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ナノインプリントがHDDとCMOSの性能を向上させる

[2008年04月号]

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図 米IBM社はナノインプリントリソグラフィを使用してfinFETメモリーデバイスを作成した。上図は米Molecular Imprints社のS-FIL技術を使って作られたフィン、下図は構造全体の断面図を示す
(出典:IBM)

 米Molecular Imprints社のCEO、Mark Melliar-Smith氏は「2008年、ナノインプリント技術はハードディスクドライブ(HDD)の生産分野にしっかり入り込み、その数年後にはCMOS高密度メモリープロセスに既成概念の枠を超えたアプリケーションをもたらす」と述べた。

 以前、米SEMATECHのCEOだった同氏は、ダブルパターニング(DP)リソグラフィが複雑なので、半導体業界は特定のマスク層にナノインプリントの導入を考えるようになると述べた。また、ナノインプリントが最先端NAND型フラッシュのメーカーにとって都合のいい技術であることは、東芝が先に示したデータから明らかだと指摘した。

 しかし、ナノインプリントにはアライメントの問題があり、マスクの製造コストが高くつくだろうという批判がある。マスクパターンが転写される像の4倍の大きさである従来のリソグラフィと違って、ナノインプリントは1:1の等倍テンプレート技術であり、テンプレート上のパターンは液体中で焼き付けられ、その後UV光でキュアされる。

 等倍テンプレート技術の欠陥問題について尋ねられたMelliar-Smith氏はそれを否定した。「我々の場合、インプリント用等倍マスクの製造技術は、位相シフトマスクの製造技術を基にしている」と同氏は述べた。「我々の等倍マスク製造能力は光リソグラフィの延長線上にある。光リソをディープサブ波長イメージングへ拡張するため、半導体業界はフォトマスク上で光近接補正(OPC:Optical Proximity Correction)を使わなければならなかった。これらの形状の多くは実際に転写されるものより小さい。よって、マスク上パターン描画の技術向上だけでなく、すでに4倍以下のマスクを製造する取り組みを行っている」。

 DPではCD制御はマスク上のパターン描画に直接関係する。「パターン描画能力は4倍マスクのときのそれより向上させている」とMelliar-Smith氏は述べる。「どちらにしろ、半導体業界は等倍マスクを実現することができる」(Melliar-Smith氏)。

 現在、ナノインプリント技術は光技術の補完的役割を担っている。Molecular Imprintsの装置はArF(193nm)光リソグラフィと互換性を持つよう特別に設計されており、その代替技術というわけではない。これによりナノインプリントリソグラフィの利点が2倍になるとMelliar-Smith氏はいう。光リソグラフィに比べて、シンプルでコストをかけずに高解像度、LERの向上とCD均一性を実現する。「光リソグラフィでは、30nm以降の場合、ArF液浸だけでなくDPが話題になる。そこで、突然、以前はシンプルなリソ工程だったものが、今や、設計やそれより複雑なオーバーレイ、CD制御は言うまでもなく、複数の工程、プロセス、エッチングなど重要なプロセスモジュールになった」と同氏は述べる。「ナノインプリントはプロセスがシンプルというだけでなくより、コスト効果の高いシステムにおいて高解像度を実現する。インプリント装置とEUV装置のコストを比較すると、インプリントはEUVの少なくとも1/5となる」。

 東芝はナノインプリントによる18nmパターンのすばらしいデータ(CD制御1nm以下、LER 2nm以下)を示した。また、Molecular Imprintsの装置を使ってオーバーレイを20nmまで抑えられることも確認した。東芝は同装置の所有権を得てから6ヶ月後という異例の早さで、結果を公表した。

 「これはインプリントリソグラフィの簡単さと使いやすさを表している」とMelliar-Smith氏は述べる。「欠陥とオーバーレイの問題については継続的に進歩がみられており、我々は今、大きな市場に注目している。ディスクドライブとメモリー業界では、高解像化に莫大なメリットがある。それは、リソグラフィのメモリーに関するロードマップが何故ロジックのそれに比べ急な傾きのグラフになっているのかの理由だ。ナノインプリントを生産段階に持ち込もうと、それらの業界がどんどん導入を進めている。もし、東芝のように、20nmの領域に入りたいと思うなら、ナノインプリント以外の選択肢はない」。

 ナノインプリントリソグラフィの重要な利点は、その進歩の多くが既存のCMOS技術を基にしていることだ。プロセス技術はリソグラフィで使われるそれと基本的に同じである。つまり、半導体メーカーは上流あるいは下流の技術を何一つ変えなくてもいいとMelliar-Smith氏は説明する。

 ナノインプリントの供給側もそのユーザーもCMOSのNAND型フラッシュのような高密度メモリーに焦点を当てており、ロードマップの要求を満たそうとする努力を惜しまない。「メモリーは間違いなく我々の技術を最も牽引する分野だ」とMelliar-Smith氏は述べる。しかし、同氏は、高密度メモリーに焦点が当てられていることは確かだが、単なる半導体CMOSメモリーの枠を超えているとも付け加えた。「特に今はHDDの小型化が進んでいるので、HDD業界は我々にとって非常に重要である。小型HDDの磁区は、クロストークを防ぐために、単なる磁場閉じ込め以上のものを必要としている」。
CMOS業界は、HDDメーカーがナノインプリントの使用や適用の結果得られる経験を役立てようと期待している。その経験のほとんどは半導体メモリーの要求事項にそのまま反映できるだろうから、CMOSへのナノインプリント導入が一気に進むはずだ。2009年中にナノインプリントはHDD製造における重要な要因になると予想されており、Melliar-Smith氏は、その後数年で半導体メモリーへの導入も一気に突き進むことを期待している。

(Alexander Braun、Semiconductor International)



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