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最新ゲート積層構造の

インライン光学
分光測定

[2008年07月号]

真空紫外線領域の分光反射測定法(VUVSR:Vacuum Ultraviolet Spectroscopic Reflectometry)が登場するまで、測定プラットフォームの複雑さと根本的な光学系の制約により今まで測定装置の性能は制限されていたといえる。


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Ibrahim Burki, Cristian Rivas,
Jeff Hurst, Matt Weldon,
Henry Yeung

米Metrosol社
www.metrosol.com

Jimmy Price,
Patrick Lysaght,
P.Y. Hung, Raj Jammy

米Sematech社
www.sematech.org

 リーク電流を制御し、今後も複雑なゲート積層構造の酸化膜換算膜厚(EOT:Equivalent Oxide Thickness)のスケーリングを継続できるようにするため、HfベースのHigh-kゲート絶縁膜を組み込む必要がある。そのためには、正確なプロセスのモニタリングと制御が必要だ。Hfベースの薄膜と、High-k絶縁膜とSi基板の間にあるSiO2に似た界面の膜の膜厚と組成にわずかなばらつきがあっても、トランジスタの電気的性能に多大な影響を与えかねない。よって、複雑なゲート積層構造の物理的特徴を素早く、信頼性の高い方法でインラインでモニタリングする試みは、デバイスが「ムーアの法則」の急速なペースで微細化し続けている中、クリティカルな測定に挑戦することとなる。

 半導体製造において、光学分光測定はこれまで膜厚測定の頼みの綱であり、プロセスを可能にするものとして重要性を増してきた。しかし、根本的な光学的制約に伴い、測定装置が複雑化している。そのことが、真空紫外線領域の分光反射測定法(VUVSR)が登場するまで、最先端ノード向け最新測定装置の能力に制限を課していた。確かに、従来の測定装置ではHigh-k膜と界面の絶縁膜の同時測定能力の限界がある。分光偏光解析法(SE:Spectroscopic Ellipsometer)のような光学測定装置は、ハードウェアに内在する低波長範囲の限界のため、HfベースHigh-k膜とSi基板の間にあるSiO2ベースの層間絶縁膜などバンドギャップの広い膜を解像することができない。

 これらの課題に加え、成膜後の熱サイクルの結果、High-k膜の構造変化(結晶化度)により、リークからクリティカルデバイス(CD:Critical Device)性能の劣化につながる可能性がある。幸いにも、VUVSRは複雑な最新ゲート積層構造に対し、非破壊の薄膜測定を提供する。単一広帯域(800nm〜120nm)測定で多層膜の解像が可能だ。このVUVSR技術の成功は短波長(特に150nm未満)で膜中に強い散乱があるためであり、現在のUV光学測定法およびX線測定法では達成できないままである、薄膜構造内の異なる膜厚や組成の高解像度測定を実現している。

実験

図1 2層のISSG(In Situ Steam Generation)界面酸化膜上にコンフォーマルHigh-k膜がおかれた

 各層に対応した物理的ばらつきを個別に、そして同時に解像するVUVSRの測定能力を検証ため、絶縁膜とHigh-k膜から成り、膜厚や組成にばらつきのあるウェーハがSematechで作成された。厚さ約20ÅのISSG(In Situ Steam Generation)SiO2膜を200mm Si(100)基板上で成長させ、その後、ウェーハの外側半分にウェットスピンによるエッチングを行う。これは、2層の酸化膜を作るため、半径100〜50mmの帯域で厚さ10ÅのSiO2膜を製作するように設計されている。この絶縁膜はターゲット膜厚15〜30Åのコンフォーマル(HfO2x (SiO21-xレイヤーで覆われた(図1)。



図2 アニールされていないHigh-k/層間絶縁膜の積層の高解像度TEM画像(左)および高温アニールされたHigh-k/層間絶縁膜の積層。High-k膜で結晶化が始まっていることに注意(右)

 成膜後のアニール(PDA:Post Deposition Anneal)の効果を分析するため、アニールの温度(T1〜T4)を高くしながらサンプルをアニールした。すべてのウェーハはMetrosol社のVUVSRシステムを使って測定された。絶縁膜の厚さと結晶化度は、高解像度のTEM画像で評価され、成膜されたままのサンプル(図2左)および、それに引き続き高温アニールされたサンプル(図2右)が示された。高解像度のTEMが抽出したそれぞれの膜厚と共に、High-k膜がアモルファスから結晶化していく様子が、成膜されたままのサンプルとアニールされたサンプルの間にはっきり観察できる。また、EOTのCOS(Corona-Oxide-Silicon)測定およびX線回折(XRD)結晶化度測定もVUVSR測定の確認のために使われた。


目玉のアプリケーション

図3 アニールされたまたはアニールされていないHigh-k/層間絶縁膜の積層のVUV反射スペクトル・シミュレーション(上図)。High-kと層間絶縁膜の光学特性が150nm以下で顕著であり、それがVUV独自のスペクトル応答という結果になる(下図)

 スペクトルの特徴のわずかな変化が、光学特性の相互作用および測定膜厚のばらつきに直接関係する。よって、実際のVUVSR測定は、高精度に問題のパラメータを定量化するための、顕著な吸収特性と膜厚から生じる寄与度を分離する光学モデルに依存している。異なる超薄膜を同時に解像するVUVSRの能力を図3に示す。茶色の曲線はHigh-k膜の下にあるウェーハの中心から半分の、厚さ約20ÅのSiO2層間絶縁膜を表し、深緑の曲線は外側にある厚さ約10ÅのSiO2層間絶縁膜領域を表す。アニール後の(結晶化された)High-k膜と成膜されたまま(アモルファス)のHfベースHigh-k膜の両サンプルが示されている。このVUVSR測定は120〜150nmのVUV波長領域でスペクトル特徴を取り込むことで可能になる。High-k膜の光学特性が波長135nm以下で顕著になれば、測定された吸収ピーク(減衰係数k)への独自の膜の寄与度を区別できる。一方、SiO2層間絶縁膜の特性は波長120nmあたりで顕著だ(図3)。

 成膜されたままのサンプルとアニール後のサンプルの、個々の膜厚とHfシリケート成分の抽出にVUVSR測定が行われた。サンプルは多層膜として扱われ、有効媒質近似(Effective Medium Approximation)モデルを適用して、Hfベース材料中のSi成分により引き起こされる光学特性の変化が追跡調査された。このモデルではHigh-k膜厚、High-k EMA比、そして下層の層間酸化膜の膜厚という3つのフリーパラメータが使用された。EMA比は、成膜されたままのサンプルでは、シリケート成分の名目値(x=1、0.9、0.8)と相関関係を持ち、アニール後のサンプルでは、アニールされたHfO2成分と相関関係があった。層間絶縁膜は単一系列の光学特性を使ってモデル化された。



図4 High-k/層間絶縁膜の積層がVUVで解像され、アニールされていないウェーハ全面が測定され、メサ型の膜厚プロファイルを持つ層間絶縁膜もプロットされた

 図4はたった数分間で得られたデータからウェーハのX軸に沿って61箇所測定(膜厚、組成)し、光学特性(図3b)を使ってモデル化した1つの例である。これらの結果は、VUVSRがゲート積層構造の3つのクリティカルなプロセス指標を同時に(そして単独で)測定できるということを示している。組成(x=0.82、18% SiO2)およびHigh-k膜厚(約31 Å)のどちらも、ウェーハ全体で比較的一定であり、原子層蒸着(ALD:Atomic Layer Deposition)プロセスがコンフォーマルかつ均一であることが分かる。また、ウェーハエッジにある膜厚約10Åの平坦域から膜厚約20Åの内部領域までウェーハ全体に渡る層間絶縁膜の膜厚プロファイルが正確にプロットされる。

 注目に値すべきなのは、VUVSR技術ではHigh-k膜下にある層間絶縁膜の膜厚ステップ関数を正確に検出することができ、それが同技術の感度をさらに実証している。また、以下の正規化されたEOTの公式ですべての結果をプロットすると、VUVSR測定は電気的測定と相関関係が確認された。





図5 成膜されたままの膜とアニール後の膜のVUVSRスペクトル。VUV中の強い散乱がPDA温度の関数として示される

図6 成膜されたままのHigh-k膜とアニールされたHigh-k膜の、かすめ入射のXRD測定

 COS測定は、積層をバルクで電気的測定する際、High-k膜を、層間絶縁膜の複合EOTへの寄与度と区別しないが、VUVSRの測定結果と線形相関は得られた。

 アニールされたサンプルのVUV反射スペクトルを図5に示す。アニール温度に対する感度はVUV領域である8.26〜10.3eV(150〜120nm)でのみ実証される。そこでは明らかなスペクトルの連続性が温度の関数として示された。図3bの光学特性も、アニールされたサンプルに関連した、スペクトルの連続性と独特の形状の原因である。室温からT1℃(約9.3eV(133nm))へ移行するときの、スペクトル中のクロスオーバーやピボット(図6)は、High-k膜と層間絶縁膜の両方で起きた変化の結果である。その後、T2℃からT4℃へ移行時のスペクトル変化は約9eV(138nm)あたりで顕著であり、光学特性EMAのHigh-kアニール成分のピーク値に近い。

 さらなるアニールでスペクトル中のピボットがさらに欠如する、または高低エネルギー/波長のどちらかで大きな変化が起きると、まずHigh-k膜中の構造が変化する。図5のVUVグラフ表示を定量化してまとめたものをに表す。EMAを用いて求められたアニールされていないHfO2膜の体積分率は、成膜されたままの参考サンプルに正規化されている。これらの結果は、High-k膜の進化する微細構造を温度の関数として示し、価値ある洞察を与えている。たとえば、アニールされたサンプルに対するVUVSR測定の結果は、10%シリケート(x=0.9)アニール膜のXRD測定と比較された(図6)。従来のXRDには、比較的、長距離秩序の感度があるため、図5のVUVSR測定結果ではっきり区別された同じサンプルと比較して、アニール温度の上昇に伴う違いは、ほとんど分からない。

 光学分光法を120nmまで適用可能にするVUVSRは、最新ゲート絶縁膜の薄いHigh-k膜および酸化膜の膜厚や組成、結晶配列の体積分率を測定し、また同時に識別できる、唯一実証されたインライン光学測定ソリューションである。

 High-k膜/酸化膜の膜厚と組成のVUVSR測定は、電気的COS測定で生成されるEOT結果と強い相関関係が示された。VUVスペクトル領域では、埋め込み層間絶縁膜の膜厚が正確に定量化される一方で、High-k膜厚とシリケート成分の関数として、明確なグループ分けがなされる。さらに、これらのグループ内で、スペクトルはアニール温度の関数として独特の反応をする。そこでは、高解像度のTEM画像が、High-k膜の結晶配列に対応した形態変化を表している。

 現在、このインライン測定感度はレベル向上が図られており、将来の技術ノードに向けてソリューションを提供すべく、さまざまな膜厚の新しいメタル電極で覆われた構造にも適用されることになるだろう。製品ウェーハおよび開発ウェーハのために高スループット(>60wph)のVUVSRシステムを使うと、低CoO(Cost of Ownership)である上、プロセス制御とプロセス最適化の両方で、高速・非破壊のフィードバック機能を持つ最新プロセス制御が可能になる。


表 アニールされたサンプルのVUVSR定量化結果


参考文献
1. S. Zollner et al., “Limits of Optical and X-ray Metrology Applied to Thin Gate Dielectrics,” AIP Conf. Proc., 2005, Vol. 788, p. 166.

2. I. Burki et al., “Vacuum Ultraviolet Metrology for High-k Dielectric Films and Interface Layer Characterization,” 4th Int. Symp. Adv. Gate Stack Tech., 2007, p. 10.

3. A. Callegari et al., “Physical and Electrical Characterization of Hafnium Oxide and Hafnium Silicate Sputtered Films,” J. Appl. Phys., 2001, Vol. 90, p. 6473.

4. C. Rivas, “Optical Characterization of Hafnium-Based High-k Dielectric Films Using Vacuum Ultraviolet Reflectometry,” 15th Int. Conf. VUV Rad. Phys., 2007, No. 429.

5. N.V. Edwards, “Status and Prospects for VUV Ellipsometry (Applied to High-k and Low-k Materials),” AIP Conf. Proc., 2003, Vol. 683, p. 728.

Ibrahim Burki氏は、米Metrosol社のプロセスインテグレーション部門ディレクター。日米欧で20年以上、半導体業界に携わる。米Spansion社、米AMD社、三菱セミコンダクタで薄膜およびプロセスインテグレーションを専門に扱う。米ノースカロライナ大学で物理学の理学士号、米セント・エドワーズ大学でMBAを取得。

Cristian Rivas氏は、2005年から米Metrosol社でVUV薄膜測定技術を研究している。米ヒューストン大学、米Space Vacuum Epitaxy Center、米Raytheon社、米カリフォルニア大学リバーサイド校、米Semisouth Laboratories社で、Siおよび化合物半導体デバイス工学の研究を行ってきた。米テキサス大学で博士号取得。

Jimmy Price氏は、米テキサス大学で物理学の理学士号を取得し、非線形光学分野に特化した物理学の博士号取得を目指しながら、同大学にとどまっている。2001年から米Sematechの一員として半導体測定および材料分析の研究を行う。

Patrick Lysaght氏は、米Sematechフロントエンドプロセス部門技術スタッフのシニアメンバー。米ブルックヘブン国立研究所(BNL)の全米シンクロトロン光源(NSLS:National Synchrotron Light Source)施設で、新しい薄膜の微細構造を積極的に調査し、X線と整合させている。1996年にSematech入社する前は、米ニューメキシコ大学で物理を、米サンタフェ大学で音響学の教鞭をとる傍ら、米ロスアラモス国立研究所(LANL)に16年間勤務。



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