Cover Story

新たなリソ技術や
トランジスタ構造の変化が
32nmへと導く

[2008年03月号]

45nmから32nmへのプロセス技術の移行は、いくつか主要な材料の変化とリソグラフィにおける大きな変化を伴い、クリティカルレイヤーではダブルパターニングが採用されることが予想される。それらは、製造コストや特定の製品ニーズなどによって選択されることになるだろう。


By Laura Peters
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1nmのCD制御といった仕様を達成するため、プロセスチャンバは、ウェーハ上、ロット中、チャンバ間などにおいて、一定したプロセス環境を提供しなければならない
(出典:米Lam Research社)

 65nmから45nmへのプロセス技術の移行には大きな変化がみられる。たとえば、多くのメーカーが初めて液浸ArF(193nm)リソグラフィを採用し、ロジックメーカーはHigh-k/メタルゲートを採用し、層間絶縁膜としてLow-k材料を導入することなどにより、微細化が推し進められた。また、45nmでは多くのDRAMメーカーやフラッシュメモリーメーカーがAl配線からCu配線へ転換を図っている。そして、ここで重要となるのは、微細化という点において、フラッシュメモリー(NAND)デバイスが初めてプロセス技術の推進役になるということである。米Applied Materials(AMAT)社のシリコンシステムグループCTOで、かつて米Texas Instruments(TI)社シリコン技術開発部門のバイスプレジデントを務めたHans Stork氏は、「メモリーセル密度を向上させる液浸リソグラフィ技術、トランジスタの性能を向上させるHigh-k/メタルゲート技術、配線間へのLow-k材料の導入など、65nmから45nmへの移行には革新的な技術の変化を伴った」と述べる。また、「こうした技術の移行を制約するのは時間とコスト要因である。いかなる変化も合理的なコストで適切な時期に起きなければならない」(Stork氏)と述べる。

 米Micron Technology社の研究開発部門で先端技術ディレクタを務めるGurtej Sandhu氏は、メモリーについて、「DRAMの絶縁膜は何度か変化しており、材料も引き続き加速しながら変化していくだろう。そして、NANDでも同じことが起きると予想される」と述べる。

 半導体業界はコンシューマ機器に牽引される傾向が強くなってきており、製品開発の期間が短縮され続ける一方で、コストを抑える必要がある。今後、技術ノードの世代交代はこれまでよりも時間がかかるようになるとの議論もあるが、実際はこれとは全く反対のことが起きているようだ。蘭ASML社の企業戦略マーケティング責任者のPeter Jenkins氏は、「消費者のニーズが32nmなどへの移行を強力に促している。そして、このことがダブルパターニングのニーズを作り出している」という。さらに、「最近は技術の変化も早く、投資に必要なコストが巨額であるため、半導体メーカーはできるだけ早く投資に見合った利益を上げる必要がある。そのため、歩留まりの立ち上げに対する要求はこれまで以上に高まってきている。今や、収益可能な歩留まりは90%以上というのが業界の基準になっている」(Jenkins氏)という。

32nmのリソグラフィ技術

表1 ダブルパターニング法の比較
(出典:Applied Materials社)

 EUVリソグラフィ(13.5nm)は当初、32nm(hp)のパターニングを実現する技術として、2009〜2010年頃には導入されると見られていた。しかし、EUVリソグラフィの開発状況は遅れており、ArFとEUVのブリッジ技術として、ダブルパターニング法でArF液浸リソグラフィを延命させる必要があるとの認識がここ数年広まってきた。ダブルパターニングでは、高密度の回路パターンを2つの異なるパターンに分解し、それぞれのパターンをウェーハに転写する。フラッシュメモリーのレイアウトのように1次元(線)のパターンを施したマスクでは効果を得やすいが、2次元(面)パターンであるDRAMや複雑なロジックのレイアウトなどは困難となる。デバイスによっても異なるが、32nmプロセスでは3〜5層のクリティカルレイヤーでダブルパターニングが必要になるとみられている。

 韓国Samsung Electronics社は、スペーサ法とも呼ばれる自己整合型のダブルパターニング技術を利用して、30nmプロセスの64Gbフラッシュ・マルチセル・デバイスを2009年から生産開始すると発表している。ただ、オーバーレイとCD制御に利点をもたらす同社の方法は、その他のメーカーが取り組んでいる多くのダブルパターニング法のひとつにすぎない(表1)。米AMD社のフェローで、RET/OPCオートメーションおよびDFMマネージャのLuigi Capodieci氏は、Semiconductor International誌が最近行った最先端フォトマスクのウェブキャストにおいて次ぎのように語った。「多くのダブルパターニング法が提案されているが、どれが最適な方法であるかはわからない」。また、それぞれのアプローチの違いについては、「自己整合型のダブルパターニング法は一般的なプロセスや既存の材料を利用することができるが、スペーサ法や複雑なレイアウトでは複数のマスクを使用する必要がある」と説明する。

 露光を2回行うことで解像度を高める2重露光は、新たに「メモリーフリー」フォトレジストを開発する必要であり、現時点では利用することができない。また、ダブルイメージングについても、新規材料の開発が必要とされているのが現状だ。レジストパターンを「フリーズ(凍結)」させることで、典型的なダブルパターニング法から最初のエッチ工程を削除することができる。「この手法ではポジ型レジストよりもネガ型レジストが適している。現在も研究が進められているが生産レベルに適用できる材料はまだ見つかっていない」(Capodieci氏)という。一般的なダブルパターニング法は、プロセス工程が多い(マスク2工程、露光2工程、エッチング2工程)ことや、オーバーレイの問題や高コストなどの問題を抱えている。スペーサ法、ダブルパターニング、EUVリソグラフィのコストの違いについて、韓国Hynix Semiconductor社CTOのJin Seog Choi氏がSEMIのITPC(International Trade Partners Conference)にて定量化している(図1)。



図1 スペーサ法と標準的なダブルパターニングをよりコスト効果の高いものにする取り組みとして、エッチング、レジスト材料、剥離プロセスのCoOを減少させることに重点が置かれている
(出典:Hynix Semiconductor社のJ.S. Choi氏)

図2 プロセス法によってはオーバーレイがCDばらつきを引き起こす可能性があり、デバイスの電気的性能を低下させる恐れがある
(出典:AMD社のL. Capodieci氏とJ. Kye氏)

 基本的に、ダブルパターニングにとって重要な問題となるのは、CDの均一性やオーバーレイである。もちろん、その度合いはどの手法を選択するかによっても異ってくる。しかし、仮に一般的なダブルパターニングを選択したとすると、いかなるオーバーレイエラーもCD値の変化に影響してしまう。すなわち、「オーバーレイはCD制御にダイレクトに作用する」(Capodieci氏)という。CDのばらつきにより、ゲート幅やゲート長のばらつき、抵抗ばらつきが生じ、電気的性能の低下を引き起こす可能性がある(図2)。「オーバーレイエラーは非常に体系的だが、あまりよく理解されていない。そのため、シングルマスクのオーバーレイエラーが電気的性能に及ぼす影響を調べる必要がある」とCapodieci氏は述べる。ダブルパターニングを使用することで、オーバーレイの許容範囲は、CD値の33%から10%まで減少する。ベルギーIMECのリソグラフィディレクタであるKurt Ronse氏は、「オーバーレイの問題はダブルパターニングにとって解決すべき技術的な課題である」と指摘する。

 米Applied Materials社と米Lam Research社は、どちらも自己整合型のダブルパターニングプロセスを提案している。Capodiec氏は、「ダブルパターニングを実現させるために最も重要な要素となるのは2次元でのデザインルールのチェック機能だろう」と述べる。同氏は、「クリティカルもしくはホットスポットといった形状のほとんどは、1次元と2次元などの間で起きる。そのため、実現可能かどうかを検証するためには、特定の2次元の形状を確認することが欠かせなくなった」という。そして、「32nmや22nm世代では、制限されたデザインルールやデザインの規則性といったことが、製造可能性と歩留まり向上の基本要素になるだろう」と指摘する。

 液浸リソグラフィを延命するためには、ドライリソグラフィの場合と同様に、OPC(近接効果補正)や超解像技術(RET: Reticle Enhancement Techniques)などが適用されることになるだろう。米Freescale Semiconductor社のAustin Silicon Technology SolutionsディレクタのSuresh Venkatesan氏は、「我々は位相シフトマスクを使用しているが、それらはレベンソン型位相シフトマスクのような強いシフターとは対照的な減衰型位相シフトマスクのようなものだ」という。

 水を利用するArF液浸リソグラフィ(NA=1.35)に次ぎにくるのは、必然的に、高屈折率液体と高屈折率レンズ材料を使用したArF液浸リソグラフィになるとみられる。屈折率1.64〜1.65の溶媒は入手可能であるが、高屈折率レンズの主原料であるLuAGについては、吸収率を10〜20倍向上させる必要があるなどの課題がある。「うまくいけば高屈折率のシステムは2010〜2011年には導入できるだろう。しかし、「それでは40nm以降のプロセス技術によってデバイス開発を目指すユーザーにとっては遅すぎる」とJenkins氏は述べる。「高屈折リソグラフィのようなものであり、もし実現すればダブルパターニング技術となるだろう。なぜなら、シングルパターニングのロードマップと重なることがないためだ。ただ、高屈折率の溶媒やレンズの研究が進むことで、ブレークスルーによって次世代リソグラフィが大きく変わる可能性はある」と述べる。

 高屈折率の液浸リソグラフィはまだしばらく実現不可能であるとみられるため、半導体業界は22nm以降、あるいは2011年の実用化に向けてEUVリソグラフィ技術の開発を強力に推し進めている。Jenkins氏は、「現時点でのEUVリソのメインターゲットは22nmだろう。ただ、EUVリソのコスト効率が高いことが証明されれば、改めて32nmにおいて使用されることが考えられる」という。

 EUVリソグラフィを実現するための技術的な課題は、パターンの解像度、ラインエッジラフネス(LER)、感度といった要求性能を同時に満たすことである。これには使用するEUVの光源を実用レベルまで引き上げることも含まれている。これまで、EUVの光源にはガス放電生成プラズマ(GDPP:Gas Discharge-Produced Plasma)が使われてきたが、最近ではレーザー生成プラズマ(LPP:Laser-Produced Plasmas)が有望視されてきている。ただ、いずれの光源についても今まで以上に性能を向上させる必要がある。たとえば、「EUV光子と集光系を保護するために必要なデブリ軽減スキームを高いレベルで組み合わせるために、最終的にどちら光源が採用されるかは定かではない。また、フォトレジストについても改良の余地がある」(Ronse氏)。現時点でのオーバーレイの結果についてJenkins氏は、「32nm(hp)のデザインにおいて、ウェーハ全面にわたって、CD均一性2.5nm、オーバーレイ5nm以下を実証した。これは量産時に得られた結果ではないが、その可能性を示すものである」としている。

変化するトランジスタ構造

図3 今日のCMOSデバイスの性能と電力消費ニーズを引き続き満たすためには、デバイスメーカーは様々な新材料や構造を採用する必要がある
(出典:IMEC)

 図3は、半導体メーカーがフラッシュ、DRAM、ロジックといったデバイス性能の向上を推し進めることによって、トランジスタの構造や材料の変化がどのように変遷していくかを表している。

 フラッシュメモリーデバイスでは、32nmにおいて新たな材料やトランジスタ構造が必要になってくるとみられる。AMATのMaydanセンターでバイスプレジデントを務めるKen MacWilliams氏は、「チャージトラップ型フラッシュメモリーや相変化メモリーといった代替技術を推し進めながら、フローティングゲートの延命を可能にしてきたのは、High-k材料とセルデザインの開発だった」と述べる。同氏は、「積層デバイスではHigh-k材料が制御ゲートからフローティングゲートまでカップリングを向上させる。一方、積層間のLow-k材料はセル間で起こりうる干渉を最小にし、積層間のフィラーとして機能する」という。Al2O3やHfベースの材料などがHigh-k膜として使用され、Taなどの材料がゲート電極として機能する。

 ロジック業界では、米IBM社と米Intel社の両社がHigh-k絶縁膜とメタルゲートを45nmで使用することを発表している。これらの積層方法として、ゲートファーストとゲートラストの2つのアプローチが登場した。ゲートファーストは、従来のPoly/SiONゲートと同じように、ゲートは高温接合アニールを含む熱サイクルに左右される。一方、ゲートラストはダミーPolyゲートに対し熱サイクルとそれに続くプロセスを行い、その後ダミーゲートが除去され、High-k/メタルゲート積層に置き換えられる(置き換えゲート法)。この2つの方法は異なる製造プロセスが必要になってくる。Intelは、45nmではゲートラストを選択し、ダマシンゲートプロセスを用いるとみられる。

 AMATフェローReza Arghavani氏は、「ゲートラストの長所は、サリサイドまですべてのプロセスにHigh-kまたはメタルゲートを含まないことである」と述べる。しかし、これまでの除去方法がダマシンインテグレーション法に取って代わられたので、インテグレーションは本質的により複雑になる。「現在の課題は、下層にあるHigh-k絶縁膜にダメージを与えることなく取り除かなければならないという35nmのPolyのCD値である。その後、n側とp側には適切なメタルを成膜し、ゲート積層の上面に対して平面になるよう研磨する必要がある」(Arghavani氏)という。

 米Freescale Semiconductor社、米IBM、およびアライアンス企業は、ゲートファースト・インテグレーションを選択している。この方法ではHigh-k絶縁膜とメタルゲートは標準的なプロセスフローを用いて成膜される。また、コスト削減のために、より簡素化した方法(両トランジスタに対して絶縁膜とメタルそれぞれ1回ずつの成膜が理想)を目指している。目標は、極めて対称的なしきい値電圧とバンドエッジの有効仕事関数(NMOSは4.2eV以下、PMOSは5.2eV以下)を達成することである。

 材料の観点からいうと、HfO2が500℃以下で結晶化しやすいことから、当初、HfSiONはHfSiONとHfO2間に容易にインテグレートできると予想されていた。しかし、HfSiONはHfO2(k値=25以下)に比べてk値の上昇が限定的(SiONの9以下に対して15以下)である。「HfSiONではHigh-k膜とSi間にかなり厚い界面が発生する傾向があり、特に熱サイクルや一定のチャージトラップなどのようにあまり好ましくない電気的特徴において、材料互換性の問題を緩和する。短所としてはスケーラブルではないことであり、低電力技術のためのソリューションとなり得るが、高性能デバイスには向かない」とVenkatesan氏は述べる。Freescaleは最終的にHfZrOxに落ち着いた。これは、最適化されれば、すぐれた界面特性をもたらし、HfO2より若干高いk値を示す。そして、これはTaCベースのメタル電極と併せて使用されることになる。

 初期段階のメタルゲート評価で最も重点が置かれたのは、トランジスタのしきい値電圧(Vt)を制御するために最適な仕事関数を持つメタルを特定することであった。ところが最近では、pFETデバイスのVt制御を達成するため、絶縁膜の電気的特性を変えることに焦点が当てられている。Al2O3は、HfO2絶縁膜上にRFスパッタリングによって成膜され、その後アニールされ、メタルの仕事関数に依存しないデバイスのVtをシフトさせることで、高い有効仕事関数と低いVtを実現する。その後、薄膜のTiN/Polyゲートを成膜してパターニングを行う。nFETでは、ゲート絶縁膜上にこれもRFスパッタリングによってLa2O3膜を成膜し、アニールしてHfLaSiONを形成することで、Vt制御と仕事関数変調が達成される。正確な制御メカニズムについては研究が進められているが、仕事関数の増加とVt制御は、High-k膜とその下のSiON膜との間の界面における双極子形成が原因である可能性がある。nFETのしきい値電圧制御に使われるLaの代替案にはMgOも含まれている。MIRAI/Seleteの研究者らは、20nmデバイスにおいてW/TiN/HfMgO(nFET)およびW/TiN/HfAlO(pFET)のゲート積層を形成している。

 ゲートエッチはエッチングからマスク、ゲート、そして場合によってはゲート絶縁膜までをも含む、典型的な多層プロセスだ。生産性アップとコスト削減のため、積層内の多層膜のIn-situエッチングがますます必要である。米Lam Research社エッチングビジネス部門グループバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャのRick Gottscho氏は、「チャンバ設計と装置制御の向上がそれらのプロセスを提供するカギになる」と述べる。同氏は、「In-situエッチングでは、エッチングされる最後の層は、次に積層する材料と同じではないので、すべてのウェーハが同じ環境で製造できるように、精密なpre-coat(塗布前)チャンバ技術が必要になる」と述べる。ゲートファーストではCDとエッチ・プロファイルを制御するため、複数のエッチ・パラメータ(プラズマ均一性、ウェーハ温度、バイアス電圧)を制御する能力が求められる。High-k/メタルゲートには、下層膜の選択比を向上させながら、CDばらつきを最小にする方法が必要という。同氏は、「洗浄では、洗浄薬液にウェーハをさらす時間を最短にすることが、CDばらつきを最小にするためには重要」としている。

 また、その他のHigh-k/メタルゲート代替案としては、完全シリサイド化(FUSI:Fully Silicided)Poly-Siゲートを使用する方法がある。この方法では、Poly上にNiを成膜し完全にシリサイド化し、それぞれnFETとpFET用に異なる層のシリサイドを形成する。FUSIのフローにおける課題は、様々な形状で完全シリサイド化を達成することや相を維持することであり、後者はハードマスクを用いることができる。FUSIの場合、YbをnFETのPolyに、GaをpFETに注入することで仕事関数の調整ができる。メタル/絶縁膜の界面に同調素子を挿入する場合は、注入量や注入種だけでなくサーマルバジェットも考慮しなければならない。


歪みシリコン
 1年ほど前、Semiconductor International誌では、チャネル内の電荷キャリア(nFETの電子とpFETの正孔)の移動性を向上させるため、どのような歪み技術が45nmや32nmにて使用されるかを予想した。最もコスト効果の高い技術は、nFETではチャネル内で引っ張り歪みを発生させる窒化膜キャップと、pFETではチャネル内に圧縮歪みを発生させる窒化膜キャップである。現在、生産では圧縮応力レベル4GPaが達成されており、UVキュアを施すと、引っ張り応力レベル2GPaも可能、とArghavani氏は述べる。この技術の拡張性は、窒化膜を覆うトランジスタの周りに十分な余地があるかという懸念から、限られたものになるだろう。

 Gottscho氏は、歪みSiの導入によって多層膜エッチングの数が増え、それは、膜減りを最小に抑えながらシリサイド膜でエッチストップする能力を必要とする、と述べる。「最近、イオン注入後にチャネル近くにストレス窒化膜を挿入できるようにする、いわゆるディスポーザブル・スペーサへの関心が高まっている」と同氏は述べる。

 コスト高ではあるが広く使われている歪み技術として、pFETのソース/ドレイン領域にエピタキシャル成長させたSiGeを用いる方法がある。こうした方法は、nFETのソース/ドレイン領域にSiCを成長させることにも使用することができる。

 ストレスメモライゼーション技術(SMT:Stress Memorization Technology)はポリへのイオン注入と、アニール後に除去される応力転移膜を使用し、引っ張り歪みをnFETに記憶させる。歪みSOI基板は利用可能だが、これまで製造には採用されていない。「これは本質的に基板に歪みを与えて可能になる唯一の技術だ。だから、我々はそれを追及し続けるが、何か新しいものを利用するにはしばらく時間がかかるものだ」とVenkatesan氏は述べる。
この他、新しい方法として、高移動度チャネルの作成などがあり、その手始めになりそうなのはGeである。しかし、High-k/メタルゲート実装が成功したのは、以前のデバイス世代から、Si/SiON界面の維持に依存してきたという側面もあることに注意しなければならない。「トランジスタの性能の中心になるものを1つ挙げるとすれば、チャネルと絶縁膜の間の界面であり、よってそれを変えるということは画期的な変化だろう」とStork氏はいう。高移動度チャネルは22nm以前に実装されることは予想されていない。

FinFET
 FinFETのようなマルチゲートデバイスは静電制御性(EI:Electrostatic Integrity)や短チャネル効果の制御性に優れている。特に、チャネルをゲートで封じ込める、あるいは完全に取り巻くことで、電界はチャネル中どこでも均一に近くなる。その結果、トランジスタは完全空乏型デバイスのように機能する。そのデザインのいくつかの長所は、ウェル注入が全くいらないこと、ラッチアップがないこと、寄生容量の低下やトランジスタ間のスペース縮小に伴う抵抗問題を低減することである。

 FinFETを採用するにあたって、最大の障害になるのは、おそらく、それがすべてのデバイスにとって最適なトランジスタ構造だというコンセンサスが半導体業界内に欠けていることだろう。さらに、トランジスタを2次元の平面的なデバイスから3次元構造に作り変えることは、設計や製造の観点からも複雑かつ困難な仕事である。Stork氏は、「業界内の人間は誰しも、他の選択肢がなくなったときに採用を考えるのではないか。FinFETは3次元デバイスなので、同じ精度で製造するのは複雑だ」という。ただ、SRAMといった特定のデバイスでは、短チャネルのリーク電流が減るため、FinFET構造は大いに魅力的でもある。

参考文献

1. A. Hand, “Double Patterning Wrings More From Immersion Lithography,”Semiconductor International, February 2007, Vol. 30, No. 2, p. 40.

2. L. Peters, “Double Patterning Leads Race for 32 nm,”Semiconductor International, Oct. 18, 2007. Available at http://www.semiconductor.net/article/CA6492477.html.

3. R. Arghavani, G. Miner and M. Agustin, “High-k/Metal Gates Prepare for High-Volume Manufacturing,” Semiconductor International, November 2007, Vol. 30, No. 12, p. 32.

4. R. DeJule, “A Step Up for High-k CMOS,”Semiconductor International, October 2007, Vol. 30, No. 11, p. 17.

5. P. Singer, “IEDM Focus: Metal Gates/High-k for 45 nm,” Semiconductor International, October 2007, Vol. 30, No. 11, p. 24.

6. L. Peters, “45 to 32 nm: Another Evolutionary Transition,” Semiconductor International, January 2007, Vol. 30, No. 1, p. 42.

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