Expert Perspective

DFM:変わりゆく半導体業界

[2008年04月号]

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Mark Mason氏
Si2 DFMC会長
米Texas Instruments社
Design Data Integration部門ディレクタ、
名誉シニアメンバー
テクニカルスタッフ

 米KLA-Tencor社のChris Mack氏は2003年のSPIEにて、「半導体業界は成熟しつつあり、これまで非線形的あるいは指数関数的に成長を遂げてきた技術の進歩は終焉を迎えつつある」と指摘した。1)

 ムーアの法則に沿って性能向上やコスト低減を成し遂げてきた技術の多くは、その理論限界に近づいてきている。何十年もの間、指数関数的に拡大してきたチップサイズは6インチのレチクルでは限界を迎え(9インチレチクルは経済的に実現の可能性は低いとされている)、その成長はほぼ横ばいだ。同じように、過去30年間で2.5mmから300mmまで拡大したウェーハサイズだが、これ以上の大口径化はないだろう。光リソグラフィ技術もその寿命(限界)に再び近づきつつあり、成熟した工場での半導体製造の歩留まりは、ほぼ100%に近い。かつて数μmだったCDは今では数十nmとなり、量子力学的にも限界に近い。もはや半導体業界は成熟してしまい、ムーアの法則に従って成長を続けるために行える「簡単なこと」が次第になくなってきているようだ。

 最近では、複雑なリソグラフィ技術がプロセスや電気的歩留まりに与える影響をいかに制御するかといったことが注目されている。2004年には、リソグラフィDFM向けEDAツールを開発するために、60社ほどのDFMベンチャーが投資会社を探していた。2)一般的にリソグラフィDFMツールは2種類に分けられる。歩留まりへの大打撃を避けるようデザインされたものと、タイミングクロージャのような電気的歩留まりへのリソグラフィ的影響を捉える高度なものである。いずれのツールも、最終的には、デザインルールのギャップによる製造段階での歩留まり低下を防ぐことを目的としている。

 リソグラフィのばらつきがタイミングクロージャといった重要な電気的特性に与える影響を予測するツールがますます重要になってきている。リソグラフィ工程では、露光量や焦点のばらつきの影響を受ける。65nm以前のプロセスでは、通常、設計者が描いたものがウェーハ上にパターンとして作製できると考えられており、デザインルールはトランジスタの要求性能を保証していた。ところが、今ではパターニングに使われる光の波長よりもはるかに小さいパターンを解像することが求められてきており、トランジスタの正確な形状を保証することが困難になってきている。

 今後もムーアの法則に従おうとするなら、設計者は体系的な製造ばらつきを明らかに
する必要が出てくるだろう。そのためには、製造から設計までサプライチェーン全体を網羅するビジネス情報と、技術情報の両方のフローをサポートするソフトウェアを作ることが課題となる。この課題を解決するため、Si2(Silicon Integration Initiative)では、DFMC(Design for Manufacturability Coalition)を立ち上げた。DFMCは、メンバー企業と共に、ICサプライチェーン全体に高度な情報伝達を提供するオープンスタンダードなITインフラを構築し、設計と製造におけるアプリケーションの統合を図ろうとしている。これが実現すれば、設計と製造のサイクルタイムを改善するような情報伝達基盤、全体フローの効果的な統合、フローに導入するためアプリケーション選択、新たな設計技術の早期導入や短期間での製造への移行といったことが可能になると期待される。

 これまでムーアの法則を可能にしてきた従来技術の多くは理論限界に近づいている。そして、製造プロセスが複雑化するのに伴い、新たなソフトウェアツールの開発がますます重要となってきた。こうしたツールは、設計者が最大の歩留まりが得られるよう、設計フロー中で機能しなければならない。DFMのニーズが高まることは、成熟産業では当たり前のことである。製造するための情報を最大限利用できるような新しい設計方法が、これからの半導体業界の成長を支える原動力となるだろう。

参考文献
1. C.A. Mack, “The End of the Semiconductor Industry as We Know It,” Optical Microlithography XVI, Plenary Address, SPIE Vol. 5040 (2003), p. xxi.
2. Private communications between the author and various venture capital executives, 2004.



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