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SONOSで容易になる
不揮発性メモリー
混載SoC

[2008年01月号]

SONOS(Silicon Oxide Nitride Oxide Silicon)は、SoC(System-on-a-Chip)内に不揮発性メモリー(NVM:Non-Volatile Memory)ブロックを組み込むときに通常起こる問題を解決する。


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Todd Wallinger
米Simtek社
www.simtek.com

 SoC(System-on-a-Chip)は単純なテーマに見える。Siスラブを取って、マイクロプロセッサを付け、I/Oとメモリーを加え、場合によってアナログ回路をちょっと加え、よくかき混ぜる。

 しかし、実際にはそう簡単ではない。主な障害は、これらの回路ブロックにはそれぞれ独自のプロセス要求があることだ。マイクロプロセッサに使われる標準CMOSロジックは良好なステップカバレッジが必要であり、RAMに使われる高密度回路では密なスペーシングが要求され、アナログ回路に使用される複数の抵抗を埋め込む際は、良好なコントロールを要する。これらの要求をすべて満たすプロセス設計を行なうのは、信じられないような微妙な綱渡りをすることと同じである。

フローティングゲートの問題
 不揮発性メモリーNVM(Non-Volatile Memory)は、SoCにおいてあっという間に必要不可欠な要素になった。システム設計者は、マイクロプロセッサのプログラムコードのような電力供給なしに保持されなければならない重要な情報の格納をNVMに頼っている。しかし、NVMは標準CMOS製造プロセスへの組み込みが最も難しい回路ブロックでもある。

 現在、SoCで最も一般的に使用されているNVM技術はフローティングゲート(Floating Gate)である。フローティングゲートの利点は多い。既に40年以上の歴史があり、技術的に熟知されている。比較的高密度で、小さな面積に多くのメモリーを作り込める。そしてプログラミング(書き込み)電流が高いので高速な書き込み速度が得られる。

 しかし、フローティングゲートはSoC上へのインテグレーションを困難にする欠点もある。積層構造の高さが高く、ステップカバレッジが問題になり、その結果、メタルラインが薄くなったり切れたりして開放状態に陥る。フローティングゲートをチャネルから絶縁する酸化膜は、デバイスを動作不能にする可能性のあるピンホールの影響を受けやすい。フローティングゲートを用いるデバイスは、マスクを追加する必要があり、プロセスステップ数が増える。これによって製造時間やコストは増し、SoC内の他の回路に弊害を及ぼす可能性もある。隣接セル間の電気的干渉により、フローティングゲートのスケーリング限界は22nmと45nmのプロセスノードの間にくると思われる。1)このことは、バーチャルリアリティ製品やリアルタイム翻訳機といったメモリーが必要不可欠の将来製品にフローティングゲートが使えないことを意味する。

SONOSによる救いの手

図1 フローティングゲートの積層の高さはSONOSの2倍になり得る。これは主にデータストア層の厚みの違いによる

 SONOS(Silicon Oxide Nitride Oxide Silicon)は、フローティングゲートとほぼ同様の利点があるにもかかわらず、フローティングゲートの欠点が一つもないメモリー技術である。フローティングゲートとは、データを記憶するのに使われる電子がSi3N4の薄い絶縁層全体に散らばっている点が異なる。すなわち、ポリシリコンの厚い導電層に電子が集中していない。図1はセルの断面の比較図である。

 SONOSは誤解を受けやすい技術だ。1960年代に最初に導入され、その後製造が難しいということで廃れた古い技術と考える人もいる。また、現実のアプリケーションではまだ実用的ではない将来技術とみる人もいる。

 実際、SONOSベースのメモリーは20年以上前に製造されているが、フローティングゲートによるメモリーのような大量生産はされなかった。しかし、信頼性や高温動作を要する特定分野のアプリケーションでは、通常、SONOSの性能がフローティングゲートを上回っていた。最近の技術進歩により、SONOSは商用アプリケーションであってもフローティングゲートと互角の競争相手になってきている。最新のSONOSデバイスでは、読み出し時間やデータ保持期間、読み出し/書き込みサイクルがフローティングゲートよりも優れている。最も重要なことは、SONOSはフローティングゲートのようにスケーリング限界がないことである。そのため、将来の先端アプリケーションでの不揮発性メモリーの選択肢として最適と言える。


SONOSを埋め込む

表 SONOSとフローティングゲートの比較

 SoC上へのSONOSのインテグレーションは特に適している。プロセスに関連した4つの利点がその理由である。すなわち、積層構造全体の高さが低いこと、絶縁ストレージ層、プロセスの単純さ、優れたスケーリングの拡張性である。

 積層構造の高さは、メモリー構造の構築に使用されるレイヤー厚の合計であり、メタルラインがカバーしなければならないステップの高さを規定するので重要なパラメータである。ステップが高すぎると、メタルラインが薄くなる可能性があり、その結果切れてしまい、デバイス欠陥を起こすことになる。ステップカバレッジはソース/ドレイン・コンタクトで特に問題だ。ステップカバレッジ性能が低いと、電気的コンタクトがオープンになり、これもまたデバイス欠陥になり得る。

 フローティングゲートの積層構造の高さはSONOSの2倍近くになる可能性がある。一般的なフローティングゲートの積層構造の高さは3400Åで、これは、100Åのトンネル酸化膜と1500Åのフローティングゲート、300Åの絶縁酸化膜および1500Åの制御ゲートからなる。一方、一般的なSONOSスタックの高さは1700Åに満たない(図1)。これは、20Åのトンネル酸化膜と、60Åの窒化膜、30Åの絶縁酸化膜および1500Åの制御ゲートからなる。この高さはCMOSトランジスタ厚と同程度であることに注目してほしい。

 スタックの高さの違いは主にストレージ層に起因する。フローティングゲートに使用されるポリシリコンは、フローティングゲートと制御ゲート間の結合率を良好にするために相当厚く蒸着されなければならない。この結合率はSONOSには当てはまらないので、窒化膜の厚さに同様の制限はない。

 トンネル酸化膜もこの違いを助長する。SONOSではトンネル酸化膜はずっと薄くできる。電荷移動メカニズムがあまり高い電圧を必要としないからだ。この点については後述する。



図2 フローティングゲートの場合、トンネル酸化膜にできたピンホールによって導電性フローティングゲートとチャネル間の短絡が起こる。SONOSでは、ピンホールはその経路上にある電子にのみ影響する

 ストレージ層で使用される材料も重要な鍵となる。フローティングゲート技術は、薄いトンネル酸化膜によってチャネルから分離された導電性フローティングゲート層に電荷を蓄える。トンネル酸化膜にピンホールが1つでもあると、ゲートとチャネルが直接短絡を起こし、即時に壊滅的な電荷損失を起こす(図2)。もう一つの心配は、メモリーセル上で繰り返されるプログラム/消去サイクルによってトンネル酸化膜が劣化し、最終的に破壊的な絶縁破壊や同様に壊滅的な電荷損失が引き起こされることである。このタイプの欠陥は予測不可能であり、テスト時には選別できない。

 SONOSでは電荷は窒化膜層に蓄積される。この窒化膜層によってSONOSは前述の問題を完全に回避できる。ピンホールは生じるかもしれないが、その経路上にある電子が放電するだけであり、窒化膜に蓄積される全電荷量からすると無視できる。さらに重要なことは、Si窒化膜は酸化膜のように破壊されないことである。プログラム/消去サイクルによって蓄積されている電荷量は徐々に減少しはするが、蓄積されている全電荷が急激に消失することはない。この減少を計測するのは容易であり、ウェーハプルーブレベルでうまく選別でき、その後の故障の危険性を排除することができる。

 プロセスの複雑性や、その結果起こる製造ステップ間の相互作用がプロセスエンジニアの頭痛の種になることがある。SONOSはこの点でもフローティングゲートを凌ぐ。フローティングゲートを標準CMOSプロセスと比較すると、2つのポリゲートと酸化膜2層(トンネル酸化膜と高電圧ポンプ回路のための厚い酸化膜)、最大10回のマスキングステップが加わる。これによってサイクルタイムと製造コストは大幅に増加する。さらにSoCの残り部分のデバイスにも不利な影響が出る。SONOSはポリゲート1つとパターン無しの窒化膜1層、ポンプ電圧がより低い酸化膜1層および3回のマスキングステップが加わるだけで、影響はずっと少ない。

 最後に考慮すべきことはスケーリングである。スケーリングはこの技術の将来寿命を決定する。フローティングゲートのスケーリングは、トンネル酸化膜のために垂直方向の限界がある。セルの消去に使用されるFowler-Nordheimトンネルは相当高い電圧(通常17V)を要し、これがトンネル酸化膜にダメージを及ぼす可能性がある。このダメージを防ぐためにトンネル酸化膜をかなり厚く成長させなければならない。この厚さは最低でも100Å程度である。一方、SONOSの場合、セルの消去に直接トンネルを使用する。この技術で使用される電圧は約10Vで、トンネル酸化膜へのダメージはずっと小さい。その結果、SONOSにおけるトンネル酸化膜の下限の厚さは20Åにすぎない。

 フローティングゲートのスケーリングは横方向(ゲート間)の限界もある。ポリシリコンゲートに蓄積される電子は隣接するゲートの電界に影響を及ぼす。この電界は構造を縮小するほど強くなり、最終的には意図しない隣接セルの消去やプログラムが起こるほどの強さになる。フローティングゲート技術のスケーリングの限界がチャネル長25nmおよび45nmの間にくると予想される理由は主にここにある。

 45nmのプロセスノードは現在、多くの主要チップメーカーで開発中であり、その多くは2008年に生産に入ると思われる。2

 SONOSの場合、電荷は窒化膜中に電気的にトラップされるので、隣接セルと干渉することはない。もちろんスケーリングには常に課題はあるが、今日現在、SONOSデバイスのスケーリングについて既知の物理的限界はない。SONOSとフローティングゲートのプロセスの違いを表に示す。


SONOSに代わる技術
 SONOSはフローティングゲート技術に替わる選択肢であるばかりではない。最近の研究開発でさらに魅惑的な技術が注目され始めてはいる。強誘電体メモリー(FRAM:Ferroelectric Random Access Memory)や磁気抵抗メモリー(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)、相変化メモリー(PCM:Phase-Change Memory)などである。3)しかし、これらの技術はまだ非常に新しい技術であり、製造上の難しいハードルが多々ある。一般的でない材料やプロセス装置も必要で、製造プロセスには相当のコストがかかるだろう。一方、SONOSで使用される材料はどのウェーハファブでも入手可能で、データの保存に使用されるSi窒化膜層は通常のプロセス装置で蒸着することができる。

結論
 不揮発性メモリーがSoCアプリケーションにおいて重要性を増している。しかし、これと他の回路ブロックを組み合わせようとすると、プロセスエンジニアにとって難しい問題が提起される。

 SONOSはこれらの問題を解決するエレガントな方法である。既存の製造フローに簡単にインテグレート可能な高速で信頼性の高いメモリーセルを提供できる。

謝辞
 この論文の準備を手伝ってくれたBrad Hartman、James Hwang、Rich Paulson、Jane Woodardの各氏に感謝する。

参考文献
1.K. Prall, “Scaling Non-Volatile Memory Below 30nm,” NVSMW, 2007, p. 5
2.L. Peters, “45 to 32 nm: Another Evolutionary Transition,” Semiconductor International, January 2007, Vol. 30, No. 1, p. 42.
3.J. Van Houdt and D. Wouters, “Memory Technol- ogy: Where Is It Going?” Semiconductor Interna- tional, December 2006, Vol. 29, No. 12, p. 58.



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