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変化し続けるTSMCのビジネスモデル

[2007年06月号]

By 服部 毅
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 米Texas Instruments社(TI)が、次世代CMOSプロセス開発から撤退し、台湾TSMC社などのファウンドリに開発・生産を委託することを決めたというニュース(2007年1月末)は、産官学関係者に衝撃を与えた。その2週間後、国内でも、ソニーが45nm以降のCMOSプロセス技術の開発と量産をファウンドリに外部委託する方針を打ち出した。同社は、東芝・NECとの共同開発からも離脱した。オランダのNXP Semiconductors社も、CMOSプロセスを共同開発していたCrolles2 Allianceから脱退する一方でTSMCとの開発・製造連携を強化するという。まさに、雪崩を打ってファウンドリへの開発・生産委託が始まりつつある。

 この動きに呼応するかのように、TSMCは、45nm論理LSIの量産を他社に先駆けて今年9月に開始すると発表した。TSMCはプロセス開発では周回遅れのランナーと思われていたが、いつの間にやら世界トップ集団に入り、そして先頭に立った。


表1 2006年上期世界半導体トップ10ランキング
(参考文献2による)

 

表2 2006年通期世界半導体トップ10ランキング
出典:IC Insights社(2007年 3月公表)

 TSMCのようなファウンドリは、売上高のダブルカウントをさけるために、今まで世界半導体メーカーランキングには登場しなかった。そのため、TSMCの生産規模は過小評価されがちだった。最近は、あえてTSMCを加える試みも始まっている(表1、表2)。これによると、TSMCは5位前後に位置するが、順位上昇はもはや時間の問題であろう。

 TSMC躍進の秘密は一体何であろうか。それは半導体産業のすさまじい競争と早急な技術革新に遅れをとらぬように、ビジネスモデルを過去20年に渡り繰り替えし変化させてきたことだ1)。TSMCでは、ビジネスモデルの革新が過去に3段階にわたり計10回行われた。第1段階(1987年~1997年)では、純粋なファウンドリとして、コストダウンと歩留まり向上に力を入れた。この間、ビジネスモデルが技術を押し上げた。第2段階(1997年~2001年)は製造サービスと付加価値の時代で、今度は、技術革新がビジネスモデルを牽引した。第3段階(2001年~2005年)は、企業間協業の時代で、超微細化やSoCに対応するため、サードパーティーやデザインハウスとの協業を通じて顧客にサービスやソリューションを提供するようになった。当事者であるChang TSMC会長自身も「ファウンドリ・ビジネスは、従来のような設計・製造分業モデルから、設計・製造協業モデルへと大きく変化している」点を先のISSCCで強調していた2)。今後も技術革新とビジネスモデル革新が互いに刺激しあい、さらに変化の頻度を増して成長速度を高めるだろう。世界トップクラスの顧客に加えて、半導体装置・材料メーカー、IPコアやEDAベンダーなどの結集で正のスパイラルが生じ、TSMCの競争力は更に高まろう。

 しかるに、日本では、プロセス技術で差別化を図ろうと半導体メーカーばかりでなく業界コンソーシアムや国家プロジェクトまでが動いている。 SoC時代といわれて久しいが、時代にふさわしいビジネスモデルの再構築が必要ではなかろうか。

参考文献
1.Y.Su and .Huang:Business Model Innovation with Effective Innovation,ISSM2006 Proceedings, pp.483-486

2.服部毅:ISSCC2007に見る日本の凋落
Semicon-ductor International Japan 2007年4月号 p.56



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