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EUV光源に新展開

[2008年04月号]

EUVリソグラフィ技術は、32nm以降の量産プロセスにおける露光方法として期待されている。ただ、EUVリソグラフィの実現に向けては、信頼性の確保や高出力EUV光源の開発など、未だ乗り越えなければならない重要な課題が残されている。今回、LPP方式の光源において、バーストモードで100Wの出力が得られることを確認した。これは、今後のEUVリソグラフィ技術開発を促進するものと期待される。


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Nigel Farrar
David Brandt
James Bonafede
米Cymer社
www.cymer.com


 EUVリソグラフィは、ArF液浸リソグラフィの置き換え技術として、32nm以降のプロセスでのデバイス量産ラインへの導入が期待されている選択肢のひとつである。32nmプロセスへの導入に間に合わせるためには、2009年初めにはEUV露光装置が必要になってくる。今のところ主な技術的な課題としては、光源の出力や寿命、レジストの解像度や感度、そしてフォトマスクの欠陥密度やその防止策など重要なものとして挙げられている。

 光源の高出力化は、生産時の高スループットを実現するうえでも必要であり、そのことがCoO(Cost of Ownership)の目標値を達成することになる。求められる解像度や線幅寸法のばらつき(LWR:Linewidth-Roughness)を同時に満たすためには、レジストへの高ドーズ化が必要であることは明らかであり、光源の高出力への要求はますます高まってきている。EUVの光源は、フォトレジスト感度5mJ/cm2で、100wph以上のスループットを実現するためには115W以上の出力が必要とされており、感度10mJ/cm2では180W、さらに20mJ/cm2以上のフォトレジスト感度では200Wを超える出力が必要になるとされている。

 また、EUVリソグラフィ技術が進化を続けていくためには、拡張性のある光源である必要がある。現在、EUV露光装置の実験機には、低パワー放電生成プラズマ(DPP:Discharge Produced Plasma)方式の光源が使用されているが、量産レベルでの出力要求を満たしていない。それに対して、レーザー生成プラズマ(LPP:Laser Produced Plasma)方式の光源は、ArF液浸の次を担う量産プロセスの実現に向け、最も期待される技術の一つといえる。

 LPP方式の光源は、Xe、SnあるいはLiなどにレーザーエネルギーを与えることで、高イオン化したプラズマが作り出されて、波長13.5nmのEUVを放射する。イオンの脱励起と再結合の間で、生成したエネルギーをもった放射が全方向に送られ、スキャナ光学系の入り口で中間集光点(IF:Intermediate Focus)に集められて焦点が合わされる。放射は広い範囲の波長で送られるが、要求される出力レベルを満たすためには、レーザーのエネルギーをEUVの帯域内に効率よく変換することが重要である。レーザーの波長とレーザー源エレメントをいくつか組み合わせて変換効率を調べたところ、CO2レーザーと液滴(ドロップレット)Snターゲットの組み合わせで最適な変換効率が得られることを見出した。量産に適用できる光源を実現するためには、CO2レーザー、ドロップレットSn発生器、集光器、デブリ(飛散物)緩和などの技術を開発するとともに、それらをインテグレーションする必要がある。ここからは、その進捗状況について触れる。

レーザー
 Cymerでは、複数段の増幅器を持つRFポンプのマスター発振パワーアンプ(MOPA)構成のCO2レーザーを使用している。100kHz動作が可能で、低エネルギーかつ高繰り返しのQスイッチマスター発振器によってシードパルスが起動される。LPPチャンバに入る前にレーザーパルスは増幅され、形状が整えられて、焦点が合わされる。レーザーパルスは適切な時間に、レーザーよりも大きい繰り返し率でターゲット供給装置から流れてくる液状のSnターゲットに衝突する。真空チャンバ内でレーザー光が照射する正確なポイントにドロップレットSnターゲットがくるように軸が合わされる。13.5nmで引き起こされるプラズマのピーク放射は、この波長のために設計された多層膜をコートしたミラーの反射カーブによく合致している。塗布膜はEUV帯域において、13.5nm近辺の反射光に対するスペクトル純度フィルタの役割を担っている。

 マイクロプラズマのEUV放射領域の大きさはピンホールカメラを用いて測定した。プラズマは、球に近い形を持った平均的に楕円で、光学軸に関して全体に対称型円筒形である。0.1mm2srまでの小さいエテンデュ(Etendue:光源サイズと発散角の積)により、光照明デバイスの設計を簡略化でき、高開口数(NA)と高いスループットのパワー装置の導入を可能にする。この点では、一般的にエテンデュが大きいDPP方式の光源と比べて、LPP方式の光源のほうが有利である。

ドロップレット発生器
 ドロップレット発生器へ求められることは主に、ドロップレットの優れた均一性と安定性により、コントロール可能な周波数のもとでSnドロップレットを供給する能力であり、長期間にわたって信頼性の高い動作を保つことが重要である。我々は第3世代のドロップレット発生器を現在運転中である。ドロップレット直径20~150μm相当で、20~500kHzの周波数範囲で安定したドロップレットが得られている。

 最小サイズのドロップレットは原子1014個よりも小さく、効率的なEUV発生と低デブリ発生率を実現するための最少質量により近づいている。この高周波領域での動作によるSnの総消費量は、わずか120mℓ/日ほどになる計算である。小さい口径を持ったノズルを装備すると、ドロップレット発生器は長期間にわたって安定したSnドロップレットを供給することができる。今のところ、すでにインストールしてあるSn供給に限ってみると、ドロップレット発生器は55時間の連続動作を達成している。次世代のドロップレット発生器では連続動作が可能になるだろう。

 ドロップレット発生器によって作られたドロップレットの安定性は、ノズルの設計、ドロップレット発生器のパラメータ(たとえば圧力を加える、アクチュエータの駆動電圧)、装置全体の機械部品の安定性によって決定される。新規のノズル設計の使用によって、ドロップレットのジッタタイミングに関して重要な進展が最近になって達成された。能動的安定化方法を使わないで、25n+1秒のジッタタイミング(液滴間隔の0.2%)でデモが行われた。プラズマの場所では、ドロップレットは±0.6μmで空間的に不確実性なジェット軌道上にあるのに相当する。ドロップレットの位置(横断する)は短時間では5μm程度で安定性を保っているが、時間が長く(~5分)なると、100μm以内の範囲が必要となる。あとで能動的安定化方法によって定期的に補正される。水平垂直方向へのドロップレット発生器の操作については、スキャン式照明の組み込みにより最大の融通性が持てるようになった。

集光器

図1 この概略図はサブアパチャ(1.6sr)もしくはフルアパチャ(5sr)ミラーを持つ集光器の構造を示す

 プラズマによってEUVが放射され、大口径の楕円形垂直入射多層膜ミラー(MLM)によるIFポイントに向けて集光される。光源の構造については、プラズマ発生のためのドロップレットターゲットの上にある集光ミラー中央の開口部を通って、レーザー光は焦点が合わされる。後方に放射されるEUVは、ミラーによってほぼ垂直入射で反射されIFへ焦点が合わされる。この構造の利点は、大きな熱負荷容量と変形ポテンシャルをもつ大形の集光器に後方から熱管理が行えることである。この構造の概略図を図1に示す。

 こうした大形の垂直入射集光ミラーの製造に向けて、インフラが開発された。ミラーの集光能力は、量産用デザイン(5sr集光角度)の1.6srサブアパチャ(320mm口径)を使って検証した。機械仕上げとスーパー研磨の後、ミラーの表面は、高温で安定している多層膜を成膜する能力があるDCマグネトロンスパッタ技術を持つ成膜装置を使ってコートされる。コーティングはさまざまな入射角度で高いEUVの反射を提供できるよう設計されている。複数のサブアパチャミラーの寿命テストを完了し、そして>5srのアパチャの生産が始まった。50%の平均反射率ターゲットに近い良好なピーク反射率と均一性を持ったミラーが得られている。


デブリ緩和

図2 デブリ緩和に対して4桁の規模でイオン流を抑圧する

 LPPのEUV光源は高エネルギーイオン、中間原子、ターゲット材料のクラスタの形で、集光器の表面に影響を与えるデブリを発生させる。これら3種類のデブリの中で、集光ミラーのコーティングに対して最大の危害を与えるのがイオン流である。ほとんどのターゲット材料は集光器表面から離れた方向で動くため集光器に衝突するドロップレットターゲットからの中間原子とクラスタは微小である。集光ミラーの反射率を維持し、部材の長寿命化を可能にし、そして低コストの操作を維持するために、垂直入射ミラーは高度なデブリ緩和の技術によってプラズマから保護しなければならない。

 ミラー表面でのイオン(数keVのエネルギーを持つ)の相互作用はMLMコーティング材料の侵食を結果として引き起こす。集光器の寿命を延ばすためにエネルギーを持ったイオンの緩和方法の開発と試験がされた。この方法はイオン流を4桁の規模で抑制する(図2)。さらにスペクトルの最大観測イオンエネルギーが3keVから300eV以下に減った。デブリ緩和なしでは0.2レイヤー/Mパルスの侵食率が測定された。そして104の抑制因子であり、500までの犠牲レイヤーで作られた集光ミラーのコーティングは1012パルスを越す寿命を持つ。これは集光ミラーを約1年間使うことができる。

装置のインテグレーション

図3 このLPP開発チャンバは厳しいサイクル条件下でのテストを取り扱うことができる。そして集光器とデブリ緩和装置をインテグレーションしている



表 LPP 方式EUV 光源のロードマップ

 現在2つの高パワー、高反復レートのCO2レーザーを使ったLPP開発装置が動作中である。ここ数年、これらのチャンバの1つでドロップレットターゲットから十分な出力増加を達成し、ドロップレットターゲット上に発生したレーザー強度の継続した改善が見られた。レーザー出力、レーザー光の質、ビームとパルスの状態、焦点を合わせる光学系の分野でいくつかの進展が見られた。5srの集光角度、50%の集光平均反射率、プラズマからIFへ光の伝送率を90%と仮定して、プラズマから正確な距離を保つ小型の入力アパチャのEUVモニターを使って、プラズマで測定したEUV帯域の出力から、IFと同等の出力が決められる。

 第2チャンバ(図3)は厳しいサイクル条件下でのテストを取り扱うことができる。そして集光器と高度デブリ緩和装置のインテグレーションがIFでの長期間の測定を可能にする。主要な課題は、ドロップレットとレーザー光を最適化することによって高いCEを保持し、サイクルと動作時間を延ばすことである。このチャンバは、最初の露光装置照明器の試験のため、照明器試験モジュールに内部接続を可能にしている。

 新規チャンバでごく最近得られたデータを図4に示す。これはSnドロップレット上で50kHz反復レートのバーストモード動作中でのデータである。アクティブ制御なし自由継続動作モードで1ミリ秒の300回のバーストシークエンスで、100WまでのIFと同等の出力発生が見られた。IFで検知される5W以下に相当する平均出力に対して、50kHzパルス周波数が100秒間隔で得られた。開発の次段階はIFで平均出力を100Wまで上げることであり、主としてデューティーサイクルの改善とこのパワーを直接測定することである。

 我々が計画しているLPP方式の光源の開発ロードマップを表に示す。第1世代の製品は、量産前もしくは2009年度ベータ版の露光要求に間に合うように設計されている。同製品は、3.0%のCEを提供するSnドロップレットで10.8kWのCO2レーザー装置を使用して、EUV帯域の出力100Wを目標にしている。このレベルの性能はすでにバーストモードで立証されている(図4)。垂直入射集光器は5sr集光角と50%以下の平均反射率でコートされている。このターゲットに近い性能を持ったサブアパチャ集光器はすでに作られている。不明瞭化、吸収、デブリ緩和方法によって起こる伝送損失は10%以下と見積もっている。

 IFでのEUV帯域の出力を高めることが要求されていて、より高出力のCO2レーザー技術を使用し、変換と集光効率を適度に改善した第2世代、そして第3世代のLPPのEUV源が市場にもたらされるだろう。各世代の製品が約24ヵ月で市場に出ることが期待される。


図4 新規チャンバによる最新データから、〜100W(左)のSnドロップレット上50kHzと、〜5W(右)の平均出力に相当するバースト出力(IF同等)を示す


まとめ
 EUVリソグラフィは、ArF液浸リソグラフィやダブルパターニング以降のクリティカルなレイヤーで必要となる技術候補のひとつである。EUVリソグラフィを成功裏に量産ラインに導入するには、高出力かつ長寿命の光源の開発が欠かせない。露光装置がそれぞれのライフサイクルごとに進歩しているなかで、スループットの要求を満足させるためのパワーを上げられる、最も期待の持てるEUV光源技術としてLPPのEUV光源が見られている。我々は、10.6μmのCO2レーザー放射とスズ液滴の高CEの組み合わせを使用したLPP構造を選択して4%以上のCEを達成した。

 半導体メーカーにとって高CEはコスト効率の高い解決策である。高出力、高い反復レートのCO2レーザー技術において、12kWレベル以上での動作が可能でかつ有効である。高いCE動作が液滴ターゲットで立証計測された。プラズマで300WのEUVバーストパワーとIFで100Wを最近達成した。これは量産前EUV露光機を支援する上で、第1世代の製品に要求されるターゲットのパワーレベルである。来年を通しての追加開発において、サイクルの増加によって100Wレベルまで平均出力を高めることが目標である。

 デブリ緩和の方法が開発され、そして集光器の光学系の侵食と反射率の低下を起こすエネルギーをもったイオンを抑え込むことに成功した。集光器のコーティングの寿命は1012パルスもしくは1年間の動作寿命を達成している。製作におけるインフラを含めて、高温グレードの多層膜コーティングを持つ320nm直径のサブアパチャの垂直入射集光ミラーが開発された。今後、年間を通じて、デブリ緩和技術と一緒に集光器の光学系などのインテグレーションについてテストが行われる。2008年後半にも、インテグレーションされた装置の初期バージョンの出荷開始を目指している。

Nigel Farrarは、Cymerのリソグラフィ応用技術部門のバイスプレジデント。
E-mail: nigel_farrar@cymer.com

David Brandtは、CymerのEUVプロダクトマーケティングのシニアディレクタ。
E-mail: david_brandt@cymer.com

James Bonafedeは、Cymerの日本でのシニアアプリケーションエンジニア
E-mail: james_bonafede@cymer.com

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