代替ゲートと完全シリサイド化(FUSI:Fully Silicided)ゲートという他の2つの方法では、ゲートはプロセス工程の最後に置かれる。両方法ともS/Dのシリサイド化までは極めて普通のプロセスシーケンスをたどる。FUSIでは、S/Dのシリサイド化はゲートのFUSIプロセスとは別に行われる。ゲートパターニングに続き、ハードマスクを残しS/Dとゲートを覆う。FUSIモジュールはS/Dシリサイド化とコンタクト形成の間に入り、ゲートのみを開くため、酸化膜成膜、CMP、反応性イオンエッチング(RIE)から成る。その後、NiがPoly-Si上に成膜され完全シリサイド化までアニーリングされる。
代替ゲートは3つの選択肢の中で最も高価で複雑な方法だ。段差があり、2種類メタルのゲートファーストプロセスの順序が複雑である。FUSI同様、金属化の前に標準的フローを行うので、メタルがフロントエンドの熱プロセスに暴露されない。しかし、S/Dシリサイド化の後は異なったプロセスとなる。Polyとオキシナイトライド(酸化された窒化膜)が、極小の開口部を通してメタル電極に置き換わるのだ。ゲートメタルは成膜され、CMPで平坦化される。S/Dのシリサイド化は3つすべての方法で行われ、FUSIではもう1つゲートシリサイド化プロセスが追加される。
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シリサイド技術が
次世代トランジスタ形成の
カギとなる
[2007年08月号]
Poly-Si膜/Siゲート酸化膜の時代が40数年続いた後、半導体業界は難解なHigh-k/メタルゲート積層構造へと移行しつつある。我々は今、一つの時代の終わりを目の当たりにしているのだ。
図1 IMECの32nm以降CMOS研究プラットフォームで処理されたウェーハを持つ研究者
(出典:IMEC)
最新のゲート積層技術の最も適したものとして登場したシリサイド材料はNiSiである。当初は埋め込みSiGeソース/ドレイン(S/D)ストレッサに対する互換性という理由から90nmで導入され、次第に65nmプロセスでS/Dとゲートコンタクト部に使われるようになった。NiSiの抵抗率は製造ラインで以前使用されていたCoSi2とTiSi2のそれより若干低い。さらに、NiSiは低温で形成し、線幅が細くなっても抵抗率は変化せず、シリサイド化中はSiの消費量が低い。この最後の長所は、接合部が浅くなるにつれ重要性を増す。量産でのNiSiの問題点は、プロセス温度における熱安定性が悪いことや拡散性が高いことなどである。
High-k/メタルゲート法
図2 3つのHigh-k/メタルゲート方法の断面図:MIPS、代替ゲート、FUSI
目標
メタルゲートは大きな問題を解決するが、適切な材料を探すこと自体が大きな問題となる。つまるところすべては仕事関数がカギになるのだ。
仕事関数
適切な仕事関数を有する材料を探すのが困難なのは、有効仕事関数が材料の加工により変化するからだ。材料の仕事関数は、どんな熱処理、酸化膜成膜、電荷、電気的双極子によっても変化する。どの材料が必要なプロセス工程の最後に適切な仕事関数を持つかを予想するのは難しい。各材料がプロセスフローの残りの工程に存在する他の材料とどのような相互作用をするのかを理解するため、徹底的な検証が必要である。もしNMOSとPMOS材料が必要な場合、Vtに影響を与えかねず、そうなるとデバイス性能にも影響がでるので、問題は大きくなる。
MIPS
製造プロセスは、最終製品に直結する。製品が失敗作ならプロセスが失敗しているということである。単にプロセスの観点からいうと、2つの異なるメタル膜の必要性が明らかになるまであったが、MIPSはシンプルな方法のように見えた。さらに、真の問題はゲートをパターニングした後に起こる。ゲートは、成膜とS/Dアニールから配線プロセスまで複数の熱処理ステップにさらされ、よって材料の特性(すべての有効仕事関数のほとんど)が変化する。これは大きな課題だ。他2つのHigh-k/メタルゲート方法は問題は少なそうにもみえるが、それぞれ独自の課題に直面している。
FUSI
最先端ゲートに関する決定はまだ行われていないが、米Texas Instruments社(TI)はFUSIの簡潔さに興味を抱いている。「他のメタルゲート方法に比べ、FUSIはシンプルで、プロセス工程数は約1/2で済む」と同社の45nmプロセスエンジニア技術部門マネージャーJudy Shaw氏は述べる。モジュール性もまた長所の一つである。FUSIは他のプロセス工程に影響を与えずフローに導入することができる。これにより、ゲートエッチングのような高コストで多大な時間を要する、クリティカルなFEOLステップの新たな最適化が不要となる。典型的なプロセスフローを図3に示す。モジュール性により、High-k絶縁膜とオキシナイトライド絶縁膜の両方でFUSIを実行する柔軟性がうまれ、高性能デバイス向けの例えばSiGeデュアルストレス・エッチストップライナーとストレスメモライゼーション膜など性能向上技術と高い互換性を持つこととなる。
図3 典型的なゲートラストのFUSIフロー。その後、従来のプロセス工程が続く
モジュール性は別にして、FUSIはプロセスウィンドウが狭いという製造の問題に直面している。FUSIを製造可能なものとするには、欠陥、サーマルバジェット、グレイン構造を制御するため、最新のプロセスコントロールとインラインモニタリングが必要である。NiはPoly-Si材料に容易に反応する圧倒的な拡散種である、という事実にすべては関連している。例えば、シリサイド化プロセスがゲート絶縁膜でうまく停止しないとき逸脱の問題が起きうる。この問題を最小化するには、メタル成膜前後とアニーリングが行われるときのパーティクルの発生と余分なメタルを取り除くための表面処理が必要だ。
Poly-Siのグレイン構造は成膜中に制御される。温度、気体流量、圧力の調整によりCVD (Chemical Vapor Deposition) 反応を制御し、従って成長するPolyのグレイン構造も制御される。完全シリサイド化のとき、結果として得られる膜の構造はメタル膜厚次第だ。表面処理をするとメタルが適切な膜厚に成膜されることにつながる。最後に、最終的に最適な仕事関数を得るにはNi/Si比が適切でなければならない。
高性能FUSI?
FUSIは目標とするしきい値電圧でデバイスを達成する実行性を実証した。その理由の一部として、NiSiゲートメタルが現在のHigh-k材料であるHfSiONと互換性を持つことが挙げられる。周りにはあらゆる熱的問題がある中で、NiSiは適切な仕事関数をもたらす。しかし、高性能デバイスに必要な高い駆動電流を提供する十分低いVtがFUSIで実現できるのかという疑問は残る。しかし、TIは楽観的で、FUSIにより高性能デバイスが実現できると信じている。
高性能アプリケーションにとって最大の課題は、NMOSとPMOSの両方に必要な仕事関数を同時に満たすことだ。高性能に必要な、十分低く短チャネルに対応するしきい値電圧を持つには、NMOSとPMOSでは大きく異なる仕事関数の金属が必要で、それぞれ<4.2と>5eVが必要だ。TIの45nmデバイス・プロセス・インテグレーション部門マネージャScott Johnson氏は「必要なしきい値と互換性のある仕事関数が実証された」と述べた。TIはPoly-Siゲートのベースラインプロセスに関し、社内でCMOSフローを作成し、FUSIトランジスタ上の電流駆動能力を向上させた(図4)。実証された仕事関数は目標Vtと互換性があった。しかし、このどれもが実現される前に、NMOSとPMOSゲートのシリサイド化を同時に最適化するため、FUSIフローの主要課題にまず対処しなければならない。
図4 45nm高性能技術CMOSフローで処理されたNMOSトランジスタの、完全シリサイド化Poly-Siゲート膜(190nmピッチ)の断面図
NiSiアニーリング
NiSiのアニーリングは通常2ステップのプロセスである。最初は低温の高速熱処理工程(RTP1)でメタルリッチ相のNi2Siを形成する。ウェット剥離では未反応メタルを表面から取り除く。2つ目のRTPアニールでは低抵抗シリサイドであるモノシリサイドNiSiを形成する。過熱は過剰なシリサイド化を引き起こすかもしれない。それは過剰なゲート応力につながり、高抵抗率のNiSi2を形成し、コンタクト抵抗と形態変化を増加させる。逆に、シリサイド化の不足は、Vtに許容できないばらつきをもたらしたり歩留まりに影響を与えたりするかもしれない。
米Applied Materials社(AMAT)は、300℃以下のRTA(Rapid Thermal Anneal)に興味を示していた。例えば、NiSiのアニーリングに位相差をプラスするのだ。アニールはFUSIシリサイド化に現在使われており、低温ソークがその後に続く。これによって、絶縁膜上のNiが余分なシリサイド膜を形成するため拡散するのを防ごうと、未反応メタルは表面から取り除かれる。
ランプベースRTAに加え、スパイクRTAとレーザー技術が間もなく導入されるかもしれない。スパイクRTAはコンタクトアプリケーション用の実証が成功している。FUSIやその他の最新ゲート方法には適用されるだろうか?AMATフロントエンドプロセス部門CTO Gary Minor氏によると、「将来的にはミリ秒タイプのアニーリングがさまざまなアプリケーションで注目されている」という。
代替ゲート
代替ゲート技術においてカギとなる製造面での課題は、極小開口部(幅25nm以下)からオキシナイトライドを取り除き、代わりに、傷をつけないでHigh-k絶縁膜とメタル電極を配置することだ。一旦置き換えると、構造内のHigh-kとメタル層の成膜には、DRAMでより知られた技術である原子層蒸着(ALD:Atomic Layer Deposition)を使って形成された超薄膜が必要だ。ALDは前後の動きで原子層レベルの成膜ができ、各工程は自己制御性で、極めて均一な反応が起きる。
通常、成膜された層の数や複雑さは技術ノードに伴って増加する。65nmテクノロジーノードのゲート積層には酸化、プラズマ窒化物形成、サーマルアニール、Poly-Si成膜の4工程が含まれる。High-k絶縁膜が適切な組成と界面特徴を得るには、同じ原子層技術の多くが必要だ。High-k絶縁膜自体は4~6工程のプロセスになる予定で、脆弱な代替ゲート構造にまた他の課題をつきつけるかもしれない。
45nm以降は?
45nm以降の微細化は難しいものになるだろう。32nmでは、VtとEOTは微細化される必要がでてくるだろうし、それは可能と考えられている。さらに、システムは高歪み技術と互換性が必要だ。これは45nm要求では実証が成功したが、業界は32nmで歪みをもっと追加したくなるだろう。
FUSIは45nmの要求を満たすと期待されており、第一世代のHigh-k材料であるHfケイ酸塩(Hfシリケート)との互換性を示した。次世代材料との互換性を持つか否かは明らかではない。それでも、研究が進む中、FUSIのスケーラビリティに関する懸念には新たな光明が見えてくるかもしれない。
次世代High-k絶縁膜はHf濃度が高まる傾向になるだろう。そして、Hfの追加により達成可能な仕事関数に影響を及ぼす可能性が知られている。しかし、TIのJohnson氏は、「NiSiと他のシリサイド膜の仕事関数を制御する研究が急速に進んでいる」と言う。過去1年間の、NMOS とPMOS間の仕事関数の差を広げる能力は「非常に劇的」だったと同氏は述べる。次の2世代で仕事関数と制御能力がHfの影響を乗り越えられるかは今後の課題である。
代替ゲートは、High-kスケーリングとの互換性、サーマルバジェット、適切な材料を比較的容易に見つけられること、最適なVtを得られることなど、すべての長所を備えているように見える。しかし、その脆弱な構造は、性能向上のため45nm以降に必要な歪みの追加に耐えられるだろうか?複雑なインテグレーション方法とコストが足かせとならないだろうか?企業はその製品、製品マージン、収益、追加プロセスコスト、微細化をどこまで続けたいかをベースに決定を下すことになるだろう。
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