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Wafer Processing

エアギャップ:から騒ぎ

[2007年09月号]

By Peter Singer
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 「空気の誘電率は論理的最小値k=1で究極のLow-k材料であり、それを考えるとエアギャップは配線研究者にとって夢のような材料である。しかし、それが夢になるのか悪夢になるのかは現実のアプリケーションにおける挙動と信頼性に掛かっている」。これはベルギーIMECのLudo Deferm氏の発言であり、エアギャップの現状を的確に捉えている。

 この2ヵ月、エアギャップは話題の中心だった。米IBM社がエアギャップ構造のチップ製作でブレークスルーを達成し、従来の技術に比べ、信号を35%高速化し、電力消費を15%節約できることを実証した。「エアギャップ」とは誤った呼び方のようだ。というのも、ギャップは実際には空気がなく真空だからだ。もちろん普通のエアには湿気が含まれており、周りのCu線に腐食や劣化を引き起こす可能性がある。


図 マイクロプロセッサ断面図にはチップ配線間に空きスペースが見える。これらの「エアギャップ」(実際はエアというより真空)により、キャパシタンスが減少し、よって信号速度が35%増加、消費電力は15%減少する
(出典:IBM)

 5月下旬に開かれたマイクロプロセッサ・フォーラムでの基調講演で、米Intel社のシニアフェロー兼プロセスアーキテクチャ・インテグレーション部門ディレクターMark Bohr氏は、エアギャップ技術を切り捨てた。「配線におけるコストと信頼性の問題は大変重要である。エアギャップがそれらを解決するとは思わない。我々は既存の絶縁膜のLow-k版を研究している。こちらの方がエアギャップ技術より将来性があると思う」と同氏は結論付けた。

 国際配線技術会議(IITC:Inter-national Interconnect Technology Conference)では、エアギャップ技術の賛否が議論の中心だった。IBMフェローでエアギャップ・プロジェクトの主任研究員であるDan Edelstein氏は、Bohr氏の発言に反論し、エアギャップは最もクリティカルな層にのみ使用されるだろうからコストは予想するほど高額にはならない、と述べた。

 エアギャップを生産に移行させるというIBMの発表は、これまでに実証されたもの以上の大きな進歩を意味する。IBMによると、自己組織化プロセスはすでにニューヨーク州イーストフィッシュキルにある同社の最新鋭製造ラインと統合されており、2009年のチップ製造に使われる予定の同社の製造ラインに完全統合される見込みだ。

 IBMは「自己組織化」を、貝殻、雪の結晶片、歯のエナメル質を作り出す自然のパターン形成プロセスになぞらえる。ギャップを形成するために必要なナノスケールパターニングを可能にするものだ。「自己組織化により大量のポリマーを合成し、歩留まり向上が可能な既存の製造プロセスに統合する能力を世界で初めて証明した」とEdelstein氏は述べた。

 IBMが特許を取得したこのプロセスでは、300mmウェーハ全面に何兆個もの均一な20nmホールが形成される。一旦ホールが形成されると、ケイ酸化炭素ガラス(Carbon Silicate Glass)が取り除かれ、配線間が真空となる。IBMのバイスプレジデント兼システム・技術グループ主任技術者のBernie Meyerson氏は、同プロセスを以下のように説明した。「エアギャップは十分に機能する。小さなデモチップではなく、実際のマイクロプロセッサ製作にも使われてきた。面白いのは、リソグラフィ的に物事を定義づけしようとしていないこと。それはチップを作るのに最もコスト高で、想像しやすい方法だ。しかし、我々が行ったのは実のところナノテクノロジーに、あるいはもっと具体的に言えば自己組織化に基づいている。自己組織化はあまり理解されておらず、(Intelを含め)多くはこの分野の専門知識を持たない。自己組織化は材料分離に基づいている。我々が作ったポリマーを少し温めてみるとどうなるか?1つのポリマーが化学性質の異なる2つの材料に分離する。同ポリマーから分離する材料は、直径に約100個の原子を持つような均一性のある小塊を複数形成する。これら小塊は残った母組織と異なる化学的組成を有する。これらの小塊は互いに反発しあうので、完全に左右対称に配置することができる。小塊だけを選択的にエッチングして取り除くエッチング液を使用し完成する。



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