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MEMS測定のための
高速で高精度な干渉顕微鏡

[2007年11月号]

幅広い分野で普及が進み、今後も市場拡大が見込まれるMEMSデバイス。しかし、既存技術の代替のためにはMEMSの信頼性を高めるとともに、それを証明することが必要となる。高速・高精度でMEMSデバイスを3次元測定することが可能な干渉顕微鏡の優位性について検証する。


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Erik Novak,
Shawn McDermed
米Veeco Instruments社
www.veeco.com

はじめに

 MEMSデバイスは、ここ数年間で、印刷、自動車、医療機器、携帯電話、ディスプレイ産業など幅広い分野で普及が進み、数多くの製品が販売された。このような商業的成功によって、MEMSの新たな応用研究が加速し、市場の要求に応える製品が引き続き生み出されるだろう。全体として、MEMS市場は2007年に76億ドル規模に成長すると予想されており、少なくとも今後5年間は2桁成長が見込まれている。

 さまざまな応用分野でMEMSが既存の技術に取って代わる上で大きな障害となっているものの一つは、MEMSデバイスの高信頼性を達成・証明することである。デバイスのコンピュータモデリングがますます高度化する中、デバイスの複雑さや厳しい精度要求から、特に家庭用電化製品のような要求の厳しい分野では、確実に性能を向上させるために、さまざまな条件下で高いレベルでのテストが必要である。ほとんどの製品分野において、MEMS技術の使用はそれが目標ではなく、むしろ低コストで高性能のソリューションだと証明されてはじめて魅力的になる。

 MEMSデバイスには、磨耗、特定の汚染物質による損傷、部品の融解、スティクション(張り付き)、静荷重の過負荷、層間剥離、クリープ、環境汚染、疲労など、多くの潜在的な不具合がつきものだ。そのような不具合は設計上の欠陥、プロセスのばらつき、あるいはデバイスのパッケージングや展開方法次第で発生する可能性がある。MEMSデバイスのモデリング技術は最終製品の挙動を予測するために一貫して使用され、電気・機械的挙動はミクロあるいはナノスケールでの材料特性だけでなく基本設計を通して決定される。しかし、設計が複雑で、潜在的ソリューションも豊富だということは、最終的には実デバイス上での性能テストが不可欠なことを意味しており、理論では予想できなかった設計の側面がしばしば明らかになることがある。デバイスの種類によっては、最終パッケージやテストの段階でデバイスコスト全体の60%を消費することもある。コストを最小限に抑えることは、成功する製品を作る上でカギとなる。

MEMS測定技術

図1 パッケージデバイスを測定する、20倍のカスタム対物レンズを備えた米Veeco Instruments社の光学式表面形状測定装置「DMEMS 1100」

 MEMSの静的特性を調査するいろいろな方法と同様、動的特性を測定するさまざまな技術がある。動的特性を調べるものには、レーザー振動計、ストローブホログラフィ技術やデジタルホログラフィ技術、不鮮明な包絡線を用いた明視野測定などがある。レーザー振動計は表面一点の情報を迅速に提供し、約1μmまでの方位分解能を持つものが一般的だ。しかし、デバイス全面における動作の全体像を構築するため、表面上の一点をスキャンしなければならず、面外運動にのみ感度を持ち、静的特性の測定はできない。通常、ホログラフィ技術は全視野だが、多大な費用と時間をかけて、測定されるデバイスの種類に合わせたホログラムを作成し配置させる必要がある。また、一般的に、数μmの高さ測定範囲を持つ。コンピュータホログラフィは物理的なホログラムは必要としないが、それでも高さ測定範囲が限定的で、エッジ効果の影響を受け、通常、垂直分解能は数十nmである。明視野顕微鏡を用いた不鮮明な追跡技術は定性分析のみ可能であり、デバイスの横移動についてのみ情報が得られる。

 表面測定の静的技術には蝕針式表面形状測定器、走査電子顕微鏡、共焦点顕微鏡などがある。蝕針式表面形状測定器は材料特性に感度を持たないが、普通は光学式のものより速度が遅く、表面との接触が必要なので場合によっては破損させる恐れがある。走査電子顕微鏡は高解像度だが、高価で、真空中にサンプルを置く必要があり、表面の3次元定量化を行う能力はない。共焦点顕微鏡は3次元データを提供するが、共焦点のスキャンは同顕微鏡の動的測定への拡張には適さない。高速、高精度で、静的・動的デバイス両方の3次元表面測定を行う最適な技術の一つが垂直走査白色干渉法である。

干渉法によるMEMS測定
 垂直走査白色干渉法は精度や柔軟性が最も高い3次元表面形状測定法の一つで、データ記憶読み取りヘッドや塗料の乾燥速度、エンジンのシリンダ壁から、精密半導体、医療機器計測装置に至るまで、広範囲なアプリケーションにおいて採用されてきた。この非接触式技術は、最高10mmの高さ測定範囲と100μm/sec以上の垂直走査速度を実現する。測定視野は、広範囲な部品サイズに対応した使用される顕微鏡対物レンズにより、60μmから10mm以上に及ぶ。加えて、広範囲に及ぶ高い方位分解能の計測をするために複数の測定が組み合わせられる場合もあるだろう。さらに、同技術は成熟しており、あらゆる測定規模の要求に応えるべく、測定器は低コストの手動構成から自動焦点合わせ/傾斜/ステージ搭載/ウェーハ処理能力を備えた完全自動化システムまで豊富に揃えている。同技術は、周期的なデバイスの動作と同期させる方法で光源のストロービングを通して動的測定へ拡張することができる。1MHz以上を動作させる部品を測定でき、共振周波数、上昇時間、下降時間、さまざまな領域とパラメータの速度と加速度、接点分析などは、すべて自動測定を使って計算される。

 MEMSの完全測定を行う干渉式表面形状測定システムの有用性をさらに広げるため、対物レンズのカスタマイズが可能で、それらを使うと、封入容器や環境チャンバの開口部が透明であることを条件に、封入デバイスや環境チャンバ内のデバイスを測定できる。この方法により、真空状態あるいは様々な大気圧下で、様々な気体が存在する中、数百度の温度レンジを越えた状態で、静的・動的両方の特性の変化を計算することができる。これらの対物レンズは、最適な焦点合わせ性能と最高有効倍率40倍という高い倍率を備えたカスタム光学品というだけでなく、MEMSデバイスと雰囲気間の材料に対する使い勝手のよい補償技術を採用している。また、9mm以上の長い作動距離によって、カスタムチャンバやデバイス搭載構成を可能とする。これらの対物レンズは液体環境で採用されており、生細胞の生物学的測定から、液体環境で動作するかもしれない移植可能なデバイスの測定まであらゆるものについて便利である。

MEMS分析

図2 MEMS風車の一部(a)とさらなるマスキングと分析のために分割されたデータ(b)
(MEMSデバイスは、米サンディア国立研究所SUMMiTプログラムが提供)

 非接触式でナノメートルレベルの精度を持ち、あらゆる環境条件下で動的および静的な3次元測定を行うことができる光干渉測定法は、急速にMEMS測定におけるハードウェアプラットフォームとなりつつある。しかし、高性能なハードウェアプラットフォームと同様に重要なのは、多くのMEMSデバイス構成に対し有意義な分析とプロセスフィードバックを行うことができるソフトウェアである。干渉式表面形状測定装置の多くのアプリケーション用に長年にわたって開発されたソフトウェアは非常に広範囲に及び、3次元表面形状測定のために文字通り何千もの測定パラメータがある。しかし、複雑さや表面形状の多様さ、動的計算の追加など、MEMS測定においては、適切な部分計測能力の向上が必要とされている。

 MEMSデバイスのカスタム機能の中で最も重要なものは、合理的・効率的な方法で表面を分割する必要性である。たとえば、図2(a)はVeeco DMEMS 1100で測定した風車のようなMEMSの3次元画像である。米サンディア国立研究所のSUMMiTプログラムから提供を受けている。明らかに、全体的な測定で使われる標準的なラフネスや表面パラメータでは、このデバイスの測定には不十分だ。このデバイス測定には、それぞれ盛り上がった部分のラフネス、断面の相対位置、最下層のラフネス、断面どうし、または基板に対する各断面の高さや傾きなどが関係するパラメータとして挙げられる。そして、これら各パラメータの計算は自動で行われ、デバイスが視野内にどのように置くかによって横方向の位置決めや回転の潜在的なエラーに影響を受けないことが望ましい。そうすれば、オペレータエラーの影響を受けなくなる。

 光学式表面形状装置「Veeco Surevision」に付属の分割ソフトウェアは、領域を特定し、1つの領域あるいは複数の領域の組み合わせに関して独立した計算を行い、ユーザー定義のテンプレートを使用することができる。実測定を理想の測定と比較することができ、測定ごとの小さな変化に影響を受けない程度で回転や変換を適切に調整する。分析工程は以下の通りである。

 画像は、まず、あるMEMSデバイスを何が一番よく見極めるかによって、傾斜、分離、強度、あるいはわずかな高さの段差を使い、不連続なデータアイランドに分割される。図2(b)は、MEMSをそのようにして分割したものである。ユーザー定義の特徴を用いて、理想的なテンプレートに対しデバイスを配列し、実測定したものをテンプレートに合わせて回転もしくは変換させる。その後、各領域をさらに分割するために、配列データにマスクが適用されるかもしれない。最後に、分割されマスクされたデータアイランドは1つ以上の分析領域に割り当てられ、望ましいユーザーパラメータが計算されデータベース化される。たとえば、図3では、各スポークは個別の計算では別領域かもしれないし、すべてのスポークは、全体的な平面性やラフネスを計算する追加的領域と組み合わせられるかもしれない。つまり、基板はより遠くのハブまたはセンターハブ、あるいはスポークになる可能性もある。

 稼働中のMEMS測定には、テンプレートベースのソフトウェアも便利である。視野内で領域の位置が変化しても領域を特定して適切な計算ができるよう設計されているからである。ばらつきは、オペレータが視野内である部分の位置決めエラーをしたときだけでなく、ある部分が好ましくない動作をしたときや、熱ドリフト、または他のドリフトなどによって起こりうる。可動領域を適切に特定することで、他の領域に対するそれら領域の位置、相対的傾斜、高さ、曲率がすべて計算でき、クリティカルなデバイス特性がいかに作動中に変化するかの全体像を構築することができる。

MEMS動的パラメータ

図3 ストローブ干渉顕微鏡を使って4500Hzで測定した共振器デバイスの3次元プロット図(a)。駆動信号の180°相で測定したデバイスから0°相でのデバイスを引いた等高線図(b)
(MEMSデバイスはSUMMiTプログラムが提供)

 これまでの干渉技術は、単一時間に測定された単独部分の分析のために使用され、データベースパラメータが計算されて測定ごとにログをとるが、自動運転の標準偏差のように複数の測定全体については統計的分析だけであった。しかし、MEMSデバイスでは、様々な周波数、電圧、位相、温度、その他の環境要素を網羅しながら、多くの測定でクリティカルなパラメータの変化を調べることが望まれる。定性分析だが便利なものに、デバイス動作の完全3次元動画を作成する技術があり、干渉式表面形状測定システムに付属するソフトウェアを使えば簡単に作成できる。これにより、非対称の動き、膜鏡下での欠陥、好ましくない傾き、その他多くの容易に発見できる設計欠陥など、不具合の検査を短時間で行うことができる。

 完全な定量分析のためには、計算されたすべてのパラメータは駆動条件と測定条件について追跡されなければならない。たとえば、図3(a)はMEMS共振器の静的測定を示す。線幅、ラフネス、相対的高さ、間隔、傾きは重要だが、同じく重要なのは表面形状、様々な周波数、電圧、動作相での動作特性を理解することだ。図3(b)は駆動信号の180°相における測定から0°相での測定を引いたものの等高線図である。共振器の可動部の等高線は右側に向かって色が濃くなっており、共振器の横変位だけでなく共振器が動くことで傾きを誘発していることを示している。よって、駆動位相に対する傾きや相対的な領域高さのプロット図を作成すれば、共振器性能について重要な情報を得られるだろう。

 動的計算に関連するその他の重要なパラメータは、共振周波数、上昇時間、整定時間、線形システムの周波数応答を調べるボード線図とナイキスト線図だ。関連する動作パラメータは、前述したテンプレートソフトウェアを使って計算することができる。動的測定能力のある干渉式表面形状測定装置に付属のソフトウェアを使えば、ある1つのパラメータと別のパラメータについて1次および2次導関数(速度と加速度)の計算をするだけでなく、他のパラメータの代数の組み合わせを通して新しいパラメータを作ることができる。このようにして、変化する状況に対するデバイスの感度は容易に評価できる。独自または専用の分析が必要なデバイスでは、ユーザーが「Matlab」、C、その他のプログラムからユーザー自身の計算にリンクさせ、それが同装置のソフトウェアに元から備わっていたように表示したりデータベース化したりすることもできる。このような柔軟性のある分析によって、生産中の品質管理やプロセスフィードバックだけでなく、新しいデバイスの研究開発フェーズにおいても確実に高速フィードバックが行える。

 生産環境におけるMEMS測定には、そのような計算がプロセスにすぐフィードバックされることが必要である。図4に上昇時間を決定するために測定が行われているマイクロミラーデバイスの生産量プロット図を示す。傾きやラフネスその他のパラメータを含む、1つのマイクロミラーデバイスの現在の測定パラメータが、多くの測定を行う全体的な位相シーケンスに関して選択されたパラメータのグラフと共に表示される。この場合、ミラーのテストの測定における上昇時間は520μ秒となっている。


図4 単一測定パラメータによるマイクロミラー測定と測定シーケンス全体に渡って使われた複数パラメータのグラフ


外部ソフトウェアとハードウェア制御

図5 TCP/IPインターフェースの実行例を示すフローチャート。ユーザー提供の要素と表面形状測定装置との間の通信は中央の矢印で表す

 そして、干渉計を使ったソフトウェア分析だけでなくカスタムハードウェアデバイスも使用できる点で、本干渉式表面形状装置は生産環境において真に柔軟な測定ソリューションといえる。デバイスの種類が豊富なことから使用される駆動ハードウェアの構成も多岐にわたり、なかにはテスト用デバイス向けに設計されているものもある。そのような場合、干渉計と共に提供される標準的な駆動ハードウェアを使うことは非現実的もしくは不可能であり。また、適切な測定を行うために、加熱ステージ、環境チャンバ、追加ステージのようなハードウェアを追加する必要がある場合があるだろう。MEMSデバイスから出される信号が測定のためのトリガーを出す必要がある場合があるかもしれない。あるいは、より詳細な部分測定のためには異なる測定構成が必要だと、特定の測定結果に示されるかもしれない。

 コスト、実行時間、実験の必要性、あるいは知的財産への配慮から、MEMSデバイスを適切に測定するために必要なすべての分析を、測定装置メーカーがいつも提供できるとは限らない。それゆえ、前述した分析カスタマイズに加え、ハードウェアによるユーザー制御が望ましい。Veecoでは、TCP/IPインターフェースを通じて実行している。TCP/IPインターフェースは、カスタムオートメーションや前述のその他のデバイスの制御も扱うことのできる外部のソフトウェアパッケージから干渉器を制御できる。図5にこの機能が使われている一例のフローチャートを示す。MEMSカスタムコントローラは、干渉器との通信が適切なプロトコルに従っている限り、いかなるユーザープラットフォームにも作成することができる単なるソフトウェアルーチンだ。この場合、ユーザーのソフトウェアとハードウェアと干渉計間で何度か通信が行われる。外部通信をサポートしているので、デバイスがいかに制御され、いかに評価されるかという両方の点で、エンドユーザーに対し最大の柔軟性を提供できる。

結論
 干渉顕微鏡はMEMS測定において大きな利点がある。干渉式表面形状測定装置は、MEMSデバイスの完全3次元測定を可能とし、ナノメートル以下の垂直分解能、広い高さ測定範囲、最大100μm/秒という測定速度、数ナノメートルまでの方位分解能を実現する。加えて、最新モデルでは、数Hzから数MHzまで稼動状態のMEMSデバイスを測定する能力だけでなく、正確な情報を確実にするレーザー基準を用いて高さデータの自己校正機能も備えている。また、別の技術的進歩としては、環境チャンバ内のデバイスや透明パッケージを通したデバイスの測定が可能となり、完全な測定を行うために様々な条件でデバイスを分析することが可能になった。これらのシステムには、いかなるデバイス要求にも応えるハードウェア制御とソフトウェアの両方を簡単にカスタマイズできる能力だけでなく、しっかりした分析と自動化能力が備わっているので、いかなるMEMSデバイスも高速・高精度で完全に測定することが可能である。

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