SEMICON Japan 2007への期待

・・・SEMICON Westを反面教師として・・・

[2007年12月号]

By 服部 毅 Editorial Advisor ECS Fellow
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 世界規模の半導体製造装置および材料の業界団体であるSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)が世界各地で毎年決まった時期に開催しているSEMICONショーの中で、毎年12月初旬に幕張メッセ(千葉県)で開催されるSEMICON Japanは、7月中旬に米国西海岸(サンフランシスコ)で開催されるSEMICON Westを抜いて世界最大規模を誇っている。ここ数年、SEMICON Westは新製品の実機展示が極端に減ったためか、人気がいまひとつで、このため、SEMICON Japanが出展規模や参加者数で歴史の長い老舗のSEMICON Westを大きく上回ってきている。

 SEMICON WestとSEMICON Japanの見所には共通点があるので、12月にSEMICON Japanを見学される方々のために、今年の夏に米国で開催されたSEMICON West 2007をレビューしておこう。

年に一度の旧友再開の場に?

 今年のSEMICON Westは、去る7月17〜19日にサンフランシスコのMoscone Centerで“Next is Now”(「未来がいよいよ現実に」という意味か?)をメインテーマに、次世代プロセスを意識した展示やセミナーが目立った。サブタイトルは“Seek is Find”だの“There is Here”だの“Small is Big”だのと余りに哲学的だ(写真)。

 SEMICON Westは、どうも「年に一度のお祭り」的な色彩が毎年強まり、技術的な議論や商談の場というよりは、むしろ旧交を温めあう社交場という雰囲気になってきている。そのためか、実機の展示も毎回減少しつづけており、じゅうたんを敷き詰めた中身空っぽの(?)巨大空間のブース(大企業)と、それとは対照的に、細かな治具を机の上に多数展示する小さなブース(零細企業)とが目についた。

 有力装置メーカーのなかには、顧客は絞られてきており、もはや不特定多数の参加者に展示する意義がもはやなくなったとして、展示をとりやめてしまうケースも目立っている。その一方で、特定顧客を近隣のホテルや劇場などの施設に呼び込んで、プライベートに新製品を見せたり、プライベートセミナーを開く装置メーカーが相次いだ。このままでは、SEMICON West自体が骨抜きにされてしまいそうな雰囲気だった。

 主催者のSEMIは、参加者減少に歯止めをかけようと、昨年から始まった「TechXPOT」という名称の無料技術セミナーを大幅に拡充して、隣接する展示ブースから丸見えの講演会場を各ホール内に設けて、最先端32nmプロセス技術、太陽光発電、MEMSなどのホットなトッピクスに関する講演を連日行っていた。魅力的なセミナー企画で集客して、展示も見てもらおうという作戦のようだ。このためか、出展者数や展示スペースの減少には歯止めがかからなかったものの、今年の参加者数は昨年比数%増加し、数年にわたる参加者減少にやっと歯止めがかかったようである。 

技術の目玉はHigh-k/メタルゲート
 いよいよ、40年ぶりにトランジスタ構成材料が大変革して「High-k/メタルゲート時代の幕開け」を迎えようとしているが、今回の展示会の目玉も、やはり微細化の鍵を握る45/32nm用のHigh-k/メタルゲートに関する装置メーカーからの提案だった。

 一番積極的に展示していたのは、毎年最大規模のブースを出す米Applied Materials(AMAT)社で、High-k/メタルゲート構造の一連の成膜およびエッチングのソリューションを提供していた。ただし、ライバルメーカー入場禁止の裏手の展示コーナーに、実機ではなく、各装置のワンチャンバの展示とPCによる説明のみ。300mm対応のマルチチャンバは大きすぎて何台も持ち込めないということだろうが、一台は実機の展示が欲しいところだ。

 リソグラフィ分野では、オランダのASML社やAMATからダブルパターニング(2回露光)の実用化に向けた提案が行われた。ASMLはレジストフリーズ法、AMATは自己整合型と呼ばれる手法である。(技術の詳細に興味のある方は、SEMICON Japanの各メーカーブースで尋ねられたい。)また、光源メーカーからはダブルパターニング用のレーザー光源なども展示されていた。光源をはじめいろいろと未解決の問題山積のEUV露光に手を出す前に、液浸とダブルパーニングなどの手法でArF露光を延命していくか各社競いあっていた。

 洗浄分野では、米Semitool社が12チャンバ搭載の枚葉洗浄装置の巨大な実機を堂々とオープンスペースに展示していたことは特筆に価する。某DRAMメーカーではこの装置で毎時425枚のポリマー除去・洗浄を行っているそうで、従来のような前面4台のFOUPローダーではFOUP交換が間にあわず、2階建てで8台搭載というのも見ものだ。もはや、ウェットベンチと単一チャンバの枚葉式洗浄装置のスループットを比較する時代に終止符は打たれたといってもよかろう。最近は、新金属材料の導入で、歩留まり確保上、エッジ・ベベル洗浄が必須となってきており、この点でも枚葉式洗浄装置が脚光を浴びている。バッチ式からのシフトも急ピッチだ。新登場の液浸ArFリソグラフィでも、枚葉洗浄によるウェーハエッジからのパーティクル除去は必須となっている。SEMICON Japanでは、エッジ・ベベル洗浄を中心に枚葉洗浄機の新製品が続々発表されるだろう。

やはり450mm大口径ウェーハは必要不可欠か
 後工程の最大の話題は3次元実装関連の展示だった。3次元SiP, 3次元ウェーハレベルパッケージ、3次元積層ICなどいろいろな手法がコストや性能や信頼性で競い合っていた。

 Siウェーハに関しては、450mm化へ向けた動きが急浮上してきた。世界規模のコンソーシアムである米Sematech/ISMIはSEMICON West期間中に装置メーカーを呼び集めて会合を開き、300mmウェーハではどんなにがんばってもサイクルタイムおよびコスト両面での低減は限界があり、やはり450mm化は必須と結論付けた。このため、今後、450mmウェーハ仕様や装置、搬送系の標準化の話が具体化し、議論が活発化しそうな雰囲気である。ただし450mm時代を迎える頃には、多くの半導体メーカーが自然淘汰されてしまっているだろうとの見方が有力だ。一体誰のための何のための大口径化か頭を冷やす必要がありそうだ。TechXPOTでも、「450mm大口径化よりは小ロット生産を」(米AMD社)という冷静な講演があった。

SEMICON Japanは 展示会の模範に
 今年のSEMICON Japanのメインテーマは、「協働によるイノベーションの創出」(Sharing Expertise, Making Innovation)ということである。昨年を上回る史上最大規模の展示会となることがすでに確定的のようでご同慶の至りである。モノ造りの意地をみせた多数の画期的新製品の実機が展示されることを願っている。わざわざ会場に足を運ぶだけの価値のある技術展示あってこその展示会だ。SEMICON Japanは、他のセミコンショーに対して展示会はかくあるべきという模範をぜひ示して欲しい。

 学生向け企画として、「セミコンへ行こう!」が実施されるそうだが、モノ造りのすばらしさを感じさせるようなワクワク感のある新製品・新技術の展示が盛りだくさんで、後進の学生諸君に夢を与えるセミコンショーであるよう願っている。



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