Editorial

経済学者が語る半導体産業の成長性

[2007年07月号]

By 日本版 編集顧問 津田建二
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 シリコン半導体産業はどこまでも成長が止まらないことを、4月11日にSemiconductor International日本版主催の第2回半導体エグゼクティブフォーラムで述べた。このことについて詳細を聞きたいという問い合わせを受け、シリコン半導体ビジネスの将来について東京大学ものづくり経営研究センター(www.ut-mmrc.jp)の小川紘一特任研究員研究リーダー、立本博文COE特任助手とディスカッションさせていただいた。モデレートされたルネサス テクノロジ経営企画統括部エグゼクティブの穴見健治氏も同席した。

 来社された研究者の方は、日本のものづくりを強くするための視点から、半導体産業の大切さを指摘された。経済学者の視点から言えることは、これからも電子機器の心臓を握るモノは、半導体デバイスだと結論付けている。同時に、チップやソフトウェアというモジュールを統合したプラットフォームが必要だと主張する。

 その例として米Intel社のマイクロプロセッサを取り上げ、部品レベルに過ぎなかった「4004」や「8080」などから、システムアーキテクチャを取り込みソフトウェアとの相互作用によってプラットフォーム化を図ることのできた「8086」レベルに引き上げることに成功した結果、膨大な市場シェアと利益を生むことになったと、説明する。同様に、三洋電機が光ピックアップ事業で世界市場トップに君臨できたのも、そのピックアップの出力信号を処理する半導体チップのメーカー(台湾MediaTek社)とのコラボレーションによってプラットフォームができたからこそだとしている。つまり、半導体チップというモジュールを使い、ソフトウェアや光ピックアップのモジュールと合わせてプラットフォーム化を図ったことで、アジアや中国でも組み立てられる電子製品に応用できた。この結果、膨大な数の電子製品が生産され、大きな市場シェアを握ることができた。

 半導体産業の真っ只中にいればかえって半導体産業の成長性、重要性などがわからないのかもしれない。これまで、いろいろな半導体アナリストや評論家のような人たちが半導体ビジネスはもう終わりだというようなことを言っている中で、私のように半導体ビジネスはこれからも成長し続けまだ当分、終わりは見えない、という人間は珍しいといわれた。

 もし半導体産業はもうおしまいと言われる方がいたらこう聞きたい、ではバイオチップはいつ、いくらの市場が立ち上がるのか、ナノテク市場はどのように定義して市場規模を見積もり、その時代はいつ来るのか、と。そういった産業がいつ半導体産業の規模を超えるのか、5年先か10年先か、20年先か。このタイムスパンをしっかりと見積もることができなければ、その市場は途中でポシャってしまうことだって十分にありうる。

 GaAsがSiに負けた事情がこれに似ている。ここ数年の不揮発性RAMの研究も似ている。DRAMの高集積化がまもなく限界にきて次はFeRAM(強誘電体メモリー)か、PCRAM(カルコゲナイド系材料を用いた光メモリー)、あるいはMRAM(磁性体を利用したメモリー)か、などと一時騒がれた。しかし結局は、FeRAMもMRAMもDRAMよりも高集積化しにくいことがわかった。残るPCRAMは本当にポストDRAMになるかまだ結論は出ない。

 正確なタイムスパンの見通しがなければバイオもナノテクも産業的には意味のない研究分野になってしまう。それよりももっと基本に立ち返って半導体産業をさらに成功させるために何が必要か、今後の有力なデバイスはどのようなアーキテクチャを組み込むべきか、を議論する必要がある。

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