Editorial

協働と教育、そしていつも精神論で終わってしまう

[2007年07月号]

By 日本版 編集長 高橋 潤
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 国内の半導体業界では、「選択と集中」や「再編」という言葉が使い古されてしまっているかのようだ。しかし、業界の議論に耳をすましてみると結論は前述の言葉に帰結し、さらには突き詰めて考えると、それはメーカー間の協働や人材教育の重要性、ヒューマンリソースを守ること、育てることになる。

 ソニーの元会長兼CEOであった出井伸之氏が設立したクオンタムリープなどの主催で、6月6~7日に福岡市で「Asia Innovation Initiative(AII)」が開催された。同フォーラムでは、多くの興味深いお話を聞くことができたのだが、その中から一部ではあるが紹介したい。

 壇上には、エルピーダメモリ最高技術責任者である安達隆郎氏の他、韓国Samsung Semiconductor社Won-Seong Lee氏、伊仏合弁STMicroelectronics社Marco Cassis氏、米IBM社Ronald Soicher氏らが上がった。テーマは、「半導体産業のロードマップ」。安達氏は、メモリー市場を例にとり「メモリー市場では300mm工場をフルに活用しているメーカー、すなわち投資できているところが今後も強くなる」と語った。エルピーダメモリ以降では、さらなるメモリーメーカーの統合はないであろうと予測する。理由は実体験に基づくもの。エルピーダメモリ誕生の際にも、先端プロセスの統合を行うだけでも2~3年を費やした。これからその年月を費やしての統合は時代には合わない、遅すぎるのだという。

 参加していた東京エレクトロン会長東哲郎氏はパネリストにたずねた、「メモリーはプロセス技術ではなく投資できるだけの体力と大量生産のできる拡張性ということになる。では、以前DRAMやロジックが牽引していた技術的なリーダーシップは今後だれがとることになるのか」と。技術的なリーダーシップについては、さまざまな意見がでた。シンプルに「Intel」と答えたパネリストもいた。個別の技術でいえば、液浸リソグラフィ技術はNAND型フラッシュメモリーメーカーが、トランジスタ形成技術やCu配線技術ではロジックメーカーが、低コストの製造技術では台湾ファウンドリが牽引しているのだという。やはり技術を牽引できるのは、大型投資ができるIntel一強であるともいえそうだ。一方で、IBMはアプリケーションに引っ張られる形で開発を進めているという。IBMはIntelほどのキャパシティは有していないがAlbany NanoTechを筆頭にコンソーシアムの活用やCommon Platformに見られる半導体メーカー同士のパートナーシップ、協働により開発を積極的に継続できる土台を構築した。

 日本のロジックメーカーは一体どこに向かうのであろうか。台湾のファウンドリと米国のファブレスが登場してから、日本は斬新なアプリケーションを見つけられずにいる。日本からでたベンチャー企業の数はその他の国々に比べれば極めて少ない。これに対してアイティーファーム取締役 向林隆氏は、過去日本の半導体メーカーは先端技術を率先して導入する“Early Adopter”であり、ハイエンド製品の領域では今でもその傾向にあるという。しかし、純粋なスタートアップの登場に期待するのはほとんど無理なことだと述べた。人材が確保できない、技術指導を受けることができない、試作を小規模から安価でできるファウンドリがない、金融機関がベンチャーのサポートをしない、などの理由が挙げられるという。日本の半導体産業が「育成」の重要性を認識するのはいつごろなのだろうか、読者のご意見を聞きたい。

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