厚いHigh-k材料の導入でパーティクルの影響を最小限に留められるという理由から、微量金属の数値はそのまま据え置かれた」。

 Butterbaugh氏は次のように付け加える。「我々は基準値についての課題を基本的にもっと詳細に検討している。そして、それらが製造ラインで今進行中のこととちゃんと相関するかどうか見ている。成熟した窒化ケイ素パーティクルの課題でプロセスを比較しようとした人はいた。この比較が、我々がプロセス比較のために仮定したのと同じくらい現実に有効だっただろうか。あるいは、製造中のウェーハ上で実際に起きていることを我々はもっと詳細に調べなければならないのだろうか」。

 Mertens氏によれば、クリティカル寸法以上のパーティクルはすべて相殺されるという。「現在、経験則からパーティクルのクリティカル直径をノード寸法の1/2と定義している。私の認識では、これは今もなお非常に良いガイドラインだ。やっかいなのは、通常、量産工場での測定やモニタリングに立ち遅れがある点である。これは暗に、クリティカル直径より少し大きいサイズの小パーティクル数と、検査しきい値より大きいサイズのパーティクル数について、ある程度再現性のある相互関係を信頼していることを意味する。しかし、一般的に、パーティクル・サイズの自然な分布を仮定すれば、多くの場合にはこれが通用するが、分布が非常に乱れている状況もあり得る。例えば、所定のサイズより大きなパーティクルを高い割合ですべて取り除くパーティクル・フィルタを使用していたとすれば、それより小さなパーティクルは高い透過率ですり抜けていることになる。また、パーティクル・サイズの分布がある程度狭いと想定できるのはCMP(Chemical Mechanical Planarization)後洗浄である。であるから、一般に、これは非常に危険な戦略である」。

 「ちょうど今、我々は60nmのパーティクル仕様で処理を行っており、将来はそれが40nmまで小さくなる」とScranton氏は付け加える。「我々が供給を頼まれている60nmでのパーティクル密度は300mmウェーハでは平均0.04パーティクル/cm2程度である。このサイズやそれ以下のサイズのパーティクルになると、難しい問題に直面する。すなわち、“これらのパーティクルはそもそも何なのか”という問題である。これらのパーティクルは空気中に浮遊するウィルスよりも小さく、従来には考えられなかったような原因で生じることもあり得る。さらに、これらの‘欠陥’を検出するための測定装置の信頼性には、考慮すべき点が多く残されている。そして40nmやそれ未満の大きさになると、パーティクルの探索は新たな世界に入るだろう。このような大きさのパーティクルは力学的に120nmのものとは既に大きく異なる」。

 金属では、そのスペックは全金属を平均して5×109~1×1010原子/cm2である。「パーティクルの場合と同様に、金属スペックがより低いレベルになることで、プロセス、装置設計においてまったく新しい手法が生み出される」とScranton氏は述べる。「これは重要である。許容限界を下げ始めるときに、金属が見つかるというのは驚くべきことだ」。

マスクの洗浄およびフォトレジスト除去の課題

図1 65nmノードのバイナリーマスクによるパターニングについての典型的な洗浄データ。ニュートラルな欠陥および増加量とダメージのない洗浄を示している

図2 繰り返し洗浄におけるCrの点欠陥の反射率の変化 1回の洗浄ごとに約0.2%反射率が増加したが、これは顧客の要求スペック範囲内の良い結果である

James S. Papanu
米Applied Materials社
www.appliedmaterials.com

 フォトマスクの洗浄は65nm以下のノード技術ではより重要なりつつあり、新しい手法や技術が必要になる。従来のウェット洗浄プロセスには、硫酸と過酸化水素の混合液と、それに続く水酸化アンモニウムと過酸化水素水の混合液(APM)による化学処理シーケンスが含まれる。しかし、洗浄後に残った硫黄残留物によるペリクル未満の欠陥や、光子を誘引とするダメージはArF(193nm)世代のフォトマスクについての主要課題である。さらに、再加工のフォトレジスト除去や、エッチング後の剥離/洗浄にも同様のプロセス工程が必要であり、結果として同様の課題が生じる。

 我々は顧客と共同でサルファ(硫黄)フリーのウェット洗浄レジスト除去プロセスを開発した。このプロセスはアンモニアと、ガスを再注入した脱イオン化(DI: deionized)薬液に基づいている。サルファフリーのプロセスでは、まだ、中性のパーティクル増加量(Adder)や、高効率のパーティクル除去、有機汚染と残留物の完全除去が必要であるとともに、Cr反射防止膜(ARC: Antireflective Coating)の反射率や減衰レイヤでの位相シフト等、光学的特性変化を最小限に留め、繊細なアシスト特性への物理的ダメージをなくす必要がある。

 O3/DI有機除去やAPM洗浄シーケンス、さらにはオプションのH2/DI洗浄やCO2/DIリンスについての装置やプロセス最適化では、顧客の性能要求を満たすようになってきている。図1は、65nmノードのバイナリーマスクによるパターニングについての洗浄データを示しており、ダメージのない高性能が得られた。図2は、繰り返し洗浄におけるCrの点欠陥における反射率の変化を示している。反射率は1回の洗浄ごとに約0.2%増加し、光学的特性は顧客の要求範囲以内に保たれた。さらに、ドライプロセスとウェットプロセスの組合せも開発中である。酸化によるドライ式剥離により、フォトレジストのバルク層が容易に除去できる一方で、クロム反射防止膜ARCへの許容できないダメージが特に高温で見られる。したがって、ドライプロセスは減っていくものと考えられる。

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