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放熱材料TIMの
正しい選択の方法

[2008年09月号]

正しい放熱材料(TIM)を選択するためには、優先事項に沿ってどのように個々の材料がTIMの形成で作用するかを理解することが重要だ。


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David Hirschi
Dow Corning Electronics Advanced Technologies
米Dow Corning社
www.dowcorning.com/electronics


 電子機器メーカーは、高密度プリント配線基板(PCB)上により多くの消費電力と機能を持った部品を実装しており、全てのレベルで熱放出の問題が顕著になってきている。デバイスの機能と寿命を保証するために、高温で発生する部品からの大量の熱をどのように効率的に取り除くか、技術者達は手ごわい問題に直面している。

 トランジスタの信頼性と寿命は、10〜15℃の温度低下で寿命が2倍になるといわれるほど、接合部の温度に大きく依存している。1)動作温度の低下でゲート遅延が低減し、より高い動作速度を得られる。さらに、デバイスがもっと複雑化してくると、伝導路は通常より長くなり、高温で性能低下を防止することがなおさら困難になる。

 高湿度と電位があるとき、温度上昇にともなって、その他の不良メカニズムを増大する。メタルマイグレーションにより、配線に樹状突起が現れ、近接した導電線のスペースで回路のショートが起きる。一部の環境条件では特に厳しく、極端に広い範囲の温度変化では、熱膨張と熱収縮の繰り返しにより劣化が起こり最後には不良になる。

 現在、パッケージからの放熱をもっと効果的に行うという、今までに前例のない要求があり、業界では放熱材料(TIM:Thermal Interface Material)とひとまとめで呼ばれている製品類が急激な成長を遂げている。熱源とメタルリッドもしくはヒートシンクの間の熱伝導の通路を基本的に形成する、接着剤、ゲル、カプセル、キュア前パッドを含んだいくつかの物理的形状のTIMが市販されている(図1)。

図1 スクリーン印刷によって薄い均一性を持ったTIMレイヤーを実現する。最高の熱性能を得るために、すべての隙間を完全に充填することができる極薄のTIMレイヤーを使うことが重要
図1 スクリーン印刷によって薄い均一性を持ったTIMレイヤーを実現する。最高の熱性能を得るために、すべての隙間を完全に充填することができる極薄のTIMレイヤーを使うことが重要


熱性能

 事実、市場には異なった試験方法、手順、報告基準を基にした広い範囲の性能を持つ多くの放熱材料がある。最適なTIMを選択することは、チップの設計者にとっては困難な作業であり、大半の傾向として単にバルクの熱伝導に目を向けている。熱伝導率は、熱を移動する材料固有の能力を示している。熱伝達の複合要素について、伝導率は主に充填材料の種類と量、寸法、形状、ポリマーマトリクス内の充填材粒子の分布などを含む、熱特性によって決められる。

 一般的に、充填材の装填が高いと、伝導材料の熱伝導率は大きい。より小さい粒子で作られたTIMは、より薄いボンドラインとより低い熱抵抗を達成することができる。熱材料内の充填材の全容量の一部分が熱特性に重大な影響を与える。充填材の装填が、充填材の粒子寸法を最適化した組み合わせで使うことで50%程度に増強でき、結果的に顕著な伝導性の増加を研究者たちは見出した。多くの一般的な充填材料の熱伝導性を表1にまとめる。

表1 選択した充填材の熱伝導率
表1 選択した充填材の熱伝導率


 熱伝導率は明らかに重要な特性で、TIM決定の唯一の項目であり、2つもしくはそれ以上の表面の間のインターフェースを横切る熱伝達に対して熱伝導率には計上しない。そのようなものとして、熱伝導としばしば引用される他の熱性能、すなわち熱抵抗測定の間の関係を理解することが重要だ。

 TIMの抵抗はボンドライン厚、表面の凹凸、インターフェースを形成する材料の硬度などに作用される。インターフェースの抵抗(接触抵抗と呼ばれることがある)は、より滑らかな表面を使用することによって最小化することができ、TIMと基板間の改善した接触を実現する。より柔らかいインターフェースの材料は、さらに密接な表面の接触を実現できる傾向があり、有効な熱伝達を妨げるボイドの発生をなくす(図2)。

図2 もしインターフェースの隙間が広いようなら、バルクの特性が支配的になり、高導電率が最も重要になる。隙間が薄いと、接触抵抗が支配的な抵抗となり、より良いぬれ性能を持つ材料が最良の性能を実現する
図2 もしインターフェースの隙間が広いようなら、バルクの特性が支配的になり、高導電率が最も重要になる。隙間が薄いと、接触抵抗が支配的な抵抗となり、より良いぬれ性能を持つ材料が最良の性能を実現する


 パッケージのアプリケーションに対して、TIMのボンドラインは通常かなり薄く(<50 μm)、そして材料を特定する上では高い熱抵抗が最優先事項となる。インターフェースを横切る熱流の抵抗は、一般的にTIM自体を通過する熱抵抗より大きいため、温度低下は異なったインターフェースを横切るより大きく、そして熱材料のバルクを横切るより大きい。

測定

 TIMの特定を複雑化する問題は、熱特性の測定方法とレポートが標準化されていないことにある。多くの測定技法は、過渡状態もしくは定常状態のどちらかで区分けされる。あいにく、熱特性のレポートは広範囲にわたって試験方法、温度、気圧、表面の平面性、試料の厚みなどが異なっている。熱特性は、異なった試験方法のもとに比較されるべきではない。このことは、それぞれの試験技法の詳細を特定しないと、違ったベンダーからの材料のデータシートを比較するのが困難になる(表2)。

表2 熱伝導率のサプライヤーによる記載と実測の比較
表2 熱伝導率のサプライヤーによる記載と実測の比較


熱以外の特性

 これらの矛盾にもかかわらず、熱性能のデータからTIMを特定するならば、材料選択の作業はかなり直接的だ。しかし現実には、物理的特性、プロセスの容易性、コストなどの材料の選択に影響を与える他の要因によって選択は複雑化している。

 機械的特性、例えば弾性と密着性は、インターフェースでの接触抵抗と長期間の信頼性に影響を与えるため、重要な設計上の検討事項となる。材料の熱係数の測定と記述には多くの方法があるが、熱のインターフェース上の議論との関連で、我々は一般的に材料の硬度、圧縮率、不規則な表面に順応する能力などを参考にする。製品のデータシートは、圧縮係数またはストレス/ひずみ曲線の典型的なリストを提供する。パッケージレベルのアプリケーションでは、ボンドラインが薄く、TIMの選択によって接触抵抗を最低化することは極めて重要である。高い接触抵抗は、基板の凹凸、非平坦性の合わせ面もしくは実装上の高さのミスマッチのため起こる(図3)。


図3 表面の凹凸と非共平面性からのマイクロギャップは、インターフェースを横切る適切な熱伝達を阻害する。熱用パッドのような高弾性のTIMは、完全に問題を修正できないかもしれない。熱用グリースのような湿式材料が接触抵抗を最低化するのに必要かもしれない


 例として、特定のアプリケーションで、バルクの伝導率が10 W/m・Kの高弾性の熱材料を使うと、インターフェース表面の硬度のため、TIMがミスマッチしているチップの高さもしくは不規則な表面を適切に一致させようとすることを阻止するようである。もし熱係数がより高いようなら、インターフェース材料と合わせ面の間に極小の空隙が残り、効率的な熱伝達を阻む絶縁レイヤーが発生する。

 対照的に、低弾性の材料は、各種のチップの高さと表面の凹凸を一致させるために容易に圧縮することができ、この柔軟性は固い材料にとって重要な利点となる。この場合、たった2 W/m・Kのバルクの熱伝導率を持つ柔らかいTIMは、より大きな熱伝達を可能にする固い材料にとって非常に優れた性能を示す。密接な表面の接触性は重要である(図4)。弾性のインターフェース用材料を用いる代わりに、技術者はより柔らかいジェルもしくはグリースを検討している。一般的に、パッケージのアプリケーションでの非常に薄いボンドラインに対して、接触抵抗が主要な考慮すべき事柄であると言われている。

図4 複合部品のアプリケーションでは、全ての部品の表面の被覆を完全にするためのTIMの弾性に注意を向けなければならない
図4 複合部品のアプリケーションでは、全ての部品の表面の被覆を完全にするためのTIMの弾性に注意を向けなければならない


 弾性のように、密着性を評価するのにいくつかの方法がある。引張りせん断接着強さとダイのせん断試験である。熱伝達に追加して、熱のアプリケーションの中で接着剤は2つの重要な機能を果たす。第1に、機械的な留め具として働き、その他は、合わせ面からの熱用材料のごく微小などんな剥離も防ぐ働きをする。デバイスの電源をオンオフする温度サイクルを繰り返したあとの時間経過で、通常剥離は起きる。この問題を除去するために、TIMのサプライヤーは、各種の基板に対して異なった添加剤の組み合わせを含んだ、特定の合わせ面上で優れた密着を得るためのAl、Cu、セラミック、もしくはその他の基板用の各接着剤を提供している。

 長時間の試験後剥離が起きていないことを実証するために、信頼性データが使われる。85℃相対湿度85%で1000時間のHAST試験、150℃で1000時間のベーク試験、もしくは−40℃から100℃までの熱サイクル試験などの一般的な方法がある、もし熱抵抗が安定しているなら、TIMの剥離が起きていないことで一定の性能が認められる。

 すべてのケースで、信頼性の状態に対して寿命末期の性能をシミュレートすることができ、実装直後の材料特性を参照する最終工程の性能とは対照的だ。TIMを特定するのに、エンジニアは両方のデータを持つことが必要であり、その結果材料の熱性能が経時変化でどれだけ悪化するか予測することができる。温度の直接的な効果による部品の性能上の劣化の程度は、デバイスの信頼性と耐用年数に重大な意味を持つ。

 熱性能の効果に追加して、充填装置は材料の機械的特性に直接影響を与える。大きな充填粒子は、薄いボンドラインの形成を阻止し、これは効果的な熱伝達の重要な一要因である。より小さい粒子とより高い充填の装填は、プラスもしくはマイナス要素を持つ、湿気の配合かスクリーン印刷の材料で粘度が増加する。より高い粘度の材料は、良好な状態にとどまる傾向があり、時間経過による排水の影響を受けにくいが、正確な配合がさらに難しく、空隙もしくはホットスポットが残る可能性がある。 

 正しいTIMを特定するためには、特定事項が優先する時にどのようにTIM形成での相互依存成分が互いに作用するかの理解が必須であり、従ってエンジニアはアプリケーションの基準に合致した材料選択をすることができる。寿命期待値を越えたインターフェース材料の性能を予測するために単にバルクの熱伝導だけでなく、ボンドラインの厚み、弾性、長期にわたる性能、プロセスなどのパラメータをより深く検討しなければならない。

 バルクの伝導性でTIMの性能を自動的に同一視する誘惑を排除すべきだ。そして、最高の熱伝導率を持つ材料が最低の熱抵抗であると決めてかかってはいけない。中でも、最終工程の性能を、加速試験から実証する寿命末期の特性との比較、そして特定の試験方法もしくは手順の詳細について尋ねることを躊躇してはいけない。評判の良い材料サプライヤーはそのようなデータを開示するだろう。そして、有望な顧客とデータを共有するはずである。

参考文献

1. Z. Lin, G.S. Becker and S.M. Zhang, “Thermally Conductive Grease for CPU Applications,”Compotech, June 4, 2004, p. 103.
2. J.A. Elliott, A. Kelly and A.H. Windle, “Recursive Packing of Dense Particle Mixtures,”J. Mat. Sci. Lett., 2002, Vol. 21, p. 1249.


David Hirschiは、米Dow Corning Electronics社で熱対策のグローバルマーケットのマネージャである。Dow Corningに10年間勤務。Hirshiは、米Brigham Young大学で化学エンジニアリングのB.S.の学位を取得、米ミシガン大学でMBAを取得した。



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