環境半導体で世界に貢献する日本半導体産業

ジェイスター株式会社 代表取締役 豊崎 禎久

[issued: 2008.10.03]

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    マイコン市場はアジア・パシフィックに注目、中国市場が鍵に

     図7は、世界半導体市場統計(WSTS)が発表している世界半導体予測と世界地域別市場予測である。2010年の世界半導体市場規模は、トータルICで2616億米ドル規模(内MOS マイクロ市場は、680億米ドルとなる)。2007年~2010年のアジア・パシフィック地域の年平均成長率(CAGR)は7.4%である。4地域中、高い成長を持続する。

    図7:世界半導体地域別予測(出展:WSTS統計データをジェイスターが分析)
    図7:世界半導体地域別予測(出展:WSTS統計データをジェイスターが分析)


     図8は、WSTSの2006年MOSマイコン地域の売上実績シェアであり、欧州31%、アジア・パシフィック28%、日本25%、米州16%となり、124億米ドル規模であった。WSTS32/16ビットマイコンの市場売上実績は、75億米ドルである。当社(ジェイスター)がマイコンメーカー別推計シェアを推計したものである。世界第1位は、ルネサステクノロジであり、第2位の米国Feescale社を大きく引き離している。ルネサステクノロジのマイコンのアプリケーションを分析すると国内カーナビゲーション市場を80%占有しており、ダッシュボード、エアバック、パワートレイン、電動パワーステリアリングなど各分野は国内において自動車分野トップシェアであり、デジタル家電も強い。このシェアを拡大させるには、次世代の自動車向けマイコンはパワートレイン、車載情報機器などにマルチコア技術が必須となる。

    図8:マイコンシェア分析(出典:WSTSのデータを基にジェイスターが推計)
    図8:マイコンシェア分析(出典:WSTSのデータを基にジェイスターが推計)


     今後のマイコンの成長市場は、どこか?それは、アジア・パシフィックの中の中国であり、世界の半導体市場成長率を上回るスピードで拡大する。今後の世界の半導体市場は、新興市場である中国市場がけん引することになる。
     日本マイコン企業の成長の鍵は、中国現地の独立系設計ハウス(IDH:Independent Design House)との関係を強化することである。マイコンをソリューションとして提供しなければならないのである。そして、グローバルなディストリビュータを積極的に活用することである。
    中国のデジタルAV機器向けテレビ向けの画像信号処理LSI(マイコンベース)やDVDレコーダやHDDレコーダなどに向けた画像信号処理LSIでも売上が期待できる。そして、中国市場も自動車向けマイコンである。中国市場に特化したソリューションを開発し提供し、中国政府系の研究機関であるCATARC(中国自動車技術研究センター)と共同プロジェクトを推進したり、中国政府のITSインフラ構築計画にも積極的に参画するべきであろう。日本半導体企業としては、ルネサステクノロジがこれらプロジェクトに、既に参画している。

    欧米市場とマイコン
     マイコンにとって重要市場は欧米である。マイコンは、ソフトを含めた総合技術力と想像力が要求されるデバイスである。このことが意味することは何か?マイコンは、新しいアプリケーションを創出することが出来る夢のあるデバイスである。世界の大手電機メーカーやベンチャー企業は欧米初のものが多い。近年、量産はアジア地域がその主流であるがデザイン・インという視点では欧米地域も活動の拠点である。欧米市場のマイコンの成長アプリケーションを見てみると、欧米共通とすれは自動車用途である。この成長の要因としては、人為的ミスを減らすことを目的とした半導体部品の搭載率が増加していること、レーダーや超音波センサ、カメラ、駐車補助システムといった安全性を高める機能が増えてきたことである。

     自動車用途は、自動車メーカーと半導体メーカーが協調して課題解決に挑むことが必要となる。このビジネススキームが構築出来れば、売上高の増大につなげられる可能性が高まる。このように、両社が協力することによって、半導体メーカーなどが提供できる技術と自動車メーカーが期待する技術のギャップを埋められるだろう。

     加えて、マイコン市場拡大の追い風は、地球温暖化と原油価格上昇により、ハイブリッド車や電気自動車の販売増している。(特に、マイコンを消費する市場としてのアジア地域で自動車の販売増加しており、排出ガス規制なども貢献している)但し、高品質の半導体部品への要求が増加すると低ビットのマイコンを供給する半導体メーカーのシェアを高ビットのマイコンを供給する半導体メーカーがビジネスを奪うという事態を誘発させる。少ビットのマイコンを供給するメ半導体ーカーは、高成長を見込める発展途上国向けに注力することによって、シェア回復の可能性がある。2007年の8ビットのマイコン市場は、約50億ドル規模、今後も引き続き大きく成長する見込みで、出荷数は2007年の44億個に対し2011年には65億個を超えると予測される。2007年から2013年にかけての出荷数の伸びは約40%となり、8ビットマイコン市場では、システム・ソリューション導入のコスト低減が強く求められているため、8ビットマイコンのプラットフォームは、非常に低いトータル・システム・コストで性能を向上できるよう特化して設計する必要がある。日本企業を中心に開発されてきたカーナビゲーションのOSは、μITRONからWindows Automotiveに移り変わり、車載組み込み型HDDタイプの構成比は、DVDタイプを上回っている。欧州を中心に、急速に普及しているPNDは、近い将来MIDに吸収されるものとジェイスターでは見ている。

     米国市場では、無線センサー・ネットワークとして期待されているZigBeeやRFIDと組みあわせた低消費電力16ビットマイコンである。応用領域としては、成長が期待される分野は医療・ヘルスケア分野である。特に、ポータブル医療機器(血圧計、心拍計、血液分析器、デジタル体温計、パルス・オキスーメータ)、診断・生体情報モニター・治療(心電計、脳波計、人工呼吸器、除細動器)、医療用画像診断装置(超音波画像診断装置、X線CT診断装置、MRI、デジタルX線装置、PET CT)、医療用計測装置など多種多様のアプリケーションが医療先進国の米国から生み出される。この背景には医療分野の規制緩和がることも忘れてはない。欧州市場は、高ビットマイコン+暗号化技術をベースとする金融・ID向けのカード&セキュリティー分野であろう。

     日本のエアコン普及率は84.2%高い。一家に1台どころか、ひと部屋1台が常識となりつつある家庭用エアコンである。一時は、飽和状態の様相を見せていたが今、このアプリケーション分野は、再び注目を浴びている。インバーター、制御用コンピュータの高度化などで省エネ効果が飛躍的に高まったのに加え、マイナスイオンを発したり酸素濃度を上げたりといった、既存の空調に対する概念を覆すような新機能が需要を喚起しているのである。地球温暖化は、この分野のビジネス拡大の機会をもたらしてる。エアコン需要の増大は日本に限らず、世界的なトレンドとなっている。 日本の市場規模でも約7000億円と大きいが、海外市場の伸びを見越して、新商品の開発熱はさらに高まっている。世界のエアコン業界を見ると、米国に巨大な冷熱メーカーがあるが、こと省エネ技術では日本陣営が世界のライバル企業を圧倒している。その省エネの技術力は世界から注目されている。ピンチをチャンスに変えることが出来るのは省エネマイコンである。

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