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名大プラズマナノ工学研究センターが
プラズマ技術の世界拠点に

[2007年10月号]

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(財)北九州産業学術推進機構
半導体技術センター 応用技術部
担当部長 吉村 克信

 半導体の製造にプラズマプロセスは欠かせないものである。そのプラズマプロセスの安定化のために「ラジカルモニター装置」開発を行っている名古屋大学大学院工学研究科電子情報システム専攻の堀教授の研究室を訪問し、堀教授が副センター長として陣頭指揮を執られている名古屋大学工学研究科附属プラズマナノ工学研究センターを見学させて頂いた。

 半導体製造の70%以上でプラズマが使われているにもかかわらず、プラズマおよびプラズマと反応ガスによって生成され実際の反応に寄与するラジカルに関しては、未だに挙動のメカニズムが解明されておらず、半導体製造におけるバラツキの大きな原因となっている。「半導体産業=バラツキをマネージメントする産業」であり、製造バラツキが歩留、品質、コスト、TAT等あらゆる面に影響を与える。したがって、インラインモニターリングのコンセプトである実際反応に寄与しているラジカルの状態をモニターして、装置パラメータなどにフィードバックをかけて、安定した半導体製造を行うことは必須事項だ。また、最近話題になっている「Design For Manufacturing(DFM)」は、『製造を意識した設計を行って製造をより容易にする』という意味であるが、製造そのものが、それなりに安定していないと、「製造のための設計」は不可能であり、「安定製造のためのインラインモニターリング」と「DFM」は車の両輪として同時に進行させないと無意味なものになってしまうと考えられる。また、名古屋大学では、より効果的なインラインモニターリングを行うために、ラジカルモニター装置だけでなく、必要に応じてXPS、AFM、STM、FTIRなどを装置に装着してIn-situモニタリングを行う試みもなされており、「徹底したインラインモニターとその自律型制御を目指す」という方針が明確になった点は「すばらしい」の一言につきる。



 ここで、名古屋大学、堀研究室で開発されている装置には、電子ビーム励起プラズマ装置(薄膜堆積用のプラズマ装置)、ダメージフリーの二周波励起平行平板型プラズマエッチング装置、表面波励起低温プラズマ酸化装置、自律型ラジカル注入プラズマプロセス装置、ラジカル制御(注入)型プラズマCVD装置、CO2超臨界薄膜および微粒子合成装置、プラズマを使ったSiナノ微粒子の合成装置、大気圧プラズマ装置など多数の最先端装置を有している。プラズマ研究装置は現在28台が稼動している。

また、堀教授は名古屋サイエンスパークに500m2先端技術連携リサーチセンター(名古屋工業研究所、デンソー、NUエコ・エンジニアリング、NUシステム、片桐エンジニアリング名古屋事業所が入居)を有しており、そこにおいてもプラズマに関する研究開発が行われている。なお、NUエコ・エンジニアリング、NUシステムは、堀教授の研究シーズを基にして設立した名古屋大学発のベンチャー企業だ。片桐エンジニアリングは川崎に位置するプラズマ装置開発メーカーであるが、名古屋に事業所を新設した。

 見学の後、堀教授をはじめ堀研究室の方々や堀研究室から生まれたベンチャー企業の方々を交えてディスカッションを行ったが、堀教授は、本地域の基盤産業である、㈰自動車、㈪セラミック、に加え新たにプラズマによる産業革新(㈫プラズマ産業)を起こして、本地域にプラズマの学と産の世界拠点を構築し、地域の活性化のみならず我が国の発展に寄与していきたいとのことで、北九州との広域連携も是非実現させたいと意欲をもっておられた。

 プラズマにフォーカスした研究拠点は世界中にいくつかあるが、1拠点としてこれだけの研究を行っているのは、名古屋大学のこのセンターが世界一ではないかと感じた。

 このように「一つのものに集中して徹底して研究開発を行う姿勢」は日本の企業や他の大学も学ぶ点が多いのではないかと思う。



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